第十五章 ⑳

文字数 2,363文字

(ここでは、第八章⑪と
時間枠が一致するので、
交互に読まれることをすすめる)




まぁ、あれ以上、ギャーギャーやって
たら、それこそ、本当に隣もしくは下から
苦情が来てたでしょうね。
それ位の時刻になってましたから……。

さて、当然、前から決まっていたので、
みどりちゃんは寛いでいます、そのまま…。
だって、泊まることになっています
からね。
でも、その不動みどりちゃんが言うん
ですよね。
「2人も泊ってらさ、どう?
真子ちゃんさ、別に問題ないよね?」。

一瞬、戸惑いました。
どう答えたら良いのか……。

でも、私が答える前に、なんと、
2人の方が、私に、「良いですか?」
と訊いてきたのです!
その目を見ると、もう泊まる気満々
じゃないですか!!

断れない……。
まぁ、良いか。
「寝具、大丈夫かな?」と頭の中で計算を
します。
みどりちゃんのは用意しています。
あと、こしまちゃんとやよいちゃんの分は
色々出してきて、私が、ソファーで寝れば
問題ない……。


でも、他の意味で大丈夫なのかが、心配
になりました。
なので、刑事のみどりちゃんの方を
見やります。
だって、2人はまだ、学生の身ですからね。
「みどりちゃん!姉として、そして、刑事
として、良いの、コレ……。
家に連絡させたりしないで、良いの!?」
と言う意味の視線を向けます……。

「あぁ」と、そんな私の視線に応えて、
みどりちゃんが教えてくれました。
さすが、親友!無言の視線で、察して
くれます!!
「大丈夫よ、真子ちゃん。
こしまはさ、今はね、実家を出て、
安普請の学生寮みたいのにさ、
一人暮らしだし……、やよいちゃんも
今さ、一人だよね」と。
「学生寮じゃないないって、前も言った
じゃん!寮とかだったら、絶対ムリに
決まってるでしょ!!」と妹ちゃん。
やよいちゃんの方は、一言、
「そうです」。


家主の私が発言する前に、
みどりちゃんに『判決』を出されて
しまいます。
「じゃ!!
そう言うことでさ、今日は、みんな
お泊りだ!!
真子ちゃんさ、ちょっと、準備、
お願いネ!
で、こしまとやよいちゃんは、一宿一飯
になるんだからさ、手伝ってあげて!」。
「ハイ!!」と大きな声で、揃って、
返事する女子大生2人……。


私は、家主である私の意見、意向が全く
尊重されない、全く聞かれないまま、
コトが決まっていくのを呆然と眺めて
いることしかできませんでした……。
数十秒間……。
思考が追い付かない……。
そんな私に、みどりちゃん…だけでなく、
こしまちゃんとやよいちゃんまでもが
ハッパをかけてきます。
それで、動き出したわけです……。
まぁ、戸惑いも大きかったけれど、
そんなにイヤではなかったです。
どっちかと言えば、嬉しかったかな…
です。



それで、私とやよいちゃんの元奈良コンビ
が寝具を用意することになり、あの姉妹
コンビに食事後の後片付け全般を任せま
した。
「大丈夫かな?この組み合わせで……」と
思ったのです、私は……。
家主状態のみどりちゃんが決めた割り振り
について。
キッチンで姉妹が喧嘩しださないか、
片づけどころか、逆に……。

でも、チラッと、キッチンを覗くと、
案外仲良く、姉妹肩を並べてやっている
のです……。
しかも、こしまちゃんが、お姉ちゃんに
甘えてる……!?
フフフと笑ってしまいました。
微笑ましい光景です。



そして、こっちのチームの寝具等用意も
あっちのチームの片付け全般も完了した
ので順番にお風呂に入ることになり、
最後にお風呂から出た私が部屋に戻ると
みんな布団の上に横になっていました。
寛いでいるなぁ、と思いました。
携帯をいじってたり、私の本棚のマンガを
勝手に読んでたり、あとは、就寝前なのに
『しゃがろこ』をボリボリ食べてたり……。
女子3人が【女子だけの空間】で、無防備な
姿で、それぞれ寛いでました。

そこに私が戻り、「じゃあさ、2部の始まり
だよ!」という、みどりちゃんの号令の元、
みんな寝っ転がったままの『女子会』が
スタートしました。

部屋は、ほぼ真っ暗にしました。
「誰かが、寝落ちしたらさ、そのままに
してあげてさ、最後の人間が、ちゃんと
電気消すってことにさ、しよう!」と
みどりちゃん。
みんな、賛成しました。


こしまちゃんとやよいちゃんが、大学生活
について話してくれます。
実は、みどりちゃんは高卒です。
高卒で警察官になったので……。
で、私の方は、高校すら行っていないの
です。

だから、女子大生2人の話は、何か新鮮で、
聞いてるだけで若返っていくような感じ
もしました。

こしまちゃんとやよいちゃんは、私立の
明慈大学の3年生。
そして、やよいちゃんは、なんと、
あの生田に住んでいると言うのです!
生田……。
私が、何度も何度も足を運んだとこです。
まぁ、私の話は良いとして、その生田の
アパートで一人暮らししながら、
明慈大学生田キャンパスで農学・農業を
学んでいると言う丸瀬やよいちゃん。
「将来は、そっち系の仕事がしたいん
です!奈良に戻って……」と語る、
こしまちゃんの顔は輝いています。
あと、「うちのキャンパスって、すごく
広くて、それに都心の方のキャンパス
と違って自然がいっぱいなんです!
農場とか試験場とかもあるんで。
本当、スゴく良い環境なんですよ。
あ、あと、学食も美味しくって!
今度、ぜひ、みどりさんと真子さんも、
遊びに来てください」とも言って
くれました。

そして、みどりちゃんの妹の葦田こしま
ちゃん。
こしまちゃんは、政治経済学部の3年生。
聞いて、私は、ビックリしてしまい
ました。
女の子が、政治経済……!?
大学に行ったことのない私にとっては、
男の子だけがいる、男子だけが学ぶ学部
のように、最初思えたのです。
そんな私に、こしまちゃんが教えてくれ
ました。
「今は、女子も普通にいますよ。
うちのチアリーディング部の部長も
同じセイケイ部ですから」と。
政治経済学部……セイケイ部……
カッコイイ響きです!!







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登場人物紹介


奥中(おくなか) 真子(まこ)のちに(養子縁組により)(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)栄真子




 本書の主人公。小学校3年生のあの日 、学校のクラスメートや上級生、下級生の見ている前で、屈辱的な体験をしてしまう。その後不登校に。その記憶に苛まれながら過ごすことになる。青春時代は、母の想像を絶する黒歴史、苦悩を引継いでしまうことなる、悲しみ多き女性である。





(あし)() みどり



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、大親友。



しかし、小学校3年生のあの日 、学校の廊下を走る真子の足止めをし、真子が屈辱的な体験を味わうきっかけをつくってしまう。



その後、真子との関係は断絶する。










(よし)(とき)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメート。葦田みどりの幼馴染。



小学校3年生のあの日 、学校の廊下で真子に屈辱的な体験をさせる張本人。











奥中(おくなか) 峯子(みねこ)



本書の主人公、真子の母。スーパーや郵便局で働きながら、女手ひとつで真子を育てる。誰にも言えない悲しみと痛みの歴史がある。








雪子(ゆきこ)



本書の主人公、真子の大伯母であり、真子の母奥中峯子の伯母。


愛媛県松山市在住。







銀髪で左目に眼帯をした男



本書の主人公、真子が学校の廊下で屈辱的な体験をするあの日 、真子たちの



住む町で交通事故死した身元不明の謎の男性。



所持品は腕時計、小銭、数枚の写真。










定美(さだみ)(通称『サダミン』)



本書の主人公、真子が初めて就職したスーパーの先輩。



優しく、世話好き。



だが、真子は「ウザ」と言うあだ名をつける。









不動刑事



本書の主人公、真子が身の危険を感じ、警察署に駆け込んだ際に、対応してくれた女刑事。



正義感に溢れ、真面目で、これと決めたら周囲を気にせず駆け抜けるタイプである。



あだ名は、『不動産』。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課巡査部長。
















平戸



本書の主人公、真子につきまとう男。



また、真子の母の人生にも大きく関わっていた。






愛川のり子



子役モデル出身の国民的大女優。



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌などで大活躍中。







石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子の小学校時代のクラスメートであり、幼馴染。小学校3年生のあの日 、真子を裏切る。




(やぎ)(ぬま) 真子のちに(結婚により)(さかえ) 真子



 本書の主人公。旧姓は、奥中。



小学校3年生の時、学校中の見ている前で屈辱的体験をし、不登校に。



その後は、まさに人生は転落、夜の世界へと流れていく。



だが、22歳の時小学時代の同級生二人と再会し、和解。回復への一歩を歩みだす。

(さかえ)(よし)(とき)



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をさせた張本人。



そして、真子が22歳の時、男に追われているところを助けた人物でもある。



その後、真子の人生に大きく関わり、味方、何より人生の伴侶となる。

柳沼雪子



本書の主人公、真子の大伯母。養子縁組により、真子の母となる。



夫は眼科医であったが、すでに他界。愛媛県松山市で一人暮らしをする愛の女性である。

定美(さだみ)(通称・『サダミン』)



本書の主人公、真子が大事にしているキーホルダーをプレゼントしてくれた女性。



真子が川崎市を飛び出して来てから長いこと音信不通だったが、思いもしないきっかけで、真子と再会することになる。

不動みどり



本書の主人公、真子が小学校3年生の時、屈辱的体験をするきっかけを作ってしまう。



そして、真子が22歳の時、再会。つきまとい行為を続ける男から真子を助ける。



旧姓は、葦田。警視庁阿佐ヶ谷中央警察署生活安全課・巡査部長。

都和(とわ)



明慈大学理工学部で学んでいた女性。DVによる妊娠、恋人の自殺、大学中退……と、真子のように転落人生を歩みかけるが、寸前を真子に助けられる。

愛川のり子



〔あいのん〕の愛称で、幅広い世代から人気。



映画、テレビ、雑誌、海外でのドラマ出演など活躍の場を広げる国民的大女優である一方、息子の『いじめ報道』に心を痛め、また後悔する母親。



本名は、哀川憲子。

()(おり)



結婚した真子の義姉となる女性。



真子との初対面時は、性格上、真子を嫌っていたが、



後には、真子と大の仲良し、何でも言い合える仲になる。



名家の出身。



 

石出(いしで) 生男(いくお)



本書の主人公、真子を裏切った人物。



真子が小学時代の同級生二人と再会し、和解した夜に自殺。



第二巻では、彼の娘の名前が明かされる。

新名 志与


旧姓、長谷島。

第一章では、主人公に、『しーちゃん』と呼ばれている。

夜の世界で働いていた真子にとって、唯一の親友と

呼べる存在、姉的存在だった…。


ある出来事をきっかけに、真子と再会する(第二章)


小羽


 真子の中学生時代(奈良校)の同級生だったが…。


第二章で登場する時には、医療従事者になっている。

居村


 義時と真子が結婚式を挙げるホテルの担当者。

ブライダル事業部所属、入社3年目の若手。

 

真子曰く、未婚、彼氏募集中。

不動刑事


主人公の親友である不動みどりの夫。


石出生男の自殺現場に出動した刑事課員の1人。



最愛の妻、同じ署に勤務する警官のみどりが、

自分に隠れ、長年自宅に『クスリ』を保管、しかも、

所持だけではなく、使用していた事実を知った

彼は……。

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