序章③
文字数 1,442文字
私が自分で命を絶とうとしているとか、
そう言う話ではありません。
昔はどうであれ、もう、そんなことは一切
考えていません、今現在は…。
じゃあ、どう言うことなのか……。
実は、最高に最高にハッピーな話なのです。
実は、私、明後日の6月24日の土曜日に
結婚するんです!
もう、今からワクワクして、
胸が高まっています。
自分の花嫁姿を想像し、彼との初めての
キスシーンを思い抱くと……。
そうです。
私の日中の準備作業も、花嫁修業、つまり、
教室通いも、
全部、明後日の結婚式と今後の新婚生活の
ためのものでした。
準備作業は、それこそ、根気のいる
作業でしたが、頑張りました。
明後日の結婚式、披露宴を想いながら……。
もちろん、私一人だけでなく、
彼も協力してくれましたし、
友達も時には手伝ってくれました。
招待状の作成、発送準備、
郵便局への持ち込み。
ウェルカムボード作り、
披露宴に参加してくれる方々への
メッセージカード作り。
どれも、大変でしたが、今思うと、
楽しい作業でした。
何より、彼と二人での準備作業の
時間が一番幸せでした。
色々話しながら、助け合いながら……。
そして、今、私は一人で、
リングピローに挑戦しています!
今頃、彼は、汗を流しながら
働いてくれています。
もう少しで始まる私たち
二人の生活のために……。
ちなみに、彼と私は、私基準で言えば、
『遠距離恋愛』。
中々、会えないながらも、
愛を育んできました。
私と婚約し、結婚式の日程が決まってから、
彼は、それまで不規則だった休みの日を、
社長に直談判して、毎週土曜日にして
もらうことに成功しました。
だから、彼と会ってデートし、彼と二人で
準備作業をしたのは、
土曜日と日曜日の午後でした。
この週二日は、私にとって、本当に貴重な
時間でした。
でも、これからは、毎日、彼と会える。
と言うより、毎日彼と一緒に
生きれるのです!
今、彼は、私が住んでいる
東京都の23区の端の端からは、
特急電車に乗って2時間もかかる
自然豊かな海町に住んでいます。
明後日からは、私もその市で生活を
営むようになるのです。
また、あの壮大な太平洋を眺め、
癒される水田地帯を歩き、彼と共に、
あの市で暮らせると思うと、
本当に嬉しいかぎりです。
それだけでなく、彼には優しい家族が
いっぱい、います。
私は、明後日から、その人たちとも
家族になれるのです。
『家族』と言うものに飢えていた
私にとって、考えられないような、
楽しくて、興奮できて、幸せな日々が
始まります。
実は、昨晩も、彼のお母さんから
電話がありました。
何だろうと思いながら話を聞いていると、
何と、結婚式前の私にサプライズ的な
プレゼントを贈ってくれたのでした。
彼のお母さんは、言いました。
「明後日、新宿の
〔手々・LOSS・たいむ〕というお店に
行って、エステとかいろいろ受けておいで。
有名なお店みたいだけど知ってるかしら?
……それでね、真子さんの名前で
もう予約して、お金も払ったから、
あとは、電話して時間を決めてね。」
受話器を置いた私はぼんやりしていました。
何か夢を見ているような……。
嬉しさもありましたが、信じられないと
言う気持ちの方が大きかったです!
当然ですよね⁉
女性の皆さんならお分かりだと思いますが、
あの〔手々・LOSS・たいむ〕です。
私は、夢かと思って、
頬をつねってみました、本当に。
でも、夢ではありません。
ドキドキしてきます。
「えっ⁉私が行けるの?なんでっ⁉
本当に、本当⁉」
夢ではないけれど、本当なのかなぁと疑ってしまう、
私でした。