第62話 酒飲み態様いろいろ 徒然草175-3酔人の過ぎし憂さ

文字数 849文字

□あるいは又、我が身が優れていることを、そばで見ていられないほど、言い聞かせ、あるいは泣き上戸になったり身分の低い人は、罵り合い、喧嘩したりで、見苦しく恐ろしい。恥知らずで、鬱陶しいことばかりがあり、挙句の果ては他人の物を盗んだり、縁側より落ちたり、馬や牛車から落ちて、失敗してしまう。乗り物に乗らない者は、大路をよろよろしながら歩き、築地塀や門の下などに向かって、言葉では言えないことどもし散らし、年老いた法師は、子童の肩を
押さえ、わけの分からないことを言いながら、よろめき歩く。まったく哀れである。かかることをしても、この世も後の世も益があるというならば、いかんともしがたいが、この世では過ちも多く、財産も失い病気にもなる。百薬の長とはいえ、よろずの病は酒よりこそ起こる。憂いを忘れるといえど、酔った人は過ぎし憂さを思いだし泣き出してしまう。後の世は、人の知恵を失い、善行を積み重ねたことを焼いてなくしてしまう。悪が増えよろずの戒めを破り地獄へ落ちることになる。「酒を取って人に飲ませた人は、五百回生まれ変わる間、手の無いものに生れ変わる」とこそ、仏は説き給うのである。
※酒飲みのことを、兼好先生は長々と書いているが、余程、腹立たしい経験をされたに違いない。飲んべいの羽目を外した醜態を、冷ややかな眼差しで観察し、書き留めておられる。現代においても、相変わらないことが続いている酒飲んでの自慢話。泣き上戸。取っ組み合いの喧嘩する輩もおり、理性ある力持ちが酔っぱらいをひっくり返していたのを傍で見た。確かに座敷の物を盗んだり、店の立て看板を持って帰ったりする奴がいるちょっと嗜む程度なら健康にもいいのだが、度が過ぎると、良いことはない。コロナの世の中でも居酒屋での、飲み会は何物にも代えがたい魅力があるのだろうが、飲むとき以外はマスクして喋ればいいのだが、ストレスがたまるだろう。わいわい言いながらバーベキューして飲むのもいいが、もう2年間やっていない。早くコロナが終わればいいのに。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み