第十七章 ㉘
文字数 851文字
妻の母―柳沼雪子―からの『願い』、
そう、「真子をよろしくお願いします」と
いう気持ちを胸に受け止めて、義時は、
空港を後にする。
妻の真子は。
「近いうちに、2人で……。
いや、1人でも良いから、時間を作って
愛媛に行こう!」と考えながら、彼の傍を
歩いた。
年老いた大伯母、いや、母を、松山に
1人だけにしておくのは心もとない。
一番良いのは、自分たちと一緒に住むこと
だけれど、さすがに、こっちのアパート
じゃ、それは無理だし、それに、自分たちが
愛媛に行くことも……彼の仕事上、無理だ。
そんなことを考えながら、空港を後に
した。
そして。
羽田空港から千葉へ戻る車内。
真子は、驚いた。
別に、言ったことないし、そんな素振り
見せたこともなかったのに。
彼の方が、急に、ハンドルを握りながら
言ってきた。
「いつか、雪子さんに、こっちに来て
もらって、一緒に暮らせたら良いな」と。
嬉しかった、もちろん…!
でも、それより、最初は、驚き。
そして、当然、「ウン!」と大きく頷く。
真子は、心底、思った。
「この人と一緒になれて良かった!!」
義時は、道交法上問題あるのかもしれない
けれど、片手で運転して、千葉まで帰った。
妻の方が、手を握りしめてきたから。
驚いたけれど、嬉しくて……。
強く…、恋人握りで、握り返した。
妻は……。
ちょっと、驚いた感じだったけど、
嬉しそうな、そして、照れたような表情を
して、それで……妻の方も強く握ってきた。
夕陽を浴びた、最高のドライブ時間だった
…………。
それから、約1週間後。
義時と真子は、再び、羽田空港にいた。
月曜日の早朝だ。
行先は、雪子の待つ愛媛……ではなくて、
九州。
目的は、新婚旅行、待ちに待った
ハネムーン!!!
(・著作権は、篠原元にあります
・前半は、第十七章⑰参照、と言うより
読んでください…って感じです。どうぞ、
このあと!
・さて、次話から、2人の『新婚旅行♡』
編ですね! ハワイとか…海外じゃなく、
国内―九州(ネタばれですけど温泉地巡り)―
を2人が廻ります! お楽しみに♪ )