<閑話>ポールの解説:第7回活動報告
文字数 1,559文字
※ここでは、本章で登場した用語についての解説をしています。本文の内容には関係が無いため、必要がない人は読み飛ばして、次に進んでください。
※本話ではジャービス・ドルではなく、日本円を使用して解説します。
<閑話>ポールの解説:第7回活動報告
こんにちは、ポールです。今回は僕が解説をすることになりました。
第7回活動報告では為替取引が頻繁に登場しています。為替取引に使用する為替レートは2種類あります。スポットレートとフォワードレートです。これは第7回活動報告の本文でも説明していますが、もう一度どういうものか説明します。
まず、スポットレートは現時点において他の通貨と交換する際に利用する為替レートです。銀行や外貨両替所で米ドルやユーロに両替する為替レートですね。
次に、フォワードレートは為替予約(将来の為替取引の約束)に使う為替レートです。
1年後に米ドルと日本円を交換する契約で使用する為替レート、5年後に米ドルと日本円を交換する契約で使用する為替レートなど、年限によってフォワードレートは幾つも存在します。
つまり、スポットレートは1つですが、フォワードレートは為替予約の期間に応じたレートが存在します。
※厳密にはこの説明は間違いです。
銀行と為替取引する場合には手数料が掛かるからです。
実際の取引で使用する為替レートは、TTB(銀行の買値)、TTS(銀行の売値)の2種類です。顧客が銀行に米ドルを売る場合はTTBで売却し、顧客が銀行から米ドルを買う場合はTTSで買います。
似たような為替レートにTTM(公表仲値)があります。TTMはTTBとTTSの仲値(平均値)なので、外貨換算の計算に利用する場合はありますが、取引に使用する為替レートではありません。
日本円と米ドルの金利、為替スポットレートが以下の場合、フォワードレートがどうなるかを見てみましょう。
=================
日本円金利:1%
米ドル金利:4%
スポットレート:130円/米ドル
=================
この前提でフォワードレートを計算したのが図表7-18です。
※フォワードレートの計算方法は本文で紹介したので、ここでは省略します。
【図表7-18:年限に応じたフォワードレート】
歴史的に見て、日本円の金利は諸外国通貨(米ドルやユーロなど)と比べて低いため、フォワードレートの期間構造(タームストラクチャー)は図のように右下がりになります。
日米金利差が3%、スポットレートを1米ドル=130円として計算すると、
10年後の米ドルは1米ドル=97円で買えます。
30年後の米ドルは1米ドル=54円で買えます。
もし30年後の米ドルを1米ドル=54円で購入して、30年後に1米ドル=130円だったら76円/米ドル儲かります。
30年後に1米ドル=30円だったとしても米ドルを買わないといけないため、この場合は24円/米ドル損します。
普通に考えたら30年間で1米ドル=54円まで円高(為替レートが低下する)のは想定しにくいので、30年間の為替予約をすればかなりの確率で儲かるでしょう。
でも、金融工学におけるフォワードレート(為替予約レート)は単純な金利差の調整でしかないため、儲かるとか儲からないとかが概念としてありません。
【現在の1米ドル=130円】と【30年後の1米ドル=54円】は等しいと考えるのです。
違和感があるかもしれませんが、為替取引は癖があります。
そういう性質の取引だと理解して下さい。
もっと詳しく知りたい人は、ネットで検索するか、この本を参考にして下さい。
図解 為替デリバティブのしくみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4502434914/
以上、ポールでした。
<終わり>
※本話ではジャービス・ドルではなく、日本円を使用して解説します。
<閑話>ポールの解説:第7回活動報告
こんにちは、ポールです。今回は僕が解説をすることになりました。
第7回活動報告では為替取引が頻繁に登場しています。為替取引に使用する為替レートは2種類あります。スポットレートとフォワードレートです。これは第7回活動報告の本文でも説明していますが、もう一度どういうものか説明します。
まず、スポットレートは現時点において他の通貨と交換する際に利用する為替レートです。銀行や外貨両替所で米ドルやユーロに両替する為替レートですね。
次に、フォワードレートは為替予約(将来の為替取引の約束)に使う為替レートです。
1年後に米ドルと日本円を交換する契約で使用する為替レート、5年後に米ドルと日本円を交換する契約で使用する為替レートなど、年限によってフォワードレートは幾つも存在します。
つまり、スポットレートは1つですが、フォワードレートは為替予約の期間に応じたレートが存在します。
※厳密にはこの説明は間違いです。
銀行と為替取引する場合には手数料が掛かるからです。
実際の取引で使用する為替レートは、TTB(銀行の買値)、TTS(銀行の売値)の2種類です。顧客が銀行に米ドルを売る場合はTTBで売却し、顧客が銀行から米ドルを買う場合はTTSで買います。
似たような為替レートにTTM(公表仲値)があります。TTMはTTBとTTSの仲値(平均値)なので、外貨換算の計算に利用する場合はありますが、取引に使用する為替レートではありません。
日本円と米ドルの金利、為替スポットレートが以下の場合、フォワードレートがどうなるかを見てみましょう。
=================
日本円金利:1%
米ドル金利:4%
スポットレート:130円/米ドル
=================
この前提でフォワードレートを計算したのが図表7-18です。
※フォワードレートの計算方法は本文で紹介したので、ここでは省略します。
【図表7-18:年限に応じたフォワードレート】
歴史的に見て、日本円の金利は諸外国通貨(米ドルやユーロなど)と比べて低いため、フォワードレートの期間構造(タームストラクチャー)は図のように右下がりになります。
日米金利差が3%、スポットレートを1米ドル=130円として計算すると、
10年後の米ドルは1米ドル=97円で買えます。
30年後の米ドルは1米ドル=54円で買えます。
もし30年後の米ドルを1米ドル=54円で購入して、30年後に1米ドル=130円だったら76円/米ドル儲かります。
30年後に1米ドル=30円だったとしても米ドルを買わないといけないため、この場合は24円/米ドル損します。
普通に考えたら30年間で1米ドル=54円まで円高(為替レートが低下する)のは想定しにくいので、30年間の為替予約をすればかなりの確率で儲かるでしょう。
でも、金融工学におけるフォワードレート(為替予約レート)は単純な金利差の調整でしかないため、儲かるとか儲からないとかが概念としてありません。
【現在の1米ドル=130円】と【30年後の1米ドル=54円】は等しいと考えるのです。
違和感があるかもしれませんが、為替取引は癖があります。
そういう性質の取引だと理解して下さい。
もっと詳しく知りたい人は、ネットで検索するか、この本を参考にして下さい。
図解 為替デリバティブのしくみ
https://www.amazon.co.jp/dp/4502434914/
以上、ポールでした。
<終わり>