第十六章 ㉔
文字数 515文字
待ちに待った、そして、緊張MAX超え
で踏み出す、『新婦入場』の時……。
純白のウエディングドレス、そして、
ピンク色の運動靴を履いた私は、
みどりちゃんに手を取られながら、
チャペルの中へと足を踏み入れます。
やっぱり、「私は泣かない」と思って
いても、いざ、自分の番になったら、
泣いてしまうものですね。
最愛の夫が待つところに進む中、
前後左右の方々から温かい拍手、
お祝いの言葉をかけていただいて……、
みどりちゃんとともに歩きながら、
私の涙腺は崩壊しました。
私たちは、お揃いの靴、そう、あの
『約束の靴』を履いて、バージンロードを
歩きました。
もちろん、列席者の皆さんからは、
見えません。
私の足元は……。
でも、それでも、私は、『約束の靴』を
同じ日、同じ場、同じ歩幅で歩きながら
彼女と一緒に履いている……、そのこと
だけで、十分でした……本当に。
今もメインテーブルに着きながら、
私は、『約束の靴』を履いています。
結局、本番では履かれることのなかった、
あの私が購入した、『ブライダルシューズ』
は、いつか、私の娘が大きくなって、
結婚式という日に、履いてもらうことに
なるのかもしれませんね。
(著作権は、篠原元にあります)