第十五章 ⑮
文字数 1,891文字
時間枠が一致するので、
交互に読まれることをすすめる)
女子大生のやよいちゃんが、改まった
表情で、それと、正座までして、
「真子さん」と私に話しかけてきます。
ちなみに、既婚の女刑事さんとその妹は、
まだやり合って(笑)います……。
「うん?」と、私が応えると、
やよいちゃんが、頭を下げて言うのです。
「さっき、こしまのお姉さんが言ってました
けど、私、あの時、親友だった真子さんの
おかげで、同級生たちにケガさせずに済んだ
んですね……。
本当に、ありがとうございました」。
何だか、ジーンと来ちゃいました。
思わず、「やよいちゃん……!」と
言いながら、
彼女の真っ白でキレイな手に自分の手を
重ねていました。
数秒後にハッとする私。
手をどけようと……。
でも、そんな私に、女子大生丸瀬ちゃんは
言ってくれました。
「大丈夫です。
嬉しいんです。
また、あの頃みたいになれそうで……。
あの、今、連絡先交換してもらえ
ますか?」。
そこで、断る人間なんていますか!?
私たち女子2人は、すぐに、連絡先を
交換しました。
嬉しかったですねぇ。
あの頃の親友と再会できて、しかも、
「これからも、よろしく」ってこと
ですものね!?
私の携帯の電話帳のリストが、親友の
名前で、少しずつ、増えていきます…。
もう男性客の名前は全削除してスッカラ
カンでしたからね(笑)。
あと、嬉しかったのは、まぁ、ちょっと
戸惑いはしましたけど、刑事さんを姉に
もつこしまちゃんも、当然の如く、
「じゃあ、私とも、してください」と
言ってきてくれたこと……。
そんな風に思ってくれてるんだ……って
嬉しかったんです。
で、もちろん、こしまちゃんとも、
連絡先交換をしました!
横で眺める旦那持ちの警察官さんは、
「こしまぁ!あんたさぁ、迷惑なメール
とか、非常識な時間のさ電話なんて、
絶対にすんなよぉ」と言って、また、
こしまちゃんに、ギャーッって言われて
ましたけど……。
私は、その日、昔の親友と再会し、
そして、その子と、また親友になれたの
でした……。
振り返るなら、奈良で、やよいちゃんと
出会えたのは……、と言うより、奈良で、
やよいちゃんの隣の部屋に住めることに
なったのは、偶然なんかじゃなくて、スゴイ
奇跡だったんですね。
『奇跡的巡り合わせ』だと、思います。
そして、やよいちゃんは、私の親友に
なってくれたのです。
一人ぼっちで寂しい時間を過ごす、私の。
だけど、私とやよいちゃんは、離れ離れ
になってしまいます。
それは、私が、私なりに考えて、愛媛の
雪子おばさんのところに移ろうと、決心
したからです。
私は、『自分自身』、『自分の生き方』を
私なりに変えたかったのです。
だから、一大奮起して、母のもとを離れ、
愛媛県松山に移り住みました。
そして、大自然の中、充実した日々を
過ごし、雪子おばさんと楽しく暮らし、
ちゃんと、学校生活も送れるように
なり、どんどん回復していくのです…。
でも、私は、やよいちゃんのことを
ちゃんと考えれてはいなかったんだなぁ
と思います。
まぁ、あの当時の年齢なら、しょうがない
と思いますが、急に、親友が遠く四国に
行ってしまったやよいちゃんは……。
やよいちゃんの側からしたら、本当に
悲しくて、落ち込んでしまったそうです。
そんな感じで、私が、愛媛に行き、
私とやよいちゃんの関係は終わって
しまったのです。
その後、中2の夏ごろまで愛媛で過ごした
私が、母の待つ奈良に戻った時には、
すでに、やよいちゃん一家の方が、
引っ越してしまっていました。
母は、「お家の都合でね、生駒市の方に
越したのよ」と教えてくれました。
だから、私は、あれっきり、やよいちゃん
に会うことはなかったのです。
そして、日々を過ごすうちに、
丸瀬やよいちゃんのことをすっかりと
忘れていくのでした……。
でも、やよいちゃんの方では、あの山道
での出来事は忘れられるものでなくて、
だから、私のことも、ずっと憶えていて
くれたみたいです……。
そして、あの日、私たち二人は、
再会したのです。
東京都のヒトゴミの中、都会の中心で。
ずっと昔、奈良の山奥で、一緒だった
2人が……!!
スゴイ奇跡だと、思いませんか!?
あ、それで、話を戻しますね。
みどりちゃんとこしまちゃん、それから、
丸瀬やよいちゃんも加わってくれた、
その日の、結婚式の準備作業は、かなりの
スピードで進みました。
ハッキリ言って、私の目標以上、予想以上の
デキでした。
私1人だったら1週間分の成果が、1日で!
葦田こしまちゃんも丸瀬やよいちゃんも
手先が抜群に器用で、また、若い集中力を
全力投球してくれました。
まさに、百人力……、いや、五百人力
でした!
(著作権は、篠原元にあります)