第98話 ある物で満足 徒然草2

文字数 384文字

□いにしえの天皇の御代の政治を忘れ、民を愁え、国が衰えていくことも分からず、すべてに華美をつくし、それを立派なことだと思い。所狭きほど、贅沢品を飾っている人こそ、いよいよ何も考えておられないのではないかと思える。「衣装や冠から馬や車に至るまで、有るもので用い賄え。美麗を求むる事なかれ」とぞ、九条殿に遺誡にもある。順徳院が宮中でのことを書かれたものにも「召し物は、簡素なものをもってよしとする」と記されている。
□昔の賢明なる天皇の時代の政を忘れ、今のご時世は、民を愁え、国が衰えゆくことが分からず、贅沢の限りを尽くしている。10世紀頃、九条に住まれていた右大臣藤原師輔が公卿心得として記した家訓には「華美な事は止め、ある物で満足せよ」と書かれている。第84代順徳天皇1210-1221在位も賢明な方で「着る物は簡素なものでよい」と記されている。
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