第十三章 ②

文字数 1,564文字

ベンチに腰掛けた、私達二人……。
しばらく、話し合いました。
義時さんが、自販機に、温かい飲物を
買いに行ってくれました。

私は、目をつぶります。
今、自分は、一人じゃない。
義時さんがいる。
松山には、雪子おばさんもいる。
それに……、半年後には、
新しい家族も!
そして……、いつになるかは分からない
けど、いつかは、私達の赤ちゃんも…、
とまで考えてしまっているのに気づき、
一人で赤面しました。
幸せを実感します……。

「大丈夫よ!
半年後なら、雪子おばさんも、
まだ元気だわ。
絶対に来てくれる!」と言う、
確信のようなものが心の内側から
湧いてきます。


半年後かぁ……。
半年後の6月24日。
私は23歳、義時さんも23歳に
なったばかり……。
その日、私たちは、結ばれる……。

そんな感じで、半年後のことを、
なんやかんや、『一人想像』に耽って
いたら…!!
急に、義時さんに、声をかけられ、
私は、思わず、声を上げてしまいました。
それには、義時さんの方が、大驚きで、
買ってきた缶コーヒーを落してしまい
まして……。
あのあと、言い訳が、大変でした。
一人想像に耽ってしまう、私の悪いクセ
ですね……。
でも、チョット残念でした。
あともう少し『一人想像』の時間に
浸っていれたなら、純白のウェディング
ドレスに身を包む、自分を見れていた
のです……。




その夜、マンションに戻った私は、
すぐに連絡を入れました。
時間が気になりましたが、とにかく、
電話してみました。
喜びを、誰かに、伝えずにはいられな
かったからです…!
ありがたいことに、みどりちゃんは、
すぐに、電話に、出てくれました。

で、私が喋り出す前に、第一声。
「どうだったッ!?
今日はさ、初めてのデート、感想は?!
義時もさ、緊張してたんじゃないッ?
私がいなくてもさ、二人で、ちゃんと
話せた?
あとさ、どこまで、イったの?」と。
まさに、質問バズーカー!!
「どこまでイったの」と言う最後の
質問は、どこに行った(出かけた)のかと
言う質問ではなく、『オトナ的な内容』
のモノだと分かりましたが、それは、
ほおっておくことにしました!
みどりちゃん、刑事なのに……悪い女性
ですね!
第一、私達、変な事なんて、
一切しませんでした。
義時さんは、私の手にすら触れようと
しませんでしたから!

私は、最後の質問を除き、全ての質問に
対し答えました(報告しました)。
途中から、自分が、早口になって
しまっているのに気づきました。
アッ興奮してるな、と思います。


私の報告を聞き終えた、みどりちゃん。
電話の向こうで、私以上に、大興奮
でした!!
「本当に?!
スゴイね、この流れさッ!!
あの義時と真子ちゃんが結婚なんてさ、
何か、映画みたいなんだけど……」と
言ってくれました。
それは、私も、同感でした。

まさに、みどりちゃんは、義時さんと
私の間を結んでくれた、
恋のキューピットです!
その後、キューピットみどりちゃんは、
電話で、先輩の立場から、色々と、
結婚準備に関するアドバイスを
してくれました。
「持つべきものは、本当に、
親友だなぁ」と思いました……、
みどりちゃんの声を聞きながら…。




その年の冬…。

『私たちの結婚式は、義時さんと私が、
23歳になった翌年の夏の6月24日』
と決まりました。


予想もしない人からの、
突然のプロポーズ。
そして、その日のうちに、結婚式の日も
決まる……。
二人は、本当に、相思相愛。
二人の共通の友人も応援してくれて
いる……。


今考えれば、うまく行き過ぎていました。
確かに、とんとん拍子に、行き過ぎです。



そして、実際問題……。
この後、色々なことが起こり、また、
様々なことが露見し、私達二人に……、
いえ、刑事である不動みどりちゃんも
含む私達三人に、大きな暗闇の嵐が、
襲い掛かって……。
それは、『結婚話』をも呑み込んで
しまうかのような大きな大きな強力な
嵐……。








(著作権は、篠原元にあります)
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登場人物紹介


奥中(おくなか) 真子(まこ)のちに(養子縁組により)(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)栄真子




 本書の主人公。小学校3年生のあの日 、学校のクラスメートや上級生、下級生の見ている前で、屈辱的な体験をしてしまう。その後不登校に。その記憶に苛まれながら過ごすことになる。青春時代は、母の想像を絶する黒歴史、苦悩を引継いでしまうことなる、悲しみ多き女性である。





(あし)() みどり



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、大親友。



しかし、小学校3年生のあの日 、学校の廊下を走る真子の足止めをし、真子が屈辱的な体験を味わうきっかけをつくってしまう。



その後、真子との関係は断絶する。










(よし)(とき)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメート。葦田みどりの幼馴染。



小学校3年生のあの日 、学校の廊下で真子に屈辱的な体験をさせる張本人。











奥中(おくなか) 峯子(みねこ)



本書の主人公、真子の母。スーパーや郵便局で働きながら、女手ひとつで真子を育てる。誰にも言えない悲しみと痛みの歴史がある。








雪子(ゆきこ)



本書の主人公、真子の大伯母であり、真子の母奥中峯子の伯母。


愛媛県松山市在住。







銀髪で左目に眼帯をした男



本書の主人公、真子が学校の廊下で屈辱的な体験をするあの日 、真子たちの



住む町で交通事故死した身元不明の謎の男性。



所持品は腕時計、小銭、数枚の写真。










定美(さだみ)(通称『サダミン』)



本書の主人公、真子が初めて就職したスーパーの先輩。



優しく、世話好き。



だが、真子は「ウザ」と言うあだ名をつける。









不動刑事



本書の主人公、真子が身の危険を感じ、警察署に駆け込んだ際に、対応してくれた女刑事。



正義感に溢れ、真面目で、これと決めたら周囲を気にせず駆け抜けるタイプである。



あだ名は、『不動産』。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課巡査部長。
















平戸



本書の主人公、真子につきまとう男。



また、真子の母の人生にも大きく関わっていた。






愛川のり子



子役モデル出身の国民的大女優。



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌などで大活躍中。







石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、幼馴染。小学校3年生のあの日 、真子を裏切る。




(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)(さかえ) 真子



 本書の主人公。旧姓は、奥中。



小学校3年生の時、学校中の見ている前で屈辱的体験をし、不登校に。



その後は、まさに人生は転落、夜の世界へと流れていく。



だが、22歳の時小学時代の同級生二人と再会し、和解。回復への一歩を歩みだす。

(さかえ)(よし)(とき)



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をさせた張本人。



そして、真子が22歳の時、男に追われているところを助けた人物でもある。



その後、真子の人生に大きく関わり、味方、何より人生の伴侶となる。

柳沼雪子



本書の主人公、真子の大伯母。養子縁組により、真子の母となる。



夫は眼科医であったが、すでに他界。愛媛県松山市で一人暮らしをする愛の女性である。

定美(さだみ)(通称・『サダミン』)



本書の主人公、真子が大事にしているキーホルダーをプレゼントしてくれた女性。



真子が川崎市を飛び出して来てから長いこと音信不通だったが、思いもしないきっかけで、真子と再会することになる。

不動みどり



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をするきっかけを作ってしまう。



そして、真子が22歳の時、再会。つきまとい行為を続ける男から真子を助ける。



旧姓は、葦田。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課・巡査部長。

都和(とわ)



明慈大学理工学部で学んでいた女性。DVによる妊娠、恋人の自殺、大学中退……と、真子のように転落人生を歩みかけるが、寸前を真子に助けられる。

愛川のり子



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌、海外でのドラマ出演など活躍の場を広げる国民的大女優である一方、息子の『いじめ報道』に心を痛め、また後悔する母親。



本名は、哀川憲子。

()(おり)



結婚した真子の義姉となる女性。



真子との初対面時は、性格上、真子を嫌っていたが、



後には、真子と大の仲良し、何でも言い合える仲になる。



名家の出身。



 

石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子を裏切った人物。



真子が小学時代の同級生二人と再会し、和解した夜に自殺。



第二巻では、彼の娘の名前が明かされる。

新名 志与


旧姓、長谷島。

第一章では、主人公に、『しーちゃん』と呼ばれている。

夜の世界で働いていた真子にとって、唯一の親友と

呼べる存在、姉的存在だった…。


ある出来事をきっかけに、真子と再会する(第二章)


小羽


 真子の中学生時代(奈良校)の同級生だったが…。


第二章で登場する時には、医療従事者になっている。

居村


 義時と真子が結婚式を挙げるホテルの担当者。

ブライダル事業部所属、入社3年目の若手。

 

真子曰く、未婚、彼氏募集中。

不動刑事


主人公の親友である不動みどりの夫。


石出生男の自殺現場に出動した刑事課員の1人。



最愛の妻、同じ署に勤務する警官のみどりが、

自分に隠れ、長年自宅に『クスリ』を保管、しかも、

所持だけではなく、使用していた事実を知った

彼は……。

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