第11話 投資計画を説明しよう(その1)

文字数 1,599文字

(11)投資計画を説明しよう

 私、ロイとポールはダニエルと一緒に、チャールズにジャービット・エクスチェンジの投資計画を説明するために内務省に訪問した。
 私たちは内務省の入り口から入ってチャールズの部屋まで廊下を歩いているのだが、ロイとポールは総務省との差に驚いている。

 それはそうだろう。内務省は総務省と比べると煌びやかな印象を受ける。
 『倹約こそ美徳!』の社訓が貼ってある内部調査部とは大違いだ。

「内務省は、内装が豪華ですね」とポールがダニエルに言うと、「そうだね。チャールズはこういうのが好きなんだよ」とダニエルは返している。

 横にいたロイが私に「チャールズって、どういう人なの?」と聞いてきた。

「難しい質問だね。私は全体的にいい印象はないな・・・」

「どういう風に?」

「キャラクターで言うと、ド●えもんのス●夫に似ている。ジャ●アンに取り入って、の●太をいじめるアイツね。ジャービス王国だと第1王子のジェームスがジャ●アンで、ダニエルがの●太かな」

「へー。部長も大変なんだ。じゃあ、第3王子のアンドリューは誰?」

「例えが難しいな。ド●えもんのキャラクターで言うとブラックな出●杉君。ス●夫は裏表が分かり易いキャラクターでしょ」

「たしかに。ス●夫は卑屈だけど分かり易いね」

「ブラックな出●杉君は全部隠しているから危険なんだ。『こいつは味方だ!』と思っていたら、急に後ろから拳銃で撃ってくるタイプ。違うキャラクターで例えると、デューク●郷(ゴ●ゴ13)みたいな」

「あー、そっちかー。『今殺した女と5分前までセッ●スしてたよね?』みたいなタイプか・・・」
 デューク●郷のイメージがロイに正確に伝わったようだ。

 私は重要なことを思い出したからロイには伝えておくことにした。

「あ、そうだ。ロイには言っておくけど、チャールズは視線がいやらしい」と私はロイに言った。

「セクハラ?」とロイは大声で言った。

 職場で使うのがデリケートな単語が出てきたので、近くで聞いていたダニエルが割って入った。

「ス●夫は、セクハラしないよ。小心者だから」とダニエルが言った。

「エロ視線はセクハラじゃないの?」

「視線くらい許してあげてよ。エロ視線がセクハラになったら、この国の男性の大半がセクハラになっちゃうでしょ」

「生きにくい世の中になるわね・・・」私はボソッと言った。

「ス●夫は直接セクハラをしないけど、そういう妄想をしているタイプだな・・・」

「妄想?」

「例えるならば、好きな女子の縦笛(リコーダー)を放課後に狙っている中学生みたいな・・・」

「いやー、それはアウトでしょ。他の生徒が帰るまで、何か用事をしているフリをして教室に残るんですよね?」とロイが言った。

「そうだよ。でもね、ス●夫は最後まで教室に残るけど決行できない。小心者だから未遂なんだ」とダニエルは答えた。

「気持ち悪い。セクハラ未遂は罪に問えるのかな?」

「だから、それくらい許してあげてよ」

 完全にロイが引いている。ダニエルも言い過ぎだ。

「家までついて来たりしますか?」ロイはダニエルに質問した。

 ロイはどうしても気になるようだ。
 過去にストーカー被害にでも遭ったのだろうか?
 チャールズに気に入られると、家までついて来るんじゃないかと思っている。

「ストーカー行為はどうだろうなー? ついて来たとしてもかなり離れてついていくと思う。そして、ロイの部屋が見える部屋を借りて、望遠鏡で毎日覗いているかもしれない。でも、直接の害はないよ」

「いやー。犯罪ですよ!」ロイが叫んだ。

 完全にホラーのようなリアクションだ。
 私はロイが『チャールズの部屋には行かない』と言い出さないか心配になった。

「ダニエルは誇張して話しただけよ。『実害の無い、ちょっと視線がエロいス●夫』だと思えばいいのよ。大丈夫だって!」と私はフォローした。

 フォローになったかは分からないが・・・


 <続く>
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ダニエル:ジャービス王国の第4王子。総務大臣。

ルイーズ:総務省 内部調査部 課長代理

ジェームス:ジャービス王国第1王子。軍本部 総司令

チャールズ:ジャービス王国の第2王子。内務大臣。

アンドリュー:ジャービス王国の第3王子。外務大臣。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み