<閑話>スミスの説明:第4回活動報告
文字数 2,237文字
※ここでは、本章で登場した用語についての解説をしています。本文の内容には関係が無いため、必要がない人は読み飛ばして、次に進んでください。
私の名前はスミス。今は総務省の内部調査部で働いています。以前は、第13穀物倉庫で役20年働いていました。前職での事件は皆さんご存じでしょうから、その件は省略します。
ただ、今回のボーナスで連帯保証債務は完済しました。内部調査部の給与体系は、業績連動だったので、その点は助かったと思います。
さて、今回、不動産に関連した専門用語などが登場していたので、私から少し補足説明します。すでに知っている人は、読み飛ばして下さい。
(1)登記簿謄本について
今回はLシリーズ(投資用不動産物件)の登記簿謄本を使ってヒアリング対象者を選定しました。文章では分かりにくいと思いますから、具体例を使って説明します。
まず、建物の登記簿謄本は以下(図表4-2)の形式で情報が提供されています。
【図表4-2:登記簿謄本(建物)のイメージ】
※登記簿謄本はジャービス王国のものではなく、日本のもので説明しています。
登記簿謄本は大きく、表題部(ひょうだいぶ)と権利部(けんりぶ)に分かれています。そのうち、権利部が甲区(こうく)と乙区(おつく)に分かれます。
表題部は、その不動産物件がどういうものであるかを示します。土地と建物で表示される内容が若干異なるものの、所在、構造、面積など不動産の基本的な情報を表示していると理解して下さい。
次に、甲区は『所有権に関する事項』を表示しています。すなわち、甲区を見れば、誰がこの不動産の所有者なのか知ることができます。何人か表示されている場合がありますが、最後(一番下)に表示されている人が現所有者です。
なお、納税が遅延して国や地方公共団体に、不動産を差押えされた場合、甲区に表示されます。不動産の処分に制限があるからです。
乙区は『所有権以外の権利に関する事項』を表示しています。『所有権以外の権利』という回りくどい言い回しですが、具体的に記載される情報は、抵当権、根抵当権、地上権、地役権、借地権などです。銀行から不動産担保融資を受ける場合は、乙区に抵当権又は根抵当権の登記が設定されます。
登記簿謄本は、法務局に訪問して申請するか、インターネットから登記情報提供サービスを利用して取得することができます。
・登記情報提供サービス
https://www1.touki.or.jp/
登記簿謄本についての説明は以上です。
(2)収益物件の評価について
次に、不動産の評価方法について簡単に説明しておきます。
今回の調査対象のLシリーズは、区分所有建物(アパート、コンドミニアム)で、不動産の所有者は自分で住むのではなく、他人に貸しています。Lシリーズのように、他人に貸し出すことを目的とした不動産を『収益物件』といいます。自分で住む場合は『実需物件』などの言い方をするでしょう。
不動産価値を評価する場合、収益物件と実需物件で評価方法が若干違います。
不動産の価格評価の手法は3種類あります。
物件の収益価値を評価する収益還元法、物件の再調達原価(建築コスト)から評価する原価法、類似物件の売買取引から評価する取引事例比較法です。
不動産鑑定評価を実施する場合には、この3つの手法を併用する必要があるものの、評価対象によって重視する評価方法が違います。イメージを示したのがこちら(図表4-3)です。
【図表4-3:不動産の種類と重視する評価方法】
収益物件に投資する場合は、その物件がいくら儲かるかが重要なので、収益還元法を利用して評価します(他の評価方法も使いますが、ここでは説明を割愛します)。
収益還元法の計算方法は、非常に単純です。
・不動産価値=物件純収益÷還元利回り
これだけです。不動産のプロも、この単純な計算を使って売買します。
今回のLシリーズの物件は、1年間に100万円の純収益(賃料収入-運営コスト)、還元利回り(キャップレート)が5%でした。
この前提で不動産価値を計算すると、2,000万円です。
<計算式>
不動産価値=100万円÷5%=2,000万円
ちなみに、取引事例比較法は、区分所有建物以外の不動産を評価する際には、あまり利用しません。立地やグレードが違うと不動産価格は異なるため、同じような不動産を探すのが大変だからです。
区分所有建物(アパート、コンドミニアム)を評価する場合は、取引事例比較法を利用することがあります。
プロは有料の売買事例を利用していますが、最近は無料でも使いやすいものが出ています。
例えば、下記のLIFULL HOME'S (ライフル ホームズ)のプライスマップ(PRICE MAP)は良くできています。
・LIFULL HOME'S 「PRICE MAP」
https://lifullhomes-satei.jp/price-map/
今回の内容は、キャップレートなどの不動産の用語を知っておいた方が分かり易いと思ったので、説明しました。
もう少し詳しく知りたい人がいれば、この本を参考にしてみて下さい。
・図解 不動産ファイナンスのしくみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4502330914/
次回は別の話題なので、別のメンバーが解説することになるでしょう。
以上、スミスでした。
<終わり>
私の名前はスミス。今は総務省の内部調査部で働いています。以前は、第13穀物倉庫で役20年働いていました。前職での事件は皆さんご存じでしょうから、その件は省略します。
ただ、今回のボーナスで連帯保証債務は完済しました。内部調査部の給与体系は、業績連動だったので、その点は助かったと思います。
さて、今回、不動産に関連した専門用語などが登場していたので、私から少し補足説明します。すでに知っている人は、読み飛ばして下さい。
(1)登記簿謄本について
今回はLシリーズ(投資用不動産物件)の登記簿謄本を使ってヒアリング対象者を選定しました。文章では分かりにくいと思いますから、具体例を使って説明します。
まず、建物の登記簿謄本は以下(図表4-2)の形式で情報が提供されています。
【図表4-2:登記簿謄本(建物)のイメージ】
※登記簿謄本はジャービス王国のものではなく、日本のもので説明しています。
登記簿謄本は大きく、表題部(ひょうだいぶ)と権利部(けんりぶ)に分かれています。そのうち、権利部が甲区(こうく)と乙区(おつく)に分かれます。
表題部は、その不動産物件がどういうものであるかを示します。土地と建物で表示される内容が若干異なるものの、所在、構造、面積など不動産の基本的な情報を表示していると理解して下さい。
次に、甲区は『所有権に関する事項』を表示しています。すなわち、甲区を見れば、誰がこの不動産の所有者なのか知ることができます。何人か表示されている場合がありますが、最後(一番下)に表示されている人が現所有者です。
なお、納税が遅延して国や地方公共団体に、不動産を差押えされた場合、甲区に表示されます。不動産の処分に制限があるからです。
乙区は『所有権以外の権利に関する事項』を表示しています。『所有権以外の権利』という回りくどい言い回しですが、具体的に記載される情報は、抵当権、根抵当権、地上権、地役権、借地権などです。銀行から不動産担保融資を受ける場合は、乙区に抵当権又は根抵当権の登記が設定されます。
登記簿謄本は、法務局に訪問して申請するか、インターネットから登記情報提供サービスを利用して取得することができます。
・登記情報提供サービス
https://www1.touki.or.jp/
登記簿謄本についての説明は以上です。
(2)収益物件の評価について
次に、不動産の評価方法について簡単に説明しておきます。
今回の調査対象のLシリーズは、区分所有建物(アパート、コンドミニアム)で、不動産の所有者は自分で住むのではなく、他人に貸しています。Lシリーズのように、他人に貸し出すことを目的とした不動産を『収益物件』といいます。自分で住む場合は『実需物件』などの言い方をするでしょう。
不動産価値を評価する場合、収益物件と実需物件で評価方法が若干違います。
不動産の価格評価の手法は3種類あります。
物件の収益価値を評価する収益還元法、物件の再調達原価(建築コスト)から評価する原価法、類似物件の売買取引から評価する取引事例比較法です。
不動産鑑定評価を実施する場合には、この3つの手法を併用する必要があるものの、評価対象によって重視する評価方法が違います。イメージを示したのがこちら(図表4-3)です。
【図表4-3:不動産の種類と重視する評価方法】
収益物件に投資する場合は、その物件がいくら儲かるかが重要なので、収益還元法を利用して評価します(他の評価方法も使いますが、ここでは説明を割愛します)。
収益還元法の計算方法は、非常に単純です。
・不動産価値=物件純収益÷還元利回り
これだけです。不動産のプロも、この単純な計算を使って売買します。
今回のLシリーズの物件は、1年間に100万円の純収益(賃料収入-運営コスト)、還元利回り(キャップレート)が5%でした。
この前提で不動産価値を計算すると、2,000万円です。
<計算式>
不動産価値=100万円÷5%=2,000万円
ちなみに、取引事例比較法は、区分所有建物以外の不動産を評価する際には、あまり利用しません。立地やグレードが違うと不動産価格は異なるため、同じような不動産を探すのが大変だからです。
区分所有建物(アパート、コンドミニアム)を評価する場合は、取引事例比較法を利用することがあります。
プロは有料の売買事例を利用していますが、最近は無料でも使いやすいものが出ています。
例えば、下記のLIFULL HOME'S (ライフル ホームズ)のプライスマップ(PRICE MAP)は良くできています。
・LIFULL HOME'S 「PRICE MAP」
https://lifullhomes-satei.jp/price-map/
今回の内容は、キャップレートなどの不動産の用語を知っておいた方が分かり易いと思ったので、説明しました。
もう少し詳しく知りたい人がいれば、この本を参考にしてみて下さい。
・図解 不動産ファイナンスのしくみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4502330914/
次回は別の話題なので、別のメンバーが解説することになるでしょう。
以上、スミスでした。
<終わり>