第十七章 ㉚
文字数 1,444文字
国内を選択。
そして、西日本、もっと言えば、九州。
『九州横断の旅』……。
でも、本当は。
真子は、海外に行きたかった。
新婚旅行=海外、派だったから。
で、ちょっと、揉めた。
いや、喧嘩になった、彼と。
だって、真子としては、当然、新婚旅行は
海外に行く、ものだったから。
それに、不動みどりも氏家さなみも、
仕事を休んで、しっかりと、外国に行った
と聞いていたし。
だから、何の考えもなしに、海外一本に
絞って、プランを考えていたのだけれど
……。
ある日―もちろん結婚式前―、彼との
デートの際。
そう、ちょうど、お洒落なカフェでの
ことだった。
そんなに理由はないけど、何気なく、
なんとなく、訊いてみた。
まぁ、もちろん、もう自分の中で、ある程度
『範囲』は絞り切れてたし、
あそこかあそこのどっちかだなぁ……って
ところまで来てたけど、一応……聞いてみた、
って感じ。
そうしたら。
なんと!!
想定外の、予想外の、答えが、真子に
返ってきた。
つまりは、「国内にしようよ!」と言う
『あり得ない意見』が……!!
しかも、その、理由にムカつい…腹が立つ。
「移動時間が長くなるから」とか、
「両替や入国審査とか面倒くさい!」とか、
「言葉通じないから不便」とか、
全部、自分本位の『我儘』だ……と、
真子は、聞いていて、思った!
で、腹が立ってしょうがなかった。
折角の新婚旅行なのに……。
人生1度しかない特別な旅行なのに……。
私が一生懸命、忙しい中、仕事と式の準備と
両立して、プラン考えたりしてたのに……!!
「時間?
両替?
入国審査?
言葉……!!
フザケンナっ!」
正直、周りのお客さんの目がなければ、
怒鳴ってたかもしれない。
それほど、腹が立った。
新婚旅行に行こうってのに、こんなに、
物臭なことを言ってくるとは!?
しまいには、『お金』のこと言ってきた!
「海外行くと金かかるよ……。
国内の方が安くすむでしょ?」と……。
驚きで目が飛び出しそうになった。
え、こんなとこで、ケチるの!?
「その分、私の貯金から出すよ」と言って
みたけど、
「イヤイヤイヤ!!
結婚したら、君の金も俺の金もないし!」と
否定されて……。
結婚前に、初めて、彼の『隠れた本性』を
見れたような、感じがした。
で、ハッキリ言って、百年の恋も冷める……
って、ところまではギリギリ行かなかった
けれど、「色々考えなおそうかな…」と
思った。
新婚旅行、いや、結婚の話自体……。
百歩譲って、国内でも良いとしても―行ける
なら―、……でも、こんなに大事なこと
―新婚旅行のこと―で、ケチる人だった
なんて…。
半分、喧嘩別れみたいな感じで、その日は、
分かれた。
帰り道、トボトボと歩きながら、真子は
親友たちの話を思い出す。
志与はラーメンマニアの旦那と中国・台湾
に行った。
氏家さなみは昔短期留学していたという
南米に。
それから、みどりも旦那と一緒に、警察署の
上司から長期の休みをもらってイギリスに。
「念願のさ、イギリス行ったんだ。
まぁ、ああいう機会じゃないとさ、
あんな長い休みさ、もらえないからネ」
みどりは、幸せそうに言っていた。
それに…。
自分たちより一足早く挙式する小羽たち。
彼女が、こそッと教えてくれた。
「クルーズ船でね、バルト3国に
行くんだ♪」と。
そう、そう、そう!!
み~んな、海外なのだ!
み~んな―男性も―、お金、言葉、時間、
入国審査なんか、気にしないものなに、
普通は…!!
(・著作権は、篠原元にあります
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