<閑話>ルイーズの解説:第2回活動報告

文字数 1,416文字

※ここでは、本章で登場した用語についての解説をしています。本文の内容には関係が無いため、必要がない人は読み飛ばして、次に進んでください。


私の名前はルイーズ。ジャービス王国の総務省で働いている。大学の同級生のダニエルに誘われて、総務省に入省してそれなりの年数が経つ。年齢が分かるから、入省何年目かは聞かないでほしい。

第2回活動報告では、先物(さきもの)という専門用語が出てきたから少し説明しておこうと思う。

まず、先物取引とは、『将来の一定の時点における取引(価格・数量)を、現時点で契約すること』を言うの。

日常生活で説明すると、1カ月後に米国に出張する予定がある場合、『1カ月後の米ドルの両替を今日予約する』が先物取引かな。
実際に米国に出張するのは1カ月後だから、米国出張の1カ月前に米ドルを両替(または両替の予約)しなくても、出張当日に空港で両替すればいい。
でも、1カ月の間に為替レートは動くから、ひょっとすると円安(為替レートが上がる)になるかもしれない。

例えば、図表2-11のように、今日(米国出張の1カ月前)に米ドルを両替(又は為替予約)すると1米ドル=130円で両替できるとする。1カ月後(米国出張の当日)には米ドルの為替レートが今日(米国出張の1カ月前)と同じとは限らない。円安で1米ドル=140円になる場合、特に変わらない場合(1米ドル=130円)、円高で1米ドル=120円になる場合もある。

【図表2-11:1米ドルの価値】




1カ月後の米ドルは、今日の米ドルよりも高くなる場合や安くなる場合があるから、今のうちに予約しておきたいというニーズがある。これが先物取引。
通貨先物取引の場合は、『為替予約』と言う方が一般的かもしれない。

今回の事例では、1カ月~6カ月後に購入する銅を、現時点で買う契約をしていた(先物取引)。
現在の銅価格が1,500JD/kgだけれど、1カ月後に銅価格が上昇して2,000JD/kgになったら、今日買うよりも500JD/kg余計に払わないといけない(500JD/kg損する)。
当然、逆の場合もあるから、得する場合もあるけど。

事業のおいて急激な価格変動は障害になるから、将来の価格変動リスクをヘッジ(回避)するために先物取引は利用されている。だから、非常に有効なリスクヘッジのツールだと思う。

先物取引は、外国為替の売買(為替予約)、金利先物、国債先物、株式指数先物などいろんな取引に活用されている。今回の商社のように銅価格の変動をヘッジする場合に先物取引を使用する場合があるから、取引参加者は純粋な投資家だけじゃないのが特徴だと思う。

ちなみに、先物取引と似た契約に『先渡(さきわたし)取引』がある。
先物取引(future contract)は、取引所において、将来のある時点で決められた価格で商品の売買を行う取引。
一方、先渡取引(forward contract)は取引所ではなく、店頭(すなわち、特定の取引相手)において、将来のある時点で決められた価格で商品の売買を行う取引。

取引所で取引するかどうかだけだから、あまりこの2つの違いは気にしなくてもいいけど。

私からの説明はこれで終わり。
もっと詳しく知りたい人は、ネットで検索するか、この本を参考にしてみて。

図解 為替デリバティブのしくみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4502434914/

以上、ルイーズでした。

<終わり>
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登場人物紹介

ダニエル:ジャービス王国の第4王子。総務大臣。

ルイーズ:総務省 内部調査部 課長代理

ジェームス:ジャービス王国第1王子。軍本部 総司令

チャールズ:ジャービス王国の第2王子。内務大臣。

アンドリュー:ジャービス王国の第3王子。外務大臣。

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