第十五章 ⑮

文字数 1,891文字

(ここでは、第五章⑥、⑪と
時間枠が一致するので、
交互に読まれることをすすめる)




女子大生のやよいちゃんが、改まった
表情で、それと、正座までして、
「真子さん」と私に話しかけてきます。
ちなみに、既婚の女刑事さんとその妹は、
まだやり合って(笑)います……。

「うん?」と、私が応えると、
やよいちゃんが、頭を下げて言うのです。
「さっき、こしまのお姉さんが言ってました
けど、私、あの時、親友だった真子さんの
おかげで、同級生たちにケガさせずに済んだ
んですね……。
本当に、ありがとうございました」。
何だか、ジーンと来ちゃいました。
思わず、「やよいちゃん……!」と
言いながら、
彼女の真っ白でキレイな手に自分の手を
重ねていました。

数秒後にハッとする私。
手をどけようと……。
でも、そんな私に、女子大生丸瀬ちゃんは
言ってくれました。
「大丈夫です。
嬉しいんです。
また、あの頃みたいになれそうで……。
あの、今、連絡先交換してもらえ
ますか?」。

そこで、断る人間なんていますか!?

私たち女子2人は、すぐに、連絡先を
交換しました。
嬉しかったですねぇ。
あの頃の親友と再会できて、しかも、
「これからも、よろしく」ってこと
ですものね!?
私の携帯の電話帳のリストが、親友の
名前で、少しずつ、増えていきます…。
もう男性客の名前は全削除してスッカラ
カンでしたからね(笑)。

あと、嬉しかったのは、まぁ、ちょっと
戸惑いはしましたけど、刑事さんを姉に
もつこしまちゃんも、当然の如く、
「じゃあ、私とも、してください」と
言ってきてくれたこと……。
そんな風に思ってくれてるんだ……って
嬉しかったんです。
で、もちろん、こしまちゃんとも、
連絡先交換をしました!
横で眺める旦那持ちの警察官さんは、
「こしまぁ!あんたさぁ、迷惑なメール
とか、非常識な時間のさ電話なんて、
絶対にすんなよぉ」と言って、また、
こしまちゃんに、ギャーッって言われて
ましたけど……。


私は、その日、昔の親友と再会し、
そして、その子と、また親友になれたの
でした……。
振り返るなら、奈良で、やよいちゃんと
出会えたのは……、と言うより、奈良で、
やよいちゃんの隣の部屋に住めることに
なったのは、偶然なんかじゃなくて、スゴイ
奇跡だったんですね。
『奇跡的巡り合わせ』だと、思います。
そして、やよいちゃんは、私の親友に
なってくれたのです。
一人ぼっちで寂しい時間を過ごす、私の。

だけど、私とやよいちゃんは、離れ離れ
になってしまいます。
それは、私が、私なりに考えて、愛媛の
雪子おばさんのところに移ろうと、決心
したからです。

私は、『自分自身』、『自分の生き方』を
私なりに変えたかったのです。
だから、一大奮起して、母のもとを離れ、
愛媛県松山に移り住みました。
そして、大自然の中、充実した日々を
過ごし、雪子おばさんと楽しく暮らし、
ちゃんと、学校生活も送れるように
なり、どんどん回復していくのです…。

でも、私は、やよいちゃんのことを
ちゃんと考えれてはいなかったんだなぁ
と思います。
まぁ、あの当時の年齢なら、しょうがない
と思いますが、急に、親友が遠く四国に
行ってしまったやよいちゃんは……。
やよいちゃんの側からしたら、本当に
悲しくて、落ち込んでしまったそうです。


そんな感じで、私が、愛媛に行き、
私とやよいちゃんの関係は終わって
しまったのです。
その後、中2の夏ごろまで愛媛で過ごした
私が、母の待つ奈良に戻った時には、
すでに、やよいちゃん一家の方が、
引っ越してしまっていました。
母は、「お家の都合でね、生駒市の方に
越したのよ」と教えてくれました。
だから、私は、あれっきり、やよいちゃん
に会うことはなかったのです。
そして、日々を過ごすうちに、
丸瀬やよいちゃんのことをすっかりと
忘れていくのでした……。

でも、やよいちゃんの方では、あの山道
での出来事は忘れられるものでなくて、
だから、私のことも、ずっと憶えていて
くれたみたいです……。






そして、あの日、私たち二人は、
再会したのです。
東京都のヒトゴミの中、都会の中心で。
ずっと昔、奈良の山奥で、一緒だった
2人が……!!
スゴイ奇跡だと、思いませんか!?




あ、それで、話を戻しますね。
みどりちゃんとこしまちゃん、それから、
丸瀬やよいちゃんも加わってくれた、
その日の、結婚式の準備作業は、かなりの
スピードで進みました。
ハッキリ言って、私の目標以上、予想以上の
デキでした。
私1人だったら1週間分の成果が、1日で!
葦田こしまちゃんも丸瀬やよいちゃんも
手先が抜群に器用で、また、若い集中力を
全力投球してくれました。
まさに、百人力……、いや、五百人力
でした!







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登場人物紹介


奥中(おくなか) 真子(まこ)のちに(養子縁組により)(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)栄真子




 本書の主人公。小学校3年生のあの日 、学校のクラスメートや上級生、下級生の見ている前で、屈辱的な体験をしてしまう。その後不登校に。その記憶に苛まれながら過ごすことになる。青春時代は、母の想像を絶する黒歴史、苦悩を引継いでしまうことなる、悲しみ多き女性である。





(あし)() みどり



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、大親友。



しかし、小学校3年生のあの日 、学校の廊下を走る真子の足止めをし、真子が屈辱的な体験を味わうきっかけをつくってしまう。



その後、真子との関係は断絶する。










(よし)(とき)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメート。葦田みどりの幼馴染。



小学校3年生のあの日 、学校の廊下で真子に屈辱的な体験をさせる張本人。











奥中(おくなか) 峯子(みねこ)



本書の主人公、真子の母。スーパーや郵便局で働きながら、女手ひとつで真子を育てる。誰にも言えない悲しみと痛みの歴史がある。








雪子(ゆきこ)



本書の主人公、真子の大伯母であり、真子の母奥中峯子の伯母。


愛媛県松山市在住。







銀髪で左目に眼帯をした男



本書の主人公、真子が学校の廊下で屈辱的な体験をするあの日 、真子たちの



住む町で交通事故死した身元不明の謎の男性。



所持品は腕時計、小銭、数枚の写真。










定美(さだみ)(通称『サダミン』)



本書の主人公、真子が初めて就職したスーパーの先輩。



優しく、世話好き。



だが、真子は「ウザ」と言うあだ名をつける。









不動刑事



本書の主人公、真子が身の危険を感じ、警察署に駆け込んだ際に、対応してくれた女刑事。



正義感に溢れ、真面目で、これと決めたら周囲を気にせず駆け抜けるタイプである。



あだ名は、『不動産』。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課巡査部長。
















平戸



本書の主人公、真子につきまとう男。



また、真子の母の人生にも大きく関わっていた。






愛川のり子



子役モデル出身の国民的大女優。



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌などで大活躍中。







石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、幼馴染。小学校3年生のあの日 、真子を裏切る。




(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)(さかえ) 真子



 本書の主人公。旧姓は、奥中。



小学校3年生の時、学校中の見ている前で屈辱的体験をし、不登校に。



その後は、まさに人生は転落、夜の世界へと流れていく。



だが、22歳の時小学時代の同級生二人と再会し、和解。回復への一歩を歩みだす。

(さかえ)(よし)(とき)



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をさせた張本人。



そして、真子が22歳の時、男に追われているところを助けた人物でもある。



その後、真子の人生に大きく関わり、味方、何より人生の伴侶となる。

柳沼雪子



本書の主人公、真子の大伯母。養子縁組により、真子の母となる。



夫は眼科医であったが、すでに他界。愛媛県松山市で一人暮らしをする愛の女性である。

定美(さだみ)(通称・『サダミン』)



本書の主人公、真子が大事にしているキーホルダーをプレゼントしてくれた女性。



真子が川崎市を飛び出して来てから長いこと音信不通だったが、思いもしないきっかけで、真子と再会することになる。

不動みどり



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をするきっかけを作ってしまう。



そして、真子が22歳の時、再会。つきまとい行為を続ける男から真子を助ける。



旧姓は、葦田。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課・巡査部長。

都和(とわ)



明慈大学理工学部で学んでいた女性。DVによる妊娠、恋人の自殺、大学中退……と、真子のように転落人生を歩みかけるが、寸前を真子に助けられる。

愛川のり子



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌、海外でのドラマ出演など活躍の場を広げる国民的大女優である一方、息子の『いじめ報道』に心を痛め、また後悔する母親。



本名は、哀川憲子。

()(おり)



結婚した真子の義姉となる女性。



真子との初対面時は、性格上、真子を嫌っていたが、



後には、真子と大の仲良し、何でも言い合える仲になる。



名家の出身。



 

石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子を裏切った人物。



真子が小学時代の同級生二人と再会し、和解した夜に自殺。



第二巻では、彼の娘の名前が明かされる。

新名 志与


旧姓、長谷島。

第一章では、主人公に、『しーちゃん』と呼ばれている。

夜の世界で働いていた真子にとって、唯一の親友と

呼べる存在、姉的存在だった…。


ある出来事をきっかけに、真子と再会する(第二章)


小羽


 真子の中学生時代(奈良校)の同級生だったが…。


第二章で登場する時には、医療従事者になっている。

居村


 義時と真子が結婚式を挙げるホテルの担当者。

ブライダル事業部所属、入社3年目の若手。

 

真子曰く、未婚、彼氏募集中。

不動刑事


主人公の親友である不動みどりの夫。


石出生男の自殺現場に出動した刑事課員の1人。



最愛の妻、同じ署に勤務する警官のみどりが、

自分に隠れ、長年自宅に『クスリ』を保管、しかも、

所持だけではなく、使用していた事実を知った

彼は……。

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