第十四章 ⑪
文字数 3,861文字
ドライサウナも!
そして、メインは、大理石を使った大きな
……!!
「スゴイ!!豪華すぎるんだけど!」と
興奮しましたね。
打たせ湯や水風呂もありましたが、私は、
苦手なので近づきません。
それから、自然と一体になれる露天風呂
です!!
月明りの美しさ……!
外気はもちろん寒い……!!
でも、お湯で、気持ちよくて、もう
「最高!」でした。
動きたくない、出たくないと真摯に
思いましたね。
それで、さっきも言った、『日替わり
風呂』……。薄紫のワインが、キラキラ
して美しい。
ワインに包まれ、体をケアしながら、
気分最高になりながら、年末を過ごす…。
「幸せ過ぎる……」、自然と口から
出てきます。
私と同年代位の女性二人組が、
「あぁ、なんか、贅沢な年末の
過ごし方だね!彼氏なんて、いなくても
良いよネ!!
男なんて、面倒なだけだ~!」と
話していましたが、一部同感、
一部反感…というより、ちょっと
優越感……。
それで、時間はあっという間でした。
約束の時間ギリギリまでお風呂に
浸かれるのは男性だけでしょう。
女性には、いろいろなケアが必要
なので、余裕をもって、出ないと
いけないのです。
で、私が、女子風呂の暖簾を再度
くぐったら……すでに、義時君が
待ってくれていました。
どうやら、お風呂には入っていないよう
な感じ…。
そして、私は、もう一つ、気づいた
のです。
彼の両隣に、彼を挟むように、子どもが
立っているのです。
1人は、女の子。もう1人は、男の子。
「この子たちは?」と思った時。
女の子の方が、義時君を見上げながら、
彼に言いました。
「ねぇ!この人、だ~れ?
もしかして、義時兄ちゃんの恋人?」と。
一瞬、焦っちゃいましたね。
でも、あの時の、彼はカッコよかった!
否定せず、そして、曖昧にもせず、
ちゃんと、言ってくれたのです。
1人の女性として、一番嬉しい、答えを
彼はしてくれたのです。
そして、ちょっと場所を移して、
私達は自己紹介タイムをもちました。
二人の子どもたちは、義時君の姪っ子と
甥っ子君でした!
お姉ちゃんの方は、
「さかえたかこです。6歳で、来年から
第一小学校に行くの!」とハキハキ…。
さすが、女の子ですね。
ちなみに、第一小は、義時君と私が
通った小学校でもあります。
義時君にすがりつくようにしている
のが、彼の甥っ子君!
見ていてキュンキュンしちゃうほど
かわいい!!
その甥っ子君も、モジモジしながら
ですが、義時君とお姉ちゃんに
せっつかれながら
「さかえとしみつ!5歳!」と
教えてくれました。
かわぃぃッ!!
義時君が、私に補足してくれます。
彼の姪っ子にあたるのが、隆子ちゃん。
恥しがりや&人見知りな男の子が、
甥っ子の俊光君です。
うん、そういえば、俊光君、どことなく
彼に似ている。目元なんて、そっくり!
「これは、この子、将来、イケメンに
なるね!オジちゃんのように!」と
思いました。
もちろん、口には出さないですけどね!
その俊光君が、オジちゃん-彼-に
言います。
「ねぇ、早く行こうよぉ。
お腹ペコペコだよぉ!」と。
「えッ?私、待たせてた……?!」。
ドキッとします。
でも、心配無用、彼が明るい声で、
俊光君に言ってくれました。
「よしっ!じゃあ、行こう!
今日はなぁ、このお姉さんも、
一緒にご飯食べるぞ!」と。
隆子ちゃんが、ワーッと大喜び。
嬉しいですね。自分の存在を喜んで
くれているのを見るのって…。
それに、私の欲目じゃなければ、
たしかに、俊光君も、嬉しそうに
していたはず……?
早速、人見知りしなくて、誰とでも
仲良くなれる隆子ちゃんが、私の手を
とってくれました。
小さくて、真っ白で、かわいい手……。
オバサンと違って、モチモチでスベスベ
です。
そして、年齢の差も初対面ってことも
感じないような笑顔で、
言ってくれました。
そして、「ねぇ、お姉ちゃん!
早く行こッ!!
隆子が、案内するネ!」と。
2つの意味で、嬉しかったです。
彼の家族と、もう打ち解けれたというか
仲良くなれたこと…それが、子どもで
あっても……嬉しいのです。
もう一つは、隆子ちゃんが、
「オバサン」とは言わず、ちゃんと、
「お姉ちゃん」って呼んでくれたこと
ですね(笑)!
正直、ホッと……。
お小遣いをあげたいと、思いましたね、
実際……。
それで、私は、彼の可愛い姪っ子に
引っ張られる感じで、歩き出しました。
後ろから義時君が、「隆子!
お姉さん、ビックリしてるぞ。
もうチョイ、ゆっくり歩け!」と言って
くれましたが、隆子ちゃんは、全然
気にせず、前進…。
また、何か言おうとする感じだったので、
私は、振り向いて、彼に、「大丈夫
だから」とアイコンタクトしました。
素足で畳の上を歩きます。
最高です!
そう言えば、隆子ちゃんも、素足
でしたね。
隆子ちゃんに連れられて、
自販機コーナー、休憩スペース、
それに、エステ&マッサージコーナー
も通り過ぎます。
ちょっと、エステコーナーが気になり
ましたが、隆子ちゃんは、スルー。
立ち止まってくれる気配は
ありませんでした。
でも、隆子ちゃんは……。
食事処の真横の売店の前で、立ち止まり
ました。
隆子ちゃんは、「ねぇ、お姉ちゃん!
行こッ!ここ、いっぱいお菓子とか、
あるんだよ」と言いながら、私を売店内に
引っ張って……。
思いましたね、「お姉ちゃんって、何度も
呼んでくれてるし……。何か、買ってあげ
ようかなぁ?」と。
嬉しかったんです、本当に!
それに、妹もいない、一人っ子でしたから、
「お姉ちゃん」って呼ばれるのが、何か、
新鮮かつ不思議な感じで、それと、
ちょっと、照れくさいような……。
でも、別に、隆子ちゃんは、私に、
何か買ってもらいたくて連れてって
くれたわけじゃないんですよね。
ただ純粋に、見せてくれたかったんで
しょう。
目をキラキラさせながら教えて
くれました。
「ここにあるお菓子は、全部、
おいしいヨ!
あとね、あそこに、カップラーメンが
いっぱいあるでしょ!?
大人のオジサンとか、みんな買って、
テレビ見ながら食べてるの。
それでね、それでね!
ウチだって、食べてみたいのに、
ママ、いつも、ダメって言うの~!」。
子どもって、本当に、かわいくて、
無邪気ですね……。
で、そんなに広くはない、売店内を
隆子ちゃんに引っ張ってもらって
一周したのですが、私は、同じく
居合わせた一組の家族のことが、
気になりました。
別に、変な意味ではないんです。
何て言うか、幸せそうで、
「あんな家庭を将来、彼と築きたい
なぁ」って思えたんです。
そうですね。
お母さんは、どことなく、あの、
愛川のり子さんに、似ていました。
つまり、かなりの美人です。
思いました。
「この人、着物を着たら絶対似合う!
あッ!?もしかして、本当に、女優
さん?」と。
その女性は、カゴを手に、売店内の商品を
一つ一つ真剣に見ています。
どうやら、お土産を選んでいるよな……。
「どこかから年末の旅行で、こっちに来た
のかな……?家族三人で……」。
私は、そのお母さんを見ながら思いました。
そして、お父さんと娘さんは、
二人で、いろいろ話しながら、売店の中を
歩いています。
別に、何かをじっくり見ようっていう感じ
でなくて、お母さんがお土産を選んでいる
ので時間を潰しているようにも、
見えます。
一瞬、娘さん-女の子-と、私は、
目が合ってしまいました。
ドキッとして、すぐにそらしました
けど、キレイな目で、そして、同時に、
強さ…も感じる目でしたね。
でも、どことなく、お父さんは、顔色が
悪く、それに、痩せすぎのように感じ
ました。
「どこか、悪いのかな?」、そう思い
ました。
一方女の子は……。
頬はピンク色で、髪の毛はお団子にして
いて、ハツラツとした感じ。
「元気で、クラスのムードメーカー的
女子ね」と推理しました。
おそらく、女子高生?
それで、そうだ!!
面白かったのは、『お財布の件』です。
私と隆子ちゃんが、ハンカチを眺めて
いる、そのすぐ近くで、お父さんが
立ち止まって、そして、娘さんに
言ったんですよ!
「オイ。これ、お前に似合うんじゃ
ないか?
お前、小さい頃から、スイカ好きだろ。
そうだ、今回の旅行の記念に、コレ、
買ってやろう」と。
真面目な口調で……。
チラッと見ましたけど、真面目な表情。
それで、私、目を疑いましたね!!
だって、その、お父さんが手にしている
財布……。
どっからどう見ても、子ども向けの、
いいえ、『幼児用』としか言えない、
絶対に、小学校あがる年頃の女の子
隆子ちゃんでさえ、「いらないヨ!」と
言うはずの財布…。
財布というより、小銭入れ?
しかも、小銭でも、数個しか入らない
ような……、私から言えば、「えッ!?
何のためなの、コレ!」って感じのモノ
でした!
うん、たしかに、スイカの形。
スイカの色……。
でも、これ年頃の女の子が……。
「ナイナイ、絶対、使わない!」。
私は、そう思いましたね。
お父さんに、言ってあげたくなりました。
「いやぁ。お父さん……。
そのセンスは、完全に、ナイですよ!
これで喜ぶのは、保育園か幼稚園位まで
のお子さんでしょう……」って。
まぁ、言いませんでしたけども……。
案の定、女の子は、そのスイカ柄の
小銭入れ-お父さんが手にしている-を
一瞥して、すぐに言ってました。
「お父さんッ!!
私、何歳だと思ってんの!?
もう高校卒業したんだよ!
そんな子ども対象なの使えるわけ
ないじゃん!!
って言うか、おばあちゃんに、
クリスマスプレゼントで、すごっく
高い、お財布もらったばっかりだから、
大丈夫!!」と。
当然の反応です、年頃の女の子なら…。
私だって、その子と同じ年齢、
18の時だったら、そう言ったでしょう…。
(著作権は、篠原元にあります)