第十七章 55
文字数 966文字
大事なことを確認して、これまた、
おしとやかに、真子たちの部屋から
出て行った。
真子は、ほれぼれとした……。
同じ女性だけど、自分は、及びもしない
なぁ。
それから、若い2人は、畳の上で、
ゆっくりした。
お茶と、地元の銘菓を食べながら。
夫が、途中で、テレビをつけたのが
気に入らなかったけど、あえて、何も
言わなかった。
なんか、「夫婦になったんだなぁ」と、
寝ころびながらテレビを見る夫を見て、
思った。
テレビを見ながら、そのまま寝てしまった
夫を起こさないように、真子は、静かに
リモコンで、消した。
これからも、こんな幸せな毎日が続いて、
途中で子どもも生まれてウルさくなり、
それから、あんまり会話もないような
中年夫婦になって、いつか、二人で孫の
お世話とかするんだろうなぁ……と
考えた。
幸せ過ぎて、思わず、泣けた。
1時間くらい経ったか。
急に、夫がガバッと立ち上がった。
読書していた真子は、驚いた。
少しは、「う~ん」と声を出すとか、
寝返りをしてくれればイイものを…。
と、内心で思う。
そんな真子に、義時が、
「温泉行って来る」と。
まぁ、ちょうど、夕食前に、良い時間。
真子も、一緒に行くことにした。
義時が、すぐ横で、服をポンポン脱ぎ
出した。
で、あっという間に、浴衣姿に。
「君も早く着替えたら?」。
……もちろんそのつもりだけど。
真子は、浴衣類を抱えて、洗面所へ
向かった。
そんな妻が愛おしかった。
まだ、自分の前で着替えるのが恥ずかしい
んだな…と。
意外と初心な彼女が本当に、愛らしい。
新婚の2人は、温泉大浴場のあるフロアの
男性と女性が別れるべきとこで、時間を
約束して、それぞれの場所へ入った。
ちなみに、男の方は空いていたけけど、
真子の方は、混んでいた…。
地下階にある温泉大浴場。
岩風呂で源泉かけ流しの湯に浸り
ながら、「最高だぁ」と、義時は
つぶやく。
やっぱ温泉は良い。
心底、思った。
「うちも、温泉出ないかなぁ」。
いすみ市に温泉はない。
温泉が出たら、それこそ…!!
帰ったら社長―兄―に、ボーリングの
件を絶対に相談しよう、義時は、新婚
旅行先で、決めていた……温泉に浸り
ながら。
(著作権は、篠原元にあります)
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ございます。