第6話 底地を買取ろう!(その4)
文字数 1,764文字
(6)底地を買取ろう! <続き>
俺はまず底地価格と地代の前提をチャールズに説明することにした。
「まず、今回の買取対象はグロス利回りが10%以上の底地とします。グロス利回りと言ったのは、底地の費用は固定資産税等しかないからです。その固定資産税等はジャービス王国に払うものだから、うちで物件取得する際に費用として考える必要はありません」
「土地なのに10%で回るの?」
「更地だったら無理ですよ。でも、底地だったら回ります」
「へー」
「まず、ジャービス王国の地代は固定資産税の3倍に設定されています。固定資産税は路線価の約2%だから、地代は路線価の6%です。だから、更地を路線価で購入した場合のグロス利回りは6%です」
「そうだね」
「次に、底地価格は借地権割合によってディスカウントされます。実勢価格(売買価格)が路線価と同じ場合、借地権割合が50%だったら、底地の実勢価格は路線価の50%だから、グロス利回りは12%(=6%÷50%)です。借地権割合が70%だったら、グロス利回りは20%(=6%÷30%)です」
「20%だったら5年で回収できるよな。土地なのに20%って利回りが高すぎない?」
「まあ、これは土地の実勢価格が路線価と同じ場合ですから、都市部の底地の場合は利回りが落ちます。実勢価格が路線価の2倍の場合は10%に落ちますよね」
「そうだな」
「ちなみに、取得する底地の場所(都会、地方)と借地権割合の関係を示したものはこんな感じです」
俺はそう言って用意したグラフ(図表10-17)をチャールズに見せた。
【図表10-17:借地権割合と底地利回り(再掲)】
※ここでは、都会の実勢価格=路線価×2、地方の実勢価格=路線価、固定資産税=路線価×2%、地代=固定資産税×3として計算しています。
「このグラフの数値を基にして取得対象の底地のグロス利回りを10%以上としたら、都会の場合は借地権割合が70%以上の底地、地方の場合は借地権割合が40%以上の底地。これが今回の買取対象です」
「グロス利回りが10%でも10年間で回収できる。いいなー」
チャールズが乗ってきた。俺はさらにもう一押しすることにした。
「さらに・・・」
「さらに?」
チャールズは食いついた。
「底地を借地権者に売却する場合は、第三者に売却するよりも高く売れるんです」
「どういうこと?」
「これを見てください」
俺はそう言って、もう一つのイメージ図(図表10-3)をチャールズに見せた。
【図表10-3:土地価格の比較(再掲)】
※上記の借地権価格と底地価格は、同一人物が取得する価格(限定価格)を考慮していません。
「借地権も底地権も土地の完全な所有権ではないから、借地権価格(50)と底地価格(20)を合計しても建付地価格(90)にはなりません。でも、借地権者が底地を取得したら完全所有権(建付地)になりますから、第三者との売買価格20ではなく、借地権者にとっては40の価値があるんです」
「20で購入した底地が40で売れる。そういうことか?」
「ええ、儲かるでしょ?」
「儲かるなー」
「いいでしょ」
「いいなー。それで、取得する底地の地代収入と売却収入はどういう計画なんだ?」
「知りたいですか?」
「いいから、教えろよ!」
「分かりましたよ。いまジャービス国内の不動産会社から情報を集めている途中ですが、平均地代利回りは年率15%になるでしょう。それで、借地権者が建物を売却するのが毎年5%くらい、その40%が底地を購入すると予想しています。底地の平均売却価格は取得価格の200%です。その前提で地代収入と売却収入を計算すると、こんな感じです」
俺はそう言ってグラフ(図表10-18)を見せた。
【図表10-18:想定する地代収入と売却収入】
※上記は底地の取得価格を100とした場合の売却収入と地代収入を計算しています。
「ちなみに利回りは?」とチャールズは俺に聞いた。
「IRR(内部収益率)で17%ですね」
「いいなー。儲かるなー。それで、いくら必要なんだ?」
「えーっと、100億JDくらいかな・・・」
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。
「もってけドロボー!」
「あざーす!」
こうして、俺たちは底地の買取りを開始することになった。
俺はまず底地価格と地代の前提をチャールズに説明することにした。
「まず、今回の買取対象はグロス利回りが10%以上の底地とします。グロス利回りと言ったのは、底地の費用は固定資産税等しかないからです。その固定資産税等はジャービス王国に払うものだから、うちで物件取得する際に費用として考える必要はありません」
「土地なのに10%で回るの?」
「更地だったら無理ですよ。でも、底地だったら回ります」
「へー」
「まず、ジャービス王国の地代は固定資産税の3倍に設定されています。固定資産税は路線価の約2%だから、地代は路線価の6%です。だから、更地を路線価で購入した場合のグロス利回りは6%です」
「そうだね」
「次に、底地価格は借地権割合によってディスカウントされます。実勢価格(売買価格)が路線価と同じ場合、借地権割合が50%だったら、底地の実勢価格は路線価の50%だから、グロス利回りは12%(=6%÷50%)です。借地権割合が70%だったら、グロス利回りは20%(=6%÷30%)です」
「20%だったら5年で回収できるよな。土地なのに20%って利回りが高すぎない?」
「まあ、これは土地の実勢価格が路線価と同じ場合ですから、都市部の底地の場合は利回りが落ちます。実勢価格が路線価の2倍の場合は10%に落ちますよね」
「そうだな」
「ちなみに、取得する底地の場所(都会、地方)と借地権割合の関係を示したものはこんな感じです」
俺はそう言って用意したグラフ(図表10-17)をチャールズに見せた。
【図表10-17:借地権割合と底地利回り(再掲)】
※ここでは、都会の実勢価格=路線価×2、地方の実勢価格=路線価、固定資産税=路線価×2%、地代=固定資産税×3として計算しています。
「このグラフの数値を基にして取得対象の底地のグロス利回りを10%以上としたら、都会の場合は借地権割合が70%以上の底地、地方の場合は借地権割合が40%以上の底地。これが今回の買取対象です」
「グロス利回りが10%でも10年間で回収できる。いいなー」
チャールズが乗ってきた。俺はさらにもう一押しすることにした。
「さらに・・・」
「さらに?」
チャールズは食いついた。
「底地を借地権者に売却する場合は、第三者に売却するよりも高く売れるんです」
「どういうこと?」
「これを見てください」
俺はそう言って、もう一つのイメージ図(図表10-3)をチャールズに見せた。
【図表10-3:土地価格の比較(再掲)】
※上記の借地権価格と底地価格は、同一人物が取得する価格(限定価格)を考慮していません。
「借地権も底地権も土地の完全な所有権ではないから、借地権価格(50)と底地価格(20)を合計しても建付地価格(90)にはなりません。でも、借地権者が底地を取得したら完全所有権(建付地)になりますから、第三者との売買価格20ではなく、借地権者にとっては40の価値があるんです」
「20で購入した底地が40で売れる。そういうことか?」
「ええ、儲かるでしょ?」
「儲かるなー」
「いいでしょ」
「いいなー。それで、取得する底地の地代収入と売却収入はどういう計画なんだ?」
「知りたいですか?」
「いいから、教えろよ!」
「分かりましたよ。いまジャービス国内の不動産会社から情報を集めている途中ですが、平均地代利回りは年率15%になるでしょう。それで、借地権者が建物を売却するのが毎年5%くらい、その40%が底地を購入すると予想しています。底地の平均売却価格は取得価格の200%です。その前提で地代収入と売却収入を計算すると、こんな感じです」
俺はそう言ってグラフ(図表10-18)を見せた。
【図表10-18:想定する地代収入と売却収入】
※上記は底地の取得価格を100とした場合の売却収入と地代収入を計算しています。
「ちなみに利回りは?」とチャールズは俺に聞いた。
「IRR(内部収益率)で17%ですね」
「いいなー。儲かるなー。それで、いくら必要なんだ?」
「えーっと、100億JDくらいかな・・・」
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。
「もってけドロボー!」
「あざーす!」
こうして、俺たちは底地の買取りを開始することになった。