第12話 会社に提案しにいこう(その1)
文字数 1,777文字
(12)再生計画を会社に提案しにいこう
翌日、私はi5の預金通帳の記帳をするために銀行に行った。
預金通帳を確認したら、内務省から7億JDの着金がある。
7億JDの入金があったから、私は銀行で残高証明書の発行を依頼した。
残高証明書を入手次第、2億JDを内務省に送金しないといけない。
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。
― 7億JDか~。これだけあったら一生暮らせるのに。
私は銀行の窓口で待っている間、暇だったから想像を巡らせる。
そういえば、子供の頃に『宝くじに当たったら何に使う?』と流行ったことを思い出した。
あの時、何て答えたっけ?
遠い昔のことだから詳しく覚えてない。
『家を買う』と言ったのだろうか?
それとも、『ケーキを死ぬほど食べたい』と言ったのだろうか?
今だったら、『老後のために貯金する』って答えるな。
大人になると夢がなくなるな・・・
テレビを見ていたら『老後資金の足りない人が増えている』とニュースキャスターが言っていた。やはり、お金は老後のためには必要だ。
でも、老後の生活資金に7億JDも必要ない。
だから、私は『老後の生活に十分な資金を貯金したうえで、世界中を旅行する』に変更することにした。
大人にも少しは夢が必要だ!
ちなみに、この7億JDを持ち逃げすると直ぐにバレるから、私は銀行の窓口で妄想しているだけだ。本当に盗む気はない。
内部調査部に戻った私はロイに「7億JDあったら、何する?」と聞いてみた。
そしたら、「私と弟の結婚資金にする!」と言っていた。
どれだけ豪勢な結婚式を挙げるつもりだろうか?
とは言え、私の老後資金よりも夢があるな。
ダニエルにも聞いてみた。
そしたらアイツは「特に何もしない。今と変わらないな~」と言っていた。
夢がないな・・・
ダニエルは学生時代から同じ部屋に住んでいる。私が「広いところに引っ越せば?」と聞いたら、「掃除が大変になるから、いやだ」と言っていた。
そう言えば、ダニエルはあれでもジャービス王国の王子だ。本人はともかく家は金持ちだ。
お金持ちの家に生まれると、お金に興味がなくなるのか?
とにかく、ダニエルの『何もしない』に比べると私の老後資金の方がマシだな。
ちなみに、ミゲルとスミスに「7億JDあったら、何する?」と聞いてみた。そうしたら2人は「貯金する」と答えた。
私とおじさんは老後資金を心配している。
***
ジャービット・エクスチェンジへの提案内容が固まったので、私たちは会社へ説明に行くことになった。私が「会社への提案に一緒に行く?」とダニエルに聞いたら、「ずっと内緒にしておくのもどうかと思うから、一緒に行くよ」と言ってついてきた。
最近出番が少ないから、一緒に行きたかったのだと思う。
それに、アイツは友達がいないから仲間外れを恐れているのだ。
ジャービット・エクスチェンジに向かう途中、私がダニエルに「どう説明する?」と聞いたら、「そのまま正直に言う」と自信満々に私に返した。
チャールズはジャービス王国政府が関わっていることを隠したがっていた。
ダニエルを連れて行って本当に大丈夫なのだろうか?
私が「内緒にしなくてもいいの?」と聞いたが、ダニエルは「大丈夫だよ。どうせ直ぐにバレることだから、先に話しても一緒だよ」と気にしていない。
何か問題になったら、ダニエルからチャールズに説明してもらうしかない。
私、ダニエル、ロイとポールの4人はジャービット・エクスチェンジに到着すると、誰もいない受付を通って、殺風景な会議室に直行した。
スポンサーの選定は、職員には知られないように進めているらしい。
昨日弁護士のビルに電話した時に、ビルは『他の職員に見つからないように、会議室に来てください』と私に言った。
会社の内部者にとっては、自分に都合の良いスポンサーが選定されてほしいはずだ。だ
から、自分本位で会社にとって良くないスポンサーを連れてくる可能性もある。
そういう事態を回避するために、スポンサーの選定から職員を外しているのだろう。
ビルの言っていることは理解できる。
だったら、『別の場所で打合せすればいいのに・・・』と電話口で言いかけたのだが、言ってもしかたないのでやめた。
<続く>
翌日、私はi5の預金通帳の記帳をするために銀行に行った。
預金通帳を確認したら、内務省から7億JDの着金がある。
7億JDの入金があったから、私は銀行で残高証明書の発行を依頼した。
残高証明書を入手次第、2億JDを内務省に送金しないといけない。
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。
― 7億JDか~。これだけあったら一生暮らせるのに。
私は銀行の窓口で待っている間、暇だったから想像を巡らせる。
そういえば、子供の頃に『宝くじに当たったら何に使う?』と流行ったことを思い出した。
あの時、何て答えたっけ?
遠い昔のことだから詳しく覚えてない。
『家を買う』と言ったのだろうか?
それとも、『ケーキを死ぬほど食べたい』と言ったのだろうか?
今だったら、『老後のために貯金する』って答えるな。
大人になると夢がなくなるな・・・
テレビを見ていたら『老後資金の足りない人が増えている』とニュースキャスターが言っていた。やはり、お金は老後のためには必要だ。
でも、老後の生活資金に7億JDも必要ない。
だから、私は『老後の生活に十分な資金を貯金したうえで、世界中を旅行する』に変更することにした。
大人にも少しは夢が必要だ!
ちなみに、この7億JDを持ち逃げすると直ぐにバレるから、私は銀行の窓口で妄想しているだけだ。本当に盗む気はない。
内部調査部に戻った私はロイに「7億JDあったら、何する?」と聞いてみた。
そしたら、「私と弟の結婚資金にする!」と言っていた。
どれだけ豪勢な結婚式を挙げるつもりだろうか?
とは言え、私の老後資金よりも夢があるな。
ダニエルにも聞いてみた。
そしたらアイツは「特に何もしない。今と変わらないな~」と言っていた。
夢がないな・・・
ダニエルは学生時代から同じ部屋に住んでいる。私が「広いところに引っ越せば?」と聞いたら、「掃除が大変になるから、いやだ」と言っていた。
そう言えば、ダニエルはあれでもジャービス王国の王子だ。本人はともかく家は金持ちだ。
お金持ちの家に生まれると、お金に興味がなくなるのか?
とにかく、ダニエルの『何もしない』に比べると私の老後資金の方がマシだな。
ちなみに、ミゲルとスミスに「7億JDあったら、何する?」と聞いてみた。そうしたら2人は「貯金する」と答えた。
私とおじさんは老後資金を心配している。
***
ジャービット・エクスチェンジへの提案内容が固まったので、私たちは会社へ説明に行くことになった。私が「会社への提案に一緒に行く?」とダニエルに聞いたら、「ずっと内緒にしておくのもどうかと思うから、一緒に行くよ」と言ってついてきた。
最近出番が少ないから、一緒に行きたかったのだと思う。
それに、アイツは友達がいないから仲間外れを恐れているのだ。
ジャービット・エクスチェンジに向かう途中、私がダニエルに「どう説明する?」と聞いたら、「そのまま正直に言う」と自信満々に私に返した。
チャールズはジャービス王国政府が関わっていることを隠したがっていた。
ダニエルを連れて行って本当に大丈夫なのだろうか?
私が「内緒にしなくてもいいの?」と聞いたが、ダニエルは「大丈夫だよ。どうせ直ぐにバレることだから、先に話しても一緒だよ」と気にしていない。
何か問題になったら、ダニエルからチャールズに説明してもらうしかない。
私、ダニエル、ロイとポールの4人はジャービット・エクスチェンジに到着すると、誰もいない受付を通って、殺風景な会議室に直行した。
スポンサーの選定は、職員には知られないように進めているらしい。
昨日弁護士のビルに電話した時に、ビルは『他の職員に見つからないように、会議室に来てください』と私に言った。
会社の内部者にとっては、自分に都合の良いスポンサーが選定されてほしいはずだ。だ
から、自分本位で会社にとって良くないスポンサーを連れてくる可能性もある。
そういう事態を回避するために、スポンサーの選定から職員を外しているのだろう。
ビルの言っていることは理解できる。
だったら、『別の場所で打合せすればいいのに・・・』と電話口で言いかけたのだが、言ってもしかたないのでやめた。
<続く>