第十五章 23

文字数 2,993文字

(ここでは、第十二章②、③と
時間枠が一致するので、
交互に読まれることをすすめる。
ただし、犯罪行為的内容が含まれ
ます)




明慈大学の学生である葦田こしまちゃん、
丸瀬やよいちゃんの話をまとめると、
こう言うことです……。

カワシマ トワちゃん……という女の子
の身に降り掛かった不幸な出来事に
ついて。
胸が痛くなり、かき乱されるような内容
でした。


田舎から上京、一人暮らしを始めた
都和ちゃんは、入学した明慈大学で、
二人の同級生と大親友になりました。
それが、理工学部で学ぶ彼女とは違う
学部で学んでいた、葦田こしまちちゃん、
丸瀬やよいちゃんの2人です。


でも、ある時……。
都和ちゃんに関する、ある【暗い噂】が
学年中に広まります。
心配し、また、憤慨していた、葦田&
丸瀬ペアは、当の本人から話を聞くこと
にしました。
そして……!!
衝撃の事実を突きつけられます!

そう、それは…。
その【暗い噂】、【都和ちゃんの人格を
貶めるような話】が事実であるという
重いモノでした……。


こしまちゃんとやよいちゃん。
そして、都和ちゃんだけの3人の空間…。


そこで、都和ちゃんは、机に突っ伏して
泣き出します……。
そして、告白するのです。

自分が妊娠している事実を。
そして、相手は、同じ大学の先輩…。
しかも、合意なく性的交渉を迫られ…。


言いづらそうに、やよいちゃんが、
説明してくれました。
「都和とは、私たち一番仲が良くて…。
それで、泣きながら、教えて……って
言うか、私たちが、ちゃんと話させた
んです。
『有耶無耶にさせちゃダメだよ!』って。
それで……。つまり、その……。
その先輩の部屋で、その……、乱暴されて
しまって、それで、妊娠しちゃったって
……」。


つまりは、交際関係にあった先輩に
あたる男から、突如、性的暴行を受けた
ってことです。
いえ、そんな言い方じゃダメです!
そいつは、そのクソ野郎は、都和ちゃんを
強姦、レイプしたってことです。
本当に、卑劣で、人間がなしうるであろう
最悪の【他人に対する罪】です。
私が思うにですが……、殺人よりも、
強姦の方が重罪です!
その女性のその後の人生も、いや、
それだけじゃない、彼女の周囲の人の
人生、生活も、全てを滅茶苦茶にする
からです!
精神的にも、肉体的にも、被害女性は、
そのクソの一時の性欲・欲望のために、
踏み潰され、一生苦しみと傷を背負い
続けていくのです!!
私は、絶対に、許せない!
そんなクソは、生れて来なかった方が、
良かったのです!
私が、仮に法務大臣なり裁判官なり
代議士になり……、いや、そんなんじゃ
なく一国を完全に支配する独裁者にでも
なれたなら、絶対に、強姦犯のクソ共は
死刑です!
執行猶予刑、フザケンナです!
懲役、禁固……?
バカにすんなです!!
そのクソ野郎は、女性の全てを踏みにじり
彼女の全人格を永遠に殺したのです
から……!






すいません……。
はぁ……。
熱くなってしまいました。
でも、それ位、私は、ヤツ等が憎い
のです。
別に、自分が、強姦事件の被害者に
なったわけではないですが、母がその
被害者であり、私も当事者なの……。
だから、さっき言った『怒りの思い』
は永遠に変わりません。
でも、熱くなって、いろいろ、皆さんに
言ってしまったことは、すいません
でした。


さて……。
そんな私なので、葦田&丸瀬の話を聞く
うちに怒りが燃え上がってきました。
当然です!
つい、横に寝っ転がる不動刑事に言って
いました!!
「みどりちゃん!
そのクソバカ野郎、なんとかできない
ものなの!?」。

私の怒りの形相は見えないけれど、
怒りフルの声を感じたのでしょう、
みどりちゃんがバッと起き上がります。
それほど、私の声は、怖かったので
しょうね……。

刑事のみどりちゃんは、こう教えて
くれました。
「うーん。真子ちゃんさぁ。
気持ちは分かるしさ、私も、ソイツが
生きてんならさ、今からでも、動き
たいよ!でもさぁ、ソイツがもう死んで
るとなるとさ……。それが、分かって
いるとなるとさ、警察は動けない
だろうねぇ。
あとは……。民事…。つまりさ、都和
ちゃんって子が、その死んだ男の家族に
損害賠償の請求するって手もあるけど
ねぇ……。これ、民事だからさ、警察
はさ、不介入だろうね、絶対。
って言うより、その前にさ、その都和
ちゃんって子がさ、そこまでする意志が
あるかってとこだね……。
そういう被害のことを表沙汰にさ、
したくないって女性は多いしさ、
被害受けた時にもさ、おそらく、被害届
出してないだろうしねぇ……」。

そうなのです!!
その、都和ちゃんをレイプしたクソ野郎は、
おそらく責任逃れでしょうね……、
もう、自殺して、この世にいないと、
言うのです!!
都和ちゃんの全身、心、未来をぶち壊して
おきながら、責任をとらず、勝手に自殺…。
本当に、私を、【夜の世界】でイジメて
イジメ抜いてくれたピーナのクズ共と同等
のヤツです!


二重、三重の被害者の都和ちゃん……。
突然の信じていた先輩からのレイプ。
そして妊娠、それから、当の男が自殺……。
普通の人間なら気が狂うでしょうね。
そのショックは半端ないものでしょう。

現に、やよいちゃんが言っていました。
「もう、気が狂ったみたいになって
ました」と。




何にも悪くない彼女だけが、取り残され
てしまった。
しかも、そのクソの死体の第一発見者と
なってしまう。
待っていたのは、慰めやケアなんかじゃ
なくて、強面の刑事からの取り調べ……。


「部屋訪ねて言ったら、死体……。
首つり自殺のだよ!?
しかも、お腹の子の父親の!!
それだけで、半端ないショックを
受けてるっていうのにさ、第一発見者って
ことだけでさ、警察からね、パトカーの
中とか、警察署の取調室みたいなとこでも
何度も話訊かれたって……。
それが、スゴク、辛かったって!
婦警さんもいてくれたけど、パトカーの中
で、いろいろ男の刑事さんにあーだこーだ
訊かれたとも言ってた……。
それも、イヤだったって……。
私、都和の気持ち分かるよ!
死体の第一発見者になっちゃったのに、
まるで、殺した人間かってばかりの、
尋問の連続でさ……。
警察って、何で、そんなこと、するかなぁ。
何で、配慮できないかなぁ!!」と憤慨
するこしまちゃん。
その気持ちも分かります。
が…、私の横で、刑事のみどりちゃんは、
何も言い返さず、黙っていました……。
妹の発言を、どのように、警察官である
不動みどりちゃんが受け止めていたのか、
私には分かりません。
でも、彼女は、絶句していました。
彼女にしては、珍しく……。




それで、終わりではありません。
やよいちゃんは、さらに、話し続け
ました。

その、都和ちゃんという女の子は、
しまいには、自分を責め出し、
ノイローゼ気味になっていきます。
「私のせいで、彼が自殺したんだ。
中絶を勧めるのに、無視して、
色々と迫ったのがいけなかったんだ。
私のせいで、死んだんだ……」と。
こしまちゃんもやよいちゃんも、
どのように言ってあげたらいいのか
分からなかったそうです。
そう、都和ちゃんが、泣きじゃくった
時に……。
大学生ですからしょうがありません。
でも、私なら、都和ちゃんに、
「違うよ」と言ってあげたいです。

違う!
違うんだ!!
私をイジメぬいて、客の面前でも私を
陥れてくれたピーナ共や東大阪市出身の
クソ女と同じレベルのその強姦野郎は、
都和ちゃんのせいじゃなくて、
自分の罪ゆえに死んだのです。
そして、その死の責任は、そいつ自身
にのみ、あるのです…。







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登場人物紹介


奥中(おくなか) 真子(まこ)のちに(養子縁組により)(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)栄真子




 本書の主人公。小学校3年生のあの日 、学校のクラスメートや上級生、下級生の見ている前で、屈辱的な体験をしてしまう。その後不登校に。その記憶に苛まれながら過ごすことになる。青春時代は、母の想像を絶する黒歴史、苦悩を引継いでしまうことなる、悲しみ多き女性である。





(あし)() みどり



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、大親友。



しかし、小学校3年生のあの日 、学校の廊下を走る真子の足止めをし、真子が屈辱的な体験を味わうきっかけをつくってしまう。



その後、真子との関係は断絶する。










(よし)(とき)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメート。葦田みどりの幼馴染。



小学校3年生のあの日 、学校の廊下で真子に屈辱的な体験をさせる張本人。











奥中(おくなか) 峯子(みねこ)



本書の主人公、真子の母。スーパーや郵便局で働きながら、女手ひとつで真子を育てる。誰にも言えない悲しみと痛みの歴史がある。








雪子(ゆきこ)



本書の主人公、真子の大伯母であり、真子の母奥中峯子の伯母。


愛媛県松山市在住。







銀髪で左目に眼帯をした男



本書の主人公、真子が学校の廊下で屈辱的な体験をするあの日 、真子たちの



住む町で交通事故死した身元不明の謎の男性。



所持品は腕時計、小銭、数枚の写真。










定美(さだみ)(通称『サダミン』)



本書の主人公、真子が初めて就職したスーパーの先輩。



優しく、世話好き。



だが、真子は「ウザ」と言うあだ名をつける。









不動刑事



本書の主人公、真子が身の危険を感じ、警察署に駆け込んだ際に、対応してくれた女刑事。



正義感に溢れ、真面目で、これと決めたら周囲を気にせず駆け抜けるタイプである。



あだ名は、『不動産』。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課巡査部長。
















平戸



本書の主人公、真子につきまとう男。



また、真子の母の人生にも大きく関わっていた。






愛川のり子



子役モデル出身の国民的大女優。



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌などで大活躍中。







石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、幼馴染。小学校3年生のあの日 、真子を裏切る。




(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)(さかえ) 真子



 本書の主人公。旧姓は、奥中。



小学校3年生の時、学校中の見ている前で屈辱的体験をし、不登校に。



その後は、まさに人生は転落、夜の世界へと流れていく。



だが、22歳の時小学時代の同級生二人と再会し、和解。回復への一歩を歩みだす。

(さかえ)(よし)(とき)



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をさせた張本人。



そして、真子が22歳の時、男に追われているところを助けた人物でもある。



その後、真子の人生に大きく関わり、味方、何より人生の伴侶となる。

柳沼雪子



本書の主人公、真子の大伯母。養子縁組により、真子の母となる。



夫は眼科医であったが、すでに他界。愛媛県松山市で一人暮らしをする愛の女性である。

定美(さだみ)(通称・『サダミン』)



本書の主人公、真子が大事にしているキーホルダーをプレゼントしてくれた女性。



真子が川崎市を飛び出して来てから長いこと音信不通だったが、思いもしないきっかけで、真子と再会することになる。

不動みどり



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をするきっかけを作ってしまう。



そして、真子が22歳の時、再会。つきまとい行為を続ける男から真子を助ける。



旧姓は、葦田。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課・巡査部長。

都和(とわ)



明慈大学理工学部で学んでいた女性。DVによる妊娠、恋人の自殺、大学中退……と、真子のように転落人生を歩みかけるが、寸前を真子に助けられる。

愛川のり子



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌、海外でのドラマ出演など活躍の場を広げる国民的大女優である一方、息子の『いじめ報道』に心を痛め、また後悔する母親。



本名は、哀川憲子。

()(おり)



結婚した真子の義姉となる女性。



真子との初対面時は、性格上、真子を嫌っていたが、



後には、真子と大の仲良し、何でも言い合える仲になる。



名家の出身。



 

石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子を裏切った人物。



真子が小学時代の同級生二人と再会し、和解した夜に自殺。



第二巻では、彼の娘の名前が明かされる。

新名 志与


旧姓、長谷島。

第一章では、主人公に、『しーちゃん』と呼ばれている。

夜の世界で働いていた真子にとって、唯一の親友と

呼べる存在、姉的存在だった…。


ある出来事をきっかけに、真子と再会する(第二章)


小羽


 真子の中学生時代(奈良校)の同級生だったが…。


第二章で登場する時には、医療従事者になっている。

居村


 義時と真子が結婚式を挙げるホテルの担当者。

ブライダル事業部所属、入社3年目の若手。

 

真子曰く、未婚、彼氏募集中。

不動刑事


主人公の親友である不動みどりの夫。


石出生男の自殺現場に出動した刑事課員の1人。



最愛の妻、同じ署に勤務する警官のみどりが、

自分に隠れ、長年自宅に『クスリ』を保管、しかも、

所持だけではなく、使用していた事実を知った

彼は……。

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