第十五章 ㉑

文字数 1,895文字

(ここでは、序章②と
時間枠が一致するので、
交互に読まれることをすすめる)






私は、政治経済学部の女の子と農学部の
女の子に、どうしても訊きたかったことを
訊くことにしました!


「私ね、正直に言うとね、みどりちゃんは
知っているけれど、色々あって、高校も
大学も行ってないの。
だから憧れるなぁ、大学生ライフ……。
サークルとかゼミとかだよね?
あと、大学生って言えば、恋愛だよね?」。
「オォ!!そう来たかぁ、真子ちゃんさ!
良い質問だね!!
そうなんだよ!前からさ、警察官としても
さ、今どきの大学生の恋愛事情とかさ、
知りたかったんだよね!
でも、妹に訊いても意味ないって分かって
たからさ……。
ちょうど良い!やよいちゃんがいるこの
タイミングをさ逃しちゃダメだ!
やよいちゃん、どうなの?」と刑事さん。

すぐに、こしまちゃんが声を上げます!
「お姉ちゃん!!それ、どう言う意味
なのさ!?」。
「えッ!?そのまんまの意味よ。
あんたみたいな子さ、男がデキるとは
思えないからね!まぁ、お父さんは、
安心だろうけどさ!」。
「ソレ、お姉ちゃんが言う!?」。

また始まった……。
でも、このままじゃ、訊きたいことの
答えが聞けないので、姉妹の仲介を
することにしました。

そして……。
最初に、私からの【女子大生の恋愛事情】
についての質問に答えてくれたのは、
やよいちゃんでした。
その答えは、ズバリ、一言。
「忙しくて、異性と交際してるヒマない
です」と。
こしまちゃんも、「そうだよね!
ってか、遊んでるヤツって一部の実家通い
か御曹司、お嬢さんくらいだもんね」。

でも、皆さん、そんな答えで、大人2人が
納得すると思います?
答えは、否です。
みどりちゃんが、刑事らしく問い詰め
ます。
「やよいちゃん。うちの妹にさ、遠慮する
必要ないよ!自分だけ実は彼氏いる
って言いづらいよね?
でもさ、ここは、吐いちゃいな!」。
ここでも、こしまちゃんからの茶々が
もちろん入りますが……。
それは良いとして、それでも、
やよいちゃんの答えは、「忙しいん
です。それに、確かに、大学生になった
ら、そういう相手もデキるだろうなぁ
って思ってたんですけど、意外に出会い
がなかったり、良いなぁって思える先輩
がいても、もう付き合ってたりで……」
というものでした。

つまり、こしまちゃんもやよいちゃんも
彼がいない……!?
こんなカワイイ2人なのに!
まぁ、そういえば、女子高生のお初も
あんなに可愛いのに……。

まぁ、お初のことは、よく分かっている
ので良いのですが、2人の言っている
ことは、信じられませんでしたね。
だって、女子大生ですよ!
現役の……!!
青春真っ只中じゃないですか!?


それが、揃いに揃って、2人とも
男っ気がないなんて……。
信じられるわけが、ない!
だから、言ってあげました。
「恥ずかしがらなくて、良いんだよ。
恋人がいるって素敵なことじゃない。
揶揄ったりしないからさ……」と。

それでも、2人は、真面目に、そして、
必死に、「本当にいないんです!」、
「本当は、『彼氏います!』って自慢
したいんですけど……。これが、本当の
本音です」と。
だから、信じてあげることにしました。
今どきの子は、どうしちゃっているん
でしょうね?



あと、そうだ。
もう、みんなが半分寝落ち状態になって
いた時……。
こしまちゃんが、携帯で、写真を見せ
ながら話してくれました。
こしまちゃんとやよいちゃんが所属して
いるチアリーディング部のことを。

1年の時からチアリーディング部に所属
して頑張っているという2人。
球場や駅伝とかでの応援風景や練習時の
写真を見せてくれました。
写真の中の2人は、チアの衣装を着ていて
なんか、別人のよう……。
「これ……!これが、こしまぁ!?
ヘエー……」と、みどりちゃん。
「何!?何か言いたいことあんの!?」と
妹ちゃん。

でも、私服姿とはまた違って、2人とも
本当に輝いている感じがします。
他のチアのみんなも……。
「良いなぁ。青春だよなぁ」って思い
ました。

で、私、寝ぼけていたのか、フッと
言ってしまったんです。
ほぼ初対面のこしまちゃんと、久しぶり
に再会したばかりのやよいちゃんに…。
「スゴイね……。
私の結婚式で何かやってくれたら
嬉しいなぁ」って。
言ってビックリしました。
私何言ってんだろう……って。
別に明慈大学の卒業生でもないのに……。

でも、です!
若い2人は、即答。
「え!?良いんですか?
披露宴で余興ってことですよね!?
憧れだったんです、そういうのやるのが
……。
じゃあ、明日にでも、部長に相談して
みますね!!」。


なんか、もうすでに、夢の中にいる
ような感じがしました……。
現実じゃないような。
これ夢だよね……と。








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登場人物紹介


奥中(おくなか) 真子(まこ)のちに(養子縁組により)(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)栄真子




 本書の主人公。小学校3年生のあの日 、学校のクラスメートや上級生、下級生の見ている前で、屈辱的な体験をしてしまう。その後不登校に。その記憶に苛まれながら過ごすことになる。青春時代は、母の想像を絶する黒歴史、苦悩を引継いでしまうことなる、悲しみ多き女性である。





(あし)() みどり



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、大親友。



しかし、小学校3年生のあの日 、学校の廊下を走る真子の足止めをし、真子が屈辱的な体験を味わうきっかけをつくってしまう。



その後、真子との関係は断絶する。










(よし)(とき)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメート。葦田みどりの幼馴染。



小学校3年生のあの日 、学校の廊下で真子に屈辱的な体験をさせる張本人。











奥中(おくなか) 峯子(みねこ)



本書の主人公、真子の母。スーパーや郵便局で働きながら、女手ひとつで真子を育てる。誰にも言えない悲しみと痛みの歴史がある。








雪子(ゆきこ)



本書の主人公、真子の大伯母であり、真子の母奥中峯子の伯母。


愛媛県松山市在住。







銀髪で左目に眼帯をした男



本書の主人公、真子が学校の廊下で屈辱的な体験をするあの日 、真子たちの



住む町で交通事故死した身元不明の謎の男性。



所持品は腕時計、小銭、数枚の写真。










定美(さだみ)(通称『サダミン』)



本書の主人公、真子が初めて就職したスーパーの先輩。



優しく、世話好き。



だが、真子は「ウザ」と言うあだ名をつける。









不動刑事



本書の主人公、真子が身の危険を感じ、警察署に駆け込んだ際に、対応してくれた女刑事。



正義感に溢れ、真面目で、これと決めたら周囲を気にせず駆け抜けるタイプである。



あだ名は、『不動産』。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課巡査部長。
















平戸



本書の主人公、真子につきまとう男。



また、真子の母の人生にも大きく関わっていた。






愛川のり子



子役モデル出身の国民的大女優。



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌などで大活躍中。







石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、幼馴染。小学校3年生のあの日 、真子を裏切る。




(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)(さかえ) 真子



 本書の主人公。旧姓は、奥中。



小学校3年生の時、学校中の見ている前で屈辱的体験をし、不登校に。



その後は、まさに人生は転落、夜の世界へと流れていく。



だが、22歳の時小学時代の同級生二人と再会し、和解。回復への一歩を歩みだす。

(さかえ)(よし)(とき)



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をさせた張本人。



そして、真子が22歳の時、男に追われているところを助けた人物でもある。



その後、真子の人生に大きく関わり、味方、何より人生の伴侶となる。

柳沼雪子



本書の主人公、真子の大伯母。養子縁組により、真子の母となる。



夫は眼科医であったが、すでに他界。愛媛県松山市で一人暮らしをする愛の女性である。

定美(さだみ)(通称・『サダミン』)



本書の主人公、真子が大事にしているキーホルダーをプレゼントしてくれた女性。



真子が川崎市を飛び出して来てから長いこと音信不通だったが、思いもしないきっかけで、真子と再会することになる。

不動みどり



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をするきっかけを作ってしまう。



そして、真子が22歳の時、再会。つきまとい行為を続ける男から真子を助ける。



旧姓は、葦田。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課・巡査部長。

都和(とわ)



明慈大学理工学部で学んでいた女性。DVによる妊娠、恋人の自殺、大学中退……と、真子のように転落人生を歩みかけるが、寸前を真子に助けられる。

愛川のり子



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌、海外でのドラマ出演など活躍の場を広げる国民的大女優である一方、息子の『いじめ報道』に心を痛め、また後悔する母親。



本名は、哀川憲子。

()(おり)



結婚した真子の義姉となる女性。



真子との初対面時は、性格上、真子を嫌っていたが、



後には、真子と大の仲良し、何でも言い合える仲になる。



名家の出身。



 

石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子を裏切った人物。



真子が小学時代の同級生二人と再会し、和解した夜に自殺。



第二巻では、彼の娘の名前が明かされる。

新名 志与


旧姓、長谷島。

第一章では、主人公に、『しーちゃん』と呼ばれている。

夜の世界で働いていた真子にとって、唯一の親友と

呼べる存在、姉的存在だった…。


ある出来事をきっかけに、真子と再会する(第二章)


小羽


 真子の中学生時代(奈良校)の同級生だったが…。


第二章で登場する時には、医療従事者になっている。

居村


 義時と真子が結婚式を挙げるホテルの担当者。

ブライダル事業部所属、入社3年目の若手。

 

真子曰く、未婚、彼氏募集中。

不動刑事


主人公の親友である不動みどりの夫。


石出生男の自殺現場に出動した刑事課員の1人。



最愛の妻、同じ署に勤務する警官のみどりが、

自分に隠れ、長年自宅に『クスリ』を保管、しかも、

所持だけではなく、使用していた事実を知った

彼は……。

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