第6話 XFTの破産(その1)
文字数 1,587文字
(6) XFTの破産
俺、スミス、ガブリエルの3人が内部調査部に戻ると、他のメンバーが騒がしく話をしている。
俺が『何かあったのかな?』と思ってメンバーを見ていたら、ルイーズが俺に気付いた。
「ねえ、聞いた? XFTが破産したらしいよ」
「XFTって、暗号資産大手のあのXFT?」と俺はルイーズに聞いた。
「そう。そのXFT。顧客の預り資産が社外流出していて、会社にはほとんど何も残っていないらしいよ。分別管理ができていなかったみたい」
「へー、ひどい状況だね。XFTの破産は業界にとって大きなニュースだよな。暗号資産のマーケットに動きがあったんじゃないの?」
「もちろん。ほとんどの暗号資産が大暴落している」とルイーズは言った。
「ジャービット・コインは?」と俺は聞く。
「さっき電話で確認したけど、今のところは他の暗号資産よりも値下りは小さいみたいね。でも、資金が潤沢にあるわけじゃないから、そのうち暴落するかもね」とルイーズは答えた。
俺がルイーズと話していると、内部調査部の他のメンバーが俺に気付いたようだ。
「部長、XFTの件聞きました?」とロイが同じことを聞いてきた。
「いまルイーズから聞いて、びっくりしたよ。暗号資産は暴落しているらしいし、大変なことになったね」と俺はロイに返した。
ロイが話を続けようと発言しようとしたところ、ポールが会話を遮って言った。
「それはそうと、ジャービット・エクスチェンジはいかがでしたか?」
どうやらポールは話しを本題に戻してくれたようだ。
忙しくなりそうな時に、延々と雑談を続けるところだった・・・。
俺は、ジャービット・エクスチェンジから聞いた内容を、他のメンバーに説明した。
オンライン取引をしていない電話注文専門の暗号資産交換業。アナログな営業スタイルだが、営業のノルマやインセンティブは無いから強引な営業や価格操作はしていなさそうだ。
ただ、俺の主観や印象はあまり当てにならない。
だから、『ジャービット・エクスチェンジの話が本当かは分からない』と説明の中で付け加えておいた。
今回の案件も、俺は確信がない。
ジャービット・エクスチェンジのホセが嘘を言っているように思えない。
だが、ホセは都合の悪いことを言わなかっただけかもしれない。
それを俺が良く解釈したのかもしれない・・・。
正しい判断をするためには、ジャービット・エクスチェンジの内情を知っている人から、もう少し話を聞きたいところだ。
「ホセの話が正しいか裏を取る必要があると思うんだ。ジャービット・エクスチェンジはカルタゴ証券の出身者が作った会社だ。カルタゴ証券の出身者で、ジャービット・エクスチェンジに近い人から話を聞きたいんだけど、誰か知らないかな?」
俺は藁に縋る思いで、メンバーに聞いてみた。
すると、ガブリエルが手を上げた。
「ちょっと自信がないのですが・・・。i4の競売物件の販売を委託している不動産会社のジョゼフが、カルタゴ証券出身だと言っていたような気がします。確認してみましょうか?」
「本当? ぜひ聞いてみて!」
「分かりました。いまから電話して聞いてみます」と言って、ガブリエルは席を外した。
しばらくして戻ってきたガブリエルは、「当たりです。今も繋がりがあるようです」と言った。さらにガブリエルが言うには、ジョセフはいつでも面談可能とのことだった。
これでジャービット・エクスチェンジのことが何か分かるかもしれない。
俺はジョゼフの情報に期待した。
俺はガブリエルと一緒にジョセフに会いに行くことにし、他のメンバーには暗号資産交換業者の動向を探ってもらうことにした。
XFTの破産は業界でかなりのインパクトがあるから、業界動向を注意深く観察しておく必要がある。
それに、チャールズの手助けをするのは癪なのだが、手頃な買収候補が見つかるかもしれない。
<続く>
俺、スミス、ガブリエルの3人が内部調査部に戻ると、他のメンバーが騒がしく話をしている。
俺が『何かあったのかな?』と思ってメンバーを見ていたら、ルイーズが俺に気付いた。
「ねえ、聞いた? XFTが破産したらしいよ」
「XFTって、暗号資産大手のあのXFT?」と俺はルイーズに聞いた。
「そう。そのXFT。顧客の預り資産が社外流出していて、会社にはほとんど何も残っていないらしいよ。分別管理ができていなかったみたい」
「へー、ひどい状況だね。XFTの破産は業界にとって大きなニュースだよな。暗号資産のマーケットに動きがあったんじゃないの?」
「もちろん。ほとんどの暗号資産が大暴落している」とルイーズは言った。
「ジャービット・コインは?」と俺は聞く。
「さっき電話で確認したけど、今のところは他の暗号資産よりも値下りは小さいみたいね。でも、資金が潤沢にあるわけじゃないから、そのうち暴落するかもね」とルイーズは答えた。
俺がルイーズと話していると、内部調査部の他のメンバーが俺に気付いたようだ。
「部長、XFTの件聞きました?」とロイが同じことを聞いてきた。
「いまルイーズから聞いて、びっくりしたよ。暗号資産は暴落しているらしいし、大変なことになったね」と俺はロイに返した。
ロイが話を続けようと発言しようとしたところ、ポールが会話を遮って言った。
「それはそうと、ジャービット・エクスチェンジはいかがでしたか?」
どうやらポールは話しを本題に戻してくれたようだ。
忙しくなりそうな時に、延々と雑談を続けるところだった・・・。
俺は、ジャービット・エクスチェンジから聞いた内容を、他のメンバーに説明した。
オンライン取引をしていない電話注文専門の暗号資産交換業。アナログな営業スタイルだが、営業のノルマやインセンティブは無いから強引な営業や価格操作はしていなさそうだ。
ただ、俺の主観や印象はあまり当てにならない。
だから、『ジャービット・エクスチェンジの話が本当かは分からない』と説明の中で付け加えておいた。
今回の案件も、俺は確信がない。
ジャービット・エクスチェンジのホセが嘘を言っているように思えない。
だが、ホセは都合の悪いことを言わなかっただけかもしれない。
それを俺が良く解釈したのかもしれない・・・。
正しい判断をするためには、ジャービット・エクスチェンジの内情を知っている人から、もう少し話を聞きたいところだ。
「ホセの話が正しいか裏を取る必要があると思うんだ。ジャービット・エクスチェンジはカルタゴ証券の出身者が作った会社だ。カルタゴ証券の出身者で、ジャービット・エクスチェンジに近い人から話を聞きたいんだけど、誰か知らないかな?」
俺は藁に縋る思いで、メンバーに聞いてみた。
すると、ガブリエルが手を上げた。
「ちょっと自信がないのですが・・・。i4の競売物件の販売を委託している不動産会社のジョゼフが、カルタゴ証券出身だと言っていたような気がします。確認してみましょうか?」
「本当? ぜひ聞いてみて!」
「分かりました。いまから電話して聞いてみます」と言って、ガブリエルは席を外した。
しばらくして戻ってきたガブリエルは、「当たりです。今も繋がりがあるようです」と言った。さらにガブリエルが言うには、ジョセフはいつでも面談可能とのことだった。
これでジャービット・エクスチェンジのことが何か分かるかもしれない。
俺はジョゼフの情報に期待した。
俺はガブリエルと一緒にジョセフに会いに行くことにし、他のメンバーには暗号資産交換業者の動向を探ってもらうことにした。
XFTの破産は業界でかなりのインパクトがあるから、業界動向を注意深く観察しておく必要がある。
それに、チャールズの手助けをするのは癪なのだが、手頃な買収候補が見つかるかもしれない。
<続く>