第十七章 栄真子の新婚、新居生活 ~すべてが初めてな新妻!~ ①
文字数 1,493文字
変わった。
これで、二度目。
奥中から、母の死後、大伯母に引き取られ
柳沼姓。
そして……。
最愛の男性と一緒になって、幸せな家庭を
築いていくにあたり、栄姓。
「栄、真子……」とつぶやいてみる。
不思議な感じだった。
そして……。それだけじゃないし。
今まで身につけていなかったもの。
結婚指輪をかざす。
改めて、「結婚したんだなぁ」と。
「もう独身じゃなく、妻なんだ」と
感慨深い…。
隣で、まだ、眠っている夫。
新しい家族。
それに、下の階には、夫の家族たちも
泊っている。
1日で、一気に、7人……いやそれ以上の
『家族』ができた。
それに、早ければ、来年には、夫婦で
赤ちゃんをあやしてるかも。
妻、真子は、早く起き過ぎたけれど、
「ラッキー!」と思った。
夫の寝顔を見れるんだから。
しばらく、このまま、そっとしておこう
……、と言うより、ジッとして、眺めて
おこう。
「このままにしておけば、当分起きない
だろうから」
昨夜―結婚式、披露宴当日―は、
ずっとドタバタしまくりだった……。
『猫の手も借りたい』の意味が、花嫁で
ある真子には、本当に、分かった。
しかも……!!
披露宴後…。夫と2人になりたい、ちょっと
休みたい……って言うのに、まだ、ある!
二次会、そして、進路新婦と未婚男女だけ
の三次会まで!?
全てが終わって、深夜。
疲れ果てて、2人で、部屋に戻った。
半分酔っている夫を抱えて。
その後は、……。
真子は、じっと見つめた。
いくらでも見ていられるな、と思う。
それに、意外といびきも小さい…。
で、「私、どうだったんだろう?」と気に
なる……。
「この人と一つになれたんだ…」
感動が溢れてくる。
初めて、男性と寝た。
1つは、男女の交わりの意味で。
もう1つは、文字通り…。
父もなく、祖父も見たことがない。
母は1人子だったから伯父、叔父も
いなかった。
だから、文字通り、『男性と寝た』
ことがなかった。
母と寝たこと、大伯母である雪子と
寝たこと、それから、志与やみどり、
こしまややよいと一緒に寝たことは
あるけれど、本当に、男性とは…、
1度も……。
自分のすぐ横で、スヤスヤと眠る
夫を見つめながら、そう考える。
不思議な感じ。
今までの自分じゃなくなった感。
しばらく、夫の寝顔を見続け…。
満足した奥方。
静かに、自分も、再び、身体を横たえる。
それに…と思う。
「別に、今日だけじゃなくて、これから、
いつでも、いっぱい見れるんだから」と。
まだまだ、時間は早い。
目をつぶる。
すぐ近くに、夫。
そして、夫の匂い…。
手をちょっと伸ばしてみる。
そっとだけど、夫の浅黒い腕に、
触れてみた、一瞬。
筋肉質な体…。
それに、思ったより、熱かい。
「男の人って、体が冷たいっていう
イメージだったけど……」と思った。
そして、昨夜のことを一気に思い出す。
ありありと浮かんでくる、昨夜の、『初夜』
の出来事……。
顔だけじゃなく、体全身がカッと熱く
なった、燃えるように…。
しばし……。
冷静になって、真子は思った。
「もう、本当に女なんだよね」
「昨日、初めてを、やったんだ」
下半身に……、自分の女性そのものに
手をあててみた。
少し、痛み、違和感がある…。
「そっか、やったんだぁ!
ちゃんと、出来たんだぁ!!」
喜びが溢れてくる……。
そして、感動で、泣き出してしまい。
隣の夫を起こさないようにと、必死に
声は抑えながら、…そして、妻は、
反対方向に、身体を向ける。
それでも、夫の身体の熱さは感じられて
……。
幸せであった。
一生、これから、添い遂げていくんだ、
この人と……、改めて、心の中で誓った。
(・著作権は、篠原元にあります
・第十七章スタートしました。
宜しくお願いします! )