第7話 告発者は誰だ?
文字数 1,478文字
(7)告発者
今回の事件に絡んだ5人を警察官が連れて行ったので、俺は自宅に帰ることにした。ルイーズはさっさと帰った。
俺の住居は1DKのマンション。住宅とオフィスが混在しているようなエリアに住んでいる。王族は宮殿に住んでいるのをイメージするかもしれないが、ジャービス王国には宮殿はない。国王も王子も、ごく普通の家に住んでいる。
俺は学生時代に一人暮らしを始め、それから引っ越ししていない。東京で言うと高田馬場のようなエリアだ。最寄り駅から自宅までの間に飲食店街があるので、大体そこで夕食を食べて帰宅する。その日も一人で居酒屋チェーンに行き、つまみを食べながら酒を飲む。
事件の事を思い出していると、遠くで店員の声が聞こえる。
「よろこんで〜!」
周りは楽しそうだ。
俺には友達がほとんどいないから、毎日賑やかな場所に行って、一人飲み会ごっこをしている。
犬でも飼おうかな?
****
翌日、被害額をルイーズが集計したところ、およそ5,000万JDだった。被害額は小さくないものの、返せない金額ではない。全員が初犯ということもあり、裁判で執行猶予付の判決となった。
裁判所は王国の損失額を補填させるために、5,000万JDを犯人5人の連帯債務とした。
ロイ1人で5,000万JDを返すよりも、早く被害額を回収できるだろう。最終的には他の4人が支払った代位弁済額について、ロイが4人に返済していくことになる。
後味はよくないものの、犯罪は犯罪だ。探偵としての第1号案件は終わったことになる。
ちなみに、告発文を送ってきた人物は後日判明した。告発者はターニャだった。
犯人5人はターニャに計画のことを話さなかったようだ。きっと、ターニャは誰かに話してしまうからだ。
ターニャは自分に内緒でコソコソ動いている5人が気に入らなかったのかもしれない。
あるいは、変な正義感だろうか?
休憩室でターニャが話しかけてきたのも、きっと俺が内部調査にやってきたのを知っていたのだろう。そして、スミスが怪しいと思わせたのもターニャだ。
結局、俺はお喋りおばさんに誘導されて、事件を解決しただけなのか?
********
ちなみに、俺とルイーズはこの裁判を、一番前の席で傍聴していた。裁判中にルイーズが、「内部調査部の業務も増えてきたから、増員した方が良くない?」と聞いてきたので、「確かにそうだね。予算も付きそうだし」と俺は答えた。
「増員の募集するのも面倒だし、この5人でよくない?」とルイーズが言った。
その瞬間、俺はすぐ前の被告人席に座っていたミゲルと目が合った。
すると、ミゲルは俺に何か言った。
なんて言ったのだろう?俺はミゲルが言ったことを聞き取れなかった。
裁判中だが俺はミゲルに「何て言ったの?」と聞いた。
「よろこんで!」とミゲルがもう一度言った。
今度は、はっきりと聞こえた。
ルイーズは「内部調査部で働いてくれるって。ダニエル、良かったね」と言った。
ミゲルに渡したルイーズの復活の呪文は、こう書いてあったようだ。
------------------------------
『よろこんで!』
------------------------------
復活の呪文は、俺がいつも帰りに寄る居酒屋の掛け声のようだった。
5人はセーブポイントに戻ったわけではないが、復活の呪文も少しは役に立ったのだろう。
こうして俺は、第13穀物倉庫の5人を内部調査部で雇うことになった。
内部調査部のメンバーを新規募集するつもりだったし、不正の手口に詳しいメンバーは必要だ。
今回の事件に絡んだ5人を警察官が連れて行ったので、俺は自宅に帰ることにした。ルイーズはさっさと帰った。
俺の住居は1DKのマンション。住宅とオフィスが混在しているようなエリアに住んでいる。王族は宮殿に住んでいるのをイメージするかもしれないが、ジャービス王国には宮殿はない。国王も王子も、ごく普通の家に住んでいる。
俺は学生時代に一人暮らしを始め、それから引っ越ししていない。東京で言うと高田馬場のようなエリアだ。最寄り駅から自宅までの間に飲食店街があるので、大体そこで夕食を食べて帰宅する。その日も一人で居酒屋チェーンに行き、つまみを食べながら酒を飲む。
事件の事を思い出していると、遠くで店員の声が聞こえる。
「よろこんで〜!」
周りは楽しそうだ。
俺には友達がほとんどいないから、毎日賑やかな場所に行って、一人飲み会ごっこをしている。
犬でも飼おうかな?
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翌日、被害額をルイーズが集計したところ、およそ5,000万JDだった。被害額は小さくないものの、返せない金額ではない。全員が初犯ということもあり、裁判で執行猶予付の判決となった。
裁判所は王国の損失額を補填させるために、5,000万JDを犯人5人の連帯債務とした。
ロイ1人で5,000万JDを返すよりも、早く被害額を回収できるだろう。最終的には他の4人が支払った代位弁済額について、ロイが4人に返済していくことになる。
後味はよくないものの、犯罪は犯罪だ。探偵としての第1号案件は終わったことになる。
ちなみに、告発文を送ってきた人物は後日判明した。告発者はターニャだった。
犯人5人はターニャに計画のことを話さなかったようだ。きっと、ターニャは誰かに話してしまうからだ。
ターニャは自分に内緒でコソコソ動いている5人が気に入らなかったのかもしれない。
あるいは、変な正義感だろうか?
休憩室でターニャが話しかけてきたのも、きっと俺が内部調査にやってきたのを知っていたのだろう。そして、スミスが怪しいと思わせたのもターニャだ。
結局、俺はお喋りおばさんに誘導されて、事件を解決しただけなのか?
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ちなみに、俺とルイーズはこの裁判を、一番前の席で傍聴していた。裁判中にルイーズが、「内部調査部の業務も増えてきたから、増員した方が良くない?」と聞いてきたので、「確かにそうだね。予算も付きそうだし」と俺は答えた。
「増員の募集するのも面倒だし、この5人でよくない?」とルイーズが言った。
その瞬間、俺はすぐ前の被告人席に座っていたミゲルと目が合った。
すると、ミゲルは俺に何か言った。
なんて言ったのだろう?俺はミゲルが言ったことを聞き取れなかった。
裁判中だが俺はミゲルに「何て言ったの?」と聞いた。
「よろこんで!」とミゲルがもう一度言った。
今度は、はっきりと聞こえた。
ルイーズは「内部調査部で働いてくれるって。ダニエル、良かったね」と言った。
ミゲルに渡したルイーズの復活の呪文は、こう書いてあったようだ。
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『よろこんで!』
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復活の呪文は、俺がいつも帰りに寄る居酒屋の掛け声のようだった。
5人はセーブポイントに戻ったわけではないが、復活の呪文も少しは役に立ったのだろう。
こうして俺は、第13穀物倉庫の5人を内部調査部で雇うことになった。
内部調査部のメンバーを新規募集するつもりだったし、不正の手口に詳しいメンバーは必要だ。