第十五章 ⑲

文字数 2,059文字

(ここでは、第四章⑩と
時間枠が一致するので、
交互に読まれることをすすめる)




そうだ……。
みどりちゃんはですね、中学時代の思い出を
話してくれました。

アレは……爆笑でしたね、女子一同。
今でも、思い出すだけで、笑えます。
と言うより、張本人の先生、可哀そう
です。
一生トラウマでしょうね。
普通の人なら、絶対、そうなります。


みどりちゃんの話は次の通りです。
「私の中学時代なんてさ、女子校だった
けどさ、こしまんとこの男子達以上に
みんなスゴかったよ!
まさに、修学旅行が修羅場になってさ…。
ってかさ、こしまの学校のアホ男子達は
説教だけで済んだんでしょ、センコウの。
こっちは、センコウが本気で女子生徒を
怒鳴り散らして、追いかけ回してさ、
大騒動になったんだからさ!!
あれはねぇ、そうだ、こっちはさ、本当に
最終日の最終日!
で、全部終わってさ、イザ新幹線で帰る
って時だったんだよ。
駅のホームでさ、乗る新幹線の到着を
一団になって待ってたんだけどさ、
一部のヤンチャなさ、女子グループが
ふざけ出してね、普段からさ、
『カツラ疑惑』のある英語の先生の
後ろにそっと近づいてってさ、
……アレ、本当にふざけてただけで、
何の悪意もなかったんだけどさ、
その先生のさ、帽子をバッて取った
んだよ!!
でさぁ、そしたら、どうなったと思う?
なんとさぁ!!
帽子だけじゃなくてさ、本当にさ、
カツラまで取れちゃって、その先生、
ツルピカ頭なのよ!
普段のモフモフの髪の毛なんなんだ
ってことになるよね!?
それでさぁ、そのグループの奴らも
そうだけどさ、周りの生徒全員も
大騒ぎでさ、他の引率の先生たちも
必死に笑い堪えてるわけさ……。
で、一人当の本人のカツラ先生はさ、
怒りで全身震わしてさ、顔もタコの
ように真っ赤にしてさ。
で、数秒後!
大爆発!!!
ホーム全体に、そのカツラ先生の
怒鳴り声が響いてさ、心臓縮まった
よね、アレは……。
それでさ、そこからは、そのワル連中と
カツラ先生のバトルだよね。
帽子とさ、カツラを持ったままの
連中は必死に逃げていくわけ。
で、後をさ、ツルピカ頭のセンコウが
喚きながら追ってさぁ。
でね、こっちの話のオチだけどさ、
マジ笑えるよ!
そのカツラまで取っちゃって、先生に
追われることになった女子たちさ、
必死に逃げるうちにさ、神戸中央駅で
迷子になってやんの!
で、カツラ先生や他の先生総動員プラス
駅員さんや交番の警官も巻き込んでの
大捜索で……、発見されてさぁ!
それで、発見されたのは良いけどさ、
乗ろうとしてた新幹線に結局乗れなく
なってさ、ソイツらとカツラ先生と
もう1人の女の新任の先生がさ……。
もうさ、帰った後は、親も学校に呼び
出されて、大目玉になってねぇ。
まぁ、何とか、親も巻き込んで土下座
して、そのカツラ先生と校長とかに
謝罪してさ、退学は免れて、停学。
でもさぁ、それで終わらないんだよね!
ソイツらさ、それ以降、ずっと、
カツラ先生から睨まれ続けてさ……、
その先生、英語の担当だったから、英語の
授業の時間には、絶対、中学生じゃ
答えられないような問題を当てられてね。
しかも、英語の成績は、当然、そうなる
わけよ!!
ま、自業自得だけどさ……。
でね、最後に、言うけどさ、そのワル連中
の一人が、私なんだ、実は。
今思うと、本当に、私たち、悪かった
よネ!?」

そのカツラの先生には申し訳ないですが、
私たち3人、大爆笑。
お腹を抱えて、大笑いしました。
答えられるわけありません!
笑え過ぎて、言葉にならない!

しばらくして、一番最初に普通状態に
戻れたやよいちゃんが、言いました。
「それは、完全に、悪いですね」。
目にはうっすらと涙が……。

私も、やっとおさまってきたので言って
やりました。
「悪い、悪い、みどりちゃんたちが、
絶対に悪いよ。非は、みどりちゃんたち
だけ!
あぁ、その先生、一生、みどりちゃんたち
のこと忘れないだろうねぇ!
メチャクチャ、悪い意味で!!」。

一番最後まで、ヒーヒー言って、本当に、
床を転がっていた葦田こしまちゃんが、
私の発言から数分後に、姉に言って
やってました。
「お姉ちゃん!!
そんなコトやってたの!
お姉ちゃんは、優等生だって思って
たけど、とんでもないワルだったんだ?!
それが、今じゃ、夫婦揃って警官って
いうのも、笑えるわ!
このコトさ、その先生に報告しに行ったら
その先生、ショックで倒れるかもネ!」。

同感ですね……。
そのカツラ先生、どんな顔をすること
でしょう?
見てみたい気もするような……、って
言うより、本当に、みどりちゃんは、
菓子折り持って、その先生に、ちゃんと
謝りに行かないといけないですね!



そんなこんなで、あれは、もう
【笑いの宴】でしたね。
よくもまあ、隣から苦情が来なかった
ものです。
で、そんな時間は、あっという間に
終わりました。
なぜって……、みんな…と言うよりは、
社会人組の私とみどりちゃんが眠たくて
なってきて、もうダメになってしまった
からですね。
若い学生組は、まだまだイケるような
感じでしたが……、
ここは、姉・大人、家主・大人に従って
もらうことにしました。








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登場人物紹介


奥中(おくなか) 真子(まこ)のちに(養子縁組により)(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)栄真子




 本書の主人公。小学校3年生のあの日 、学校のクラスメートや上級生、下級生の見ている前で、屈辱的な体験をしてしまう。その後不登校に。その記憶に苛まれながら過ごすことになる。青春時代は、母の想像を絶する黒歴史、苦悩を引継いでしまうことなる、悲しみ多き女性である。





(あし)() みどり



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、大親友。



しかし、小学校3年生のあの日 、学校の廊下を走る真子の足止めをし、真子が屈辱的な体験を味わうきっかけをつくってしまう。



その後、真子との関係は断絶する。










(よし)(とき)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメート。葦田みどりの幼馴染。



小学校3年生のあの日 、学校の廊下で真子に屈辱的な体験をさせる張本人。











奥中(おくなか) 峯子(みねこ)



本書の主人公、真子の母。スーパーや郵便局で働きながら、女手ひとつで真子を育てる。誰にも言えない悲しみと痛みの歴史がある。








雪子(ゆきこ)



本書の主人公、真子の大伯母であり、真子の母奥中峯子の伯母。


愛媛県松山市在住。







銀髪で左目に眼帯をした男



本書の主人公、真子が学校の廊下で屈辱的な体験をするあの日 、真子たちの



住む町で交通事故死した身元不明の謎の男性。



所持品は腕時計、小銭、数枚の写真。










定美(さだみ)(通称『サダミン』)



本書の主人公、真子が初めて就職したスーパーの先輩。



優しく、世話好き。



だが、真子は「ウザ」と言うあだ名をつける。









不動刑事



本書の主人公、真子が身の危険を感じ、警察署に駆け込んだ際に、対応してくれた女刑事。



正義感に溢れ、真面目で、これと決めたら周囲を気にせず駆け抜けるタイプである。



あだ名は、『不動産』。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課巡査部長。
















平戸



本書の主人公、真子につきまとう男。



また、真子の母の人生にも大きく関わっていた。






愛川のり子



子役モデル出身の国民的大女優。



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌などで大活躍中。







石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、幼馴染。小学校3年生のあの日 、真子を裏切る。




(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)(さかえ) 真子



 本書の主人公。旧姓は、奥中。



小学校3年生の時、学校中の見ている前で屈辱的体験をし、不登校に。



その後は、まさに人生は転落、夜の世界へと流れていく。



だが、22歳の時小学時代の同級生二人と再会し、和解。回復への一歩を歩みだす。

(さかえ)(よし)(とき)



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をさせた張本人。



そして、真子が22歳の時、男に追われているところを助けた人物でもある。



その後、真子の人生に大きく関わり、味方、何より人生の伴侶となる。

柳沼雪子



本書の主人公、真子の大伯母。養子縁組により、真子の母となる。



夫は眼科医であったが、すでに他界。愛媛県松山市で一人暮らしをする愛の女性である。

定美(さだみ)(通称・『サダミン』)



本書の主人公、真子が大事にしているキーホルダーをプレゼントしてくれた女性。



真子が川崎市を飛び出して来てから長いこと音信不通だったが、思いもしないきっかけで、真子と再会することになる。

不動みどり



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をするきっかけを作ってしまう。



そして、真子が22歳の時、再会。つきまとい行為を続ける男から真子を助ける。



旧姓は、葦田。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課・巡査部長。

都和(とわ)



明慈大学理工学部で学んでいた女性。DVによる妊娠、恋人の自殺、大学中退……と、真子のように転落人生を歩みかけるが、寸前を真子に助けられる。

愛川のり子



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌、海外でのドラマ出演など活躍の場を広げる国民的大女優である一方、息子の『いじめ報道』に心を痛め、また後悔する母親。



本名は、哀川憲子。

()(おり)



結婚した真子の義姉となる女性。



真子との初対面時は、性格上、真子を嫌っていたが、



後には、真子と大の仲良し、何でも言い合える仲になる。



名家の出身。



 

石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子を裏切った人物。



真子が小学時代の同級生二人と再会し、和解した夜に自殺。



第二巻では、彼の娘の名前が明かされる。

新名 志与


旧姓、長谷島。

第一章では、主人公に、『しーちゃん』と呼ばれている。

夜の世界で働いていた真子にとって、唯一の親友と

呼べる存在、姉的存在だった…。


ある出来事をきっかけに、真子と再会する(第二章)


小羽


 真子の中学生時代(奈良校)の同級生だったが…。


第二章で登場する時には、医療従事者になっている。

居村


 義時と真子が結婚式を挙げるホテルの担当者。

ブライダル事業部所属、入社3年目の若手。

 

真子曰く、未婚、彼氏募集中。

不動刑事


主人公の親友である不動みどりの夫。


石出生男の自殺現場に出動した刑事課員の1人。



最愛の妻、同じ署に勤務する警官のみどりが、

自分に隠れ、長年自宅に『クスリ』を保管、しかも、

所持だけではなく、使用していた事実を知った

彼は……。

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