第14話 裁判所の決定(その2)
文字数 1,681文字
(14) 裁判所の決定 <続き>
ホセのところには若いベンチャー経営者がよく訪問してくる。
若いベンチャー経営者とのミーティングはほぼ毎日開催されており、次第にミゲルも一緒に雑談に参加するようになった。
だから、ミゲルはチーム『ホセイドン』のメンバーとして、いろんな経営者の集まりに参加している。ホセはミゲルを自分の後継者として育てようとしているのかもしれない。
ミゲルはいい歳のおじさんだ。
なので、できるなら若手を育ててほしいとダニエルは思っているようだ。
でも、誰も後継者を希望しない。話が長いから・・・
だから、順当にミゲルが後継者として育てられている。
内務省も次の社長候補の選定に手を焼いているらしい。
案外、ミゲルがジャービット・エクスチェンジの社長に就任するかもしれない。
そして、ジャービットが投資しているベンチャー株式は、上場承認を受けていた2社とは別に2社の上場が決定し、この2社の上場で5億JDを回収できた。
ベンチャー企業1社につき1,000万JDずつ投資すると、50社分の投資資金だ。
投資資金が確保できたから、チーム『ホセイドン』はこれからもベンチャー投資を続けていくだろう。
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。
さて、暗号資産がどうなったかも、一応説明しておこう。
ジャービット・コインの発行額は増加し、チャールズが計画した暗号資産の資金調達は順調だ。
チャールズは当初、税金支払いにジャービット・コインを利用して暗号資産の残高を増やそうとした。だが、実際にはあまり効果はなかった。
これは私の推測だが、会社が決算書と税務申告書を作成して税務署に提出した後、ジャービット・コインを購入して税金を支払うという一連の手続が煩雑だったことが原因だと思う。期限前ギリギリに申告すると、ジャービット・コインを購入する時間的な余裕がないのだ。
ジャービット・コインの残高が一気に伸びた理由は2つだ。
1つ目は、交通系電子マネーとしてジャービット・コインを採用したことだろう。
SuicaやICOCAのような交通系電子マネーをイメージしてもらえばいい。
ジャービス王国では、国有鉄道会社が国民の通勤・通学に利用されていて利用者が多い。その電子マネーをコンビニエンスストアなどで利用できるようにしたら、キャッシュレスの決済手段として飛躍的にジャービット・コインの発行残高が増加した。電子マネーをチャージするには、駅の券売機やコンビニエンスストアのATMで現金を投入するか、銀行口座を紐付けて利用する。
この交通系電子マネーのおかげで、ジャービット・コインの発行は順調に進み、ジャービス中央銀行(ジャービス王国の中央銀行)の預金残高は増加している。
ジャービット・エクスチェンジは、電子マネーの払戻し時の手数料収入が入ってくるから順調に業績を伸ばしている。
ジャービット・コインの残高が伸びた2つ目は公営ギャンブルだ。
ジャービス王国では、競馬や競艇などは国が運営している。公営ギャンブルは内務省の管轄なのだが、チャールズは競馬や競艇の掛け金をジャービット・コインにした。
スマートパチンコ(パチンコ玉に触れずに遊技ができるパチンコ)がイメージに近いだろう。公営ギャンブルの掛け金・勝った場合の払戻は、全てジャービット・コインとして記録される。
ジャービット・コインは周辺施設でも使えるから、競馬に勝った人は周辺で飲み食いしている。だから、ジャービット・コインはギャンブル以外にも使えるから、勝ってもジャービス・ドル(通貨)に替えない人がほとんどだ。日常的な買い物や次回のギャンブルの掛け金としてジャービット・コインを利用している。
そうして、ジャービット・コインの残高は順調に増えていった。
でも私の意見を正直に言おう。
― わざわざ暗号資産の発行会社を買収しなくても良かったんじゃないか?
暗号資産を使わなくても同じことができる。
こうして今回の案件は終了した。
今回も事件性がなかったな・・・
ホセのところには若いベンチャー経営者がよく訪問してくる。
若いベンチャー経営者とのミーティングはほぼ毎日開催されており、次第にミゲルも一緒に雑談に参加するようになった。
だから、ミゲルはチーム『ホセイドン』のメンバーとして、いろんな経営者の集まりに参加している。ホセはミゲルを自分の後継者として育てようとしているのかもしれない。
ミゲルはいい歳のおじさんだ。
なので、できるなら若手を育ててほしいとダニエルは思っているようだ。
でも、誰も後継者を希望しない。話が長いから・・・
だから、順当にミゲルが後継者として育てられている。
内務省も次の社長候補の選定に手を焼いているらしい。
案外、ミゲルがジャービット・エクスチェンジの社長に就任するかもしれない。
そして、ジャービットが投資しているベンチャー株式は、上場承認を受けていた2社とは別に2社の上場が決定し、この2社の上場で5億JDを回収できた。
ベンチャー企業1社につき1,000万JDずつ投資すると、50社分の投資資金だ。
投資資金が確保できたから、チーム『ホセイドン』はこれからもベンチャー投資を続けていくだろう。
※JD(ジャービス・ドル)はジャービス王国の法定通貨です。1JD=1円と考えて下さい。
さて、暗号資産がどうなったかも、一応説明しておこう。
ジャービット・コインの発行額は増加し、チャールズが計画した暗号資産の資金調達は順調だ。
チャールズは当初、税金支払いにジャービット・コインを利用して暗号資産の残高を増やそうとした。だが、実際にはあまり効果はなかった。
これは私の推測だが、会社が決算書と税務申告書を作成して税務署に提出した後、ジャービット・コインを購入して税金を支払うという一連の手続が煩雑だったことが原因だと思う。期限前ギリギリに申告すると、ジャービット・コインを購入する時間的な余裕がないのだ。
ジャービット・コインの残高が一気に伸びた理由は2つだ。
1つ目は、交通系電子マネーとしてジャービット・コインを採用したことだろう。
SuicaやICOCAのような交通系電子マネーをイメージしてもらえばいい。
ジャービス王国では、国有鉄道会社が国民の通勤・通学に利用されていて利用者が多い。その電子マネーをコンビニエンスストアなどで利用できるようにしたら、キャッシュレスの決済手段として飛躍的にジャービット・コインの発行残高が増加した。電子マネーをチャージするには、駅の券売機やコンビニエンスストアのATMで現金を投入するか、銀行口座を紐付けて利用する。
この交通系電子マネーのおかげで、ジャービット・コインの発行は順調に進み、ジャービス中央銀行(ジャービス王国の中央銀行)の預金残高は増加している。
ジャービット・エクスチェンジは、電子マネーの払戻し時の手数料収入が入ってくるから順調に業績を伸ばしている。
ジャービット・コインの残高が伸びた2つ目は公営ギャンブルだ。
ジャービス王国では、競馬や競艇などは国が運営している。公営ギャンブルは内務省の管轄なのだが、チャールズは競馬や競艇の掛け金をジャービット・コインにした。
スマートパチンコ(パチンコ玉に触れずに遊技ができるパチンコ)がイメージに近いだろう。公営ギャンブルの掛け金・勝った場合の払戻は、全てジャービット・コインとして記録される。
ジャービット・コインは周辺施設でも使えるから、競馬に勝った人は周辺で飲み食いしている。だから、ジャービット・コインはギャンブル以外にも使えるから、勝ってもジャービス・ドル(通貨)に替えない人がほとんどだ。日常的な買い物や次回のギャンブルの掛け金としてジャービット・コインを利用している。
そうして、ジャービット・コインの残高は順調に増えていった。
でも私の意見を正直に言おう。
― わざわざ暗号資産の発行会社を買収しなくても良かったんじゃないか?
暗号資産を使わなくても同じことができる。
こうして今回の案件は終了した。
今回も事件性がなかったな・・・