第十七章 ⑥

文字数 1,569文字

(最初に、第十四章⑲を読むと、
よ~く分かります。
この第十七章⑥は)






で、新婚夫婦2人の『愛の巣』……
もとい、『新居』は。

もともと義時が住んでいた、
義牧が「マッチ箱」と呼んだアパートの
部屋ではなくて。
そこから程近い、で、【会傘の庄】にも
さらに近くなった、小さな池に隣接した
アパートだった。その部屋は、若い夫婦が
引越しで春頃出ていき、そして、義時達の
ため、義牧が、誰も入居させずにして
おいてくれた…。真子は、でも、初めて
見た時、思ったものだ。「子どもが、
落ちないように、子どもがうまれて
大きくなったら気をつけないとな」


今日から、自分も、いよいよ、
ここが、『住居』になる。
ここの住人になる。
そして、いすみ市民かぁ。
真子は、新居の前で、車を降りて、
不思議な感じだった。
それと、新鮮な感じ。
「今日から、この部屋で、家事に
励むんだ!」
自分を奮い立たせながら、結婚指輪を
見つめた。



で……。
新婚夫婦は。
まぁ、義時の方は、2か月前から移り
住んでいたけど。
妻は、今日からなので…。
二人で、隣の部屋とかに挨拶に。
義牧から言われたので、計5部屋に
なったけど。
真子は、ホッとした。
日曜日なので、みんな、いてくれた
から……。
あとは、どの部屋も、自分たち同じ感じの
若い夫婦。で、子どももいるみたい。
だから、自分たちが、いざ子育て開始
したときも、大丈夫だ。



義時と真子は、それから、103号室に
……、自分たちの部屋に入って、
スタートした。
夫婦で『初めて』の、新居での『共同作業』
を。
そう。
妻が、もともと住んでいたマンションから、
引越し業者に運んでおいてもらっていた
荷物の山の。
荷ほどき作業を。

1階の角部屋。
窓からは、太陽のサンサンとしたあかりが
……。
それに、ちょっと腰を上げれば、池も
眺められる。
その時…。
新妻は、「ウン?」と、気づいた。

え、うそ……!?
カーテンは???

手は動かしなら、夫に尋ねてみる。
考えられない返事が戻って来る。
「え、あるじゃん。それ……」

でも、それは、レースカーテン。
ドレープカーテンは!?
夜は、どうするの!?

新妻は、訊いたけど、夫は、夜も
それで大丈夫だと言う。
「俺、ずっと、これで、夜も
やってきたんだから。
別に、気にならないし、外からも
見えないよ」と言い張る。
でも、そんなのあり得ない!
それに、気になるし。
外から覗こうと思えば、いくらでも
レースカーテンなら……。

新妻は、荷ほどきよりも、『優先』
すべき課題を見つけて……。
2人で、店に出かけることに。
運転する彼は、しきりに、「もったい
ない!アレで、用は足りるのに」と
つぶやいてたけど、ここは、引くつもり
はない。
と言うより、もし、ドレープカーテンを
つけないと彼が言い張るようだったら、
夫婦の大事な営みもナシにしてやる
……と真剣に考えていたのだった。




その日の夜は。
ある程度は、予想通り、完了した
けれど。
新妻は、「90%位かな」と考えた。
荷ほどき、カーテンのオーダー、夕食。
で、後片付け。
まぁまぁ、順調ね。

風呂にはいっている義時のため
布団を整えながら、真子は、考える。
「明日……。ご祝儀の確認とかも
しないとなぁ。あ、あと……」
アレもコレもまだだった。
まだまだ忙しいなぁ、と溜息が。
そんな真子の耳に、風呂場から、
義時の『能天気』な鼻歌が……。

はぁ…。
今日は早く寝よ。
そう、思う。
それに、ちゃんとしたカーテンも
ついていない。
そう。ちゃんとしたカーテンを用意
してくれてなかった。

もう、今日は、「そういうことナシで
早く寝よう」と、パジャマ姿の新妻は
決めたのだった……。








(・著作権は、篠原元にあります


・4月もよろしくお願いします!
皆さんにとって最高で、素敵な
新学期、新社会人生活…となると
良いですネ!
真子たちも、新居での生活をスタート
させました。

これからも、どうぞ、よろしくお願い
いたします!            )
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登場人物紹介


奥中(おくなか) 真子(まこ)のちに(養子縁組により)(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)栄真子




 本書の主人公。小学校3年生のあの日 、学校のクラスメートや上級生、下級生の見ている前で、屈辱的な体験をしてしまう。その後不登校に。その記憶に苛まれながら過ごすことになる。青春時代は、母の想像を絶する黒歴史、苦悩を引継いでしまうことなる、悲しみ多き女性である。





(あし)() みどり



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、大親友。



しかし、小学校3年生のあの日 、学校の廊下を走る真子の足止めをし、真子が屈辱的な体験を味わうきっかけをつくってしまう。



その後、真子との関係は断絶する。










(よし)(とき)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメート。葦田みどりの幼馴染。



小学校3年生のあの日 、学校の廊下で真子に屈辱的な体験をさせる張本人。











奥中(おくなか) 峯子(みねこ)



本書の主人公、真子の母。スーパーや郵便局で働きながら、女手ひとつで真子を育てる。誰にも言えない悲しみと痛みの歴史がある。








雪子(ゆきこ)



本書の主人公、真子の大伯母であり、真子の母奥中峯子の伯母。


愛媛県松山市在住。







銀髪で左目に眼帯をした男



本書の主人公、真子が学校の廊下で屈辱的な体験をするあの日 、真子たちの



住む町で交通事故死した身元不明の謎の男性。



所持品は腕時計、小銭、数枚の写真。










定美(さだみ)(通称『サダミン』)



本書の主人公、真子が初めて就職したスーパーの先輩。



優しく、世話好き。



だが、真子は「ウザ」と言うあだ名をつける。









不動刑事



本書の主人公、真子が身の危険を感じ、警察署に駆け込んだ際に、対応してくれた女刑事。



正義感に溢れ、真面目で、これと決めたら周囲を気にせず駆け抜けるタイプである。



あだ名は、『不動産』。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課巡査部長。
















平戸



本書の主人公、真子につきまとう男。



また、真子の母の人生にも大きく関わっていた。






愛川のり子



子役モデル出身の国民的大女優。



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌などで大活躍中。







石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、幼馴染。小学校3年生のあの日 、真子を裏切る。




(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)(さかえ) 真子



 本書の主人公。旧姓は、奥中。



小学校3年生の時、学校中の見ている前で屈辱的体験をし、不登校に。



その後は、まさに人生は転落、夜の世界へと流れていく。



だが、22歳の時小学時代の同級生二人と再会し、和解。回復への一歩を歩みだす。

(さかえ)(よし)(とき)



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をさせた張本人。



そして、真子が22歳の時、男に追われているところを助けた人物でもある。



その後、真子の人生に大きく関わり、味方、何より人生の伴侶となる。

柳沼雪子



本書の主人公、真子の大伯母。養子縁組により、真子の母となる。



夫は眼科医であったが、すでに他界。愛媛県松山市で一人暮らしをする愛の女性である。

定美(さだみ)(通称・『サダミン』)



本書の主人公、真子が大事にしているキーホルダーをプレゼントしてくれた女性。



真子が川崎市を飛び出して来てから長いこと音信不通だったが、思いもしないきっかけで、真子と再会することになる。

不動みどり



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をするきっかけを作ってしまう。



そして、真子が22歳の時、再会。つきまとい行為を続ける男から真子を助ける。



旧姓は、葦田。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課・巡査部長。

都和(とわ)



明慈大学理工学部で学んでいた女性。DVによる妊娠、恋人の自殺、大学中退……と、真子のように転落人生を歩みかけるが、寸前を真子に助けられる。

愛川のり子



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌、海外でのドラマ出演など活躍の場を広げる国民的大女優である一方、息子の『いじめ報道』に心を痛め、また後悔する母親。



本名は、哀川憲子。

()(おり)



結婚した真子の義姉となる女性。



真子との初対面時は、性格上、真子を嫌っていたが、



後には、真子と大の仲良し、何でも言い合える仲になる。



名家の出身。



 

石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子を裏切った人物。



真子が小学時代の同級生二人と再会し、和解した夜に自殺。



第二巻では、彼の娘の名前が明かされる。

新名 志与


旧姓、長谷島。

第一章では、主人公に、『しーちゃん』と呼ばれている。

夜の世界で働いていた真子にとって、唯一の親友と

呼べる存在、姉的存在だった…。


ある出来事をきっかけに、真子と再会する(第二章)


小羽


 真子の中学生時代(奈良校)の同級生だったが…。


第二章で登場する時には、医療従事者になっている。

居村


 義時と真子が結婚式を挙げるホテルの担当者。

ブライダル事業部所属、入社3年目の若手。

 

真子曰く、未婚、彼氏募集中。

不動刑事


主人公の親友である不動みどりの夫。


石出生男の自殺現場に出動した刑事課員の1人。



最愛の妻、同じ署に勤務する警官のみどりが、

自分に隠れ、長年自宅に『クスリ』を保管、しかも、

所持だけではなく、使用していた事実を知った

彼は……。

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