第1話 キャッチーなネーミング(その1)
文字数 1,588文字
俺の名前は、ダニエル。ジャービス王国という小さな国の第4王子だ。父である国王の思いつきで立ち上がった内部調査部の部長をしている。ただ、『部長』だと気分が上がらないので、『探偵』になったということにしておく。
(1)キャッチーなネーミング
俺たち内部調査部は第13穀物倉庫の事件を無事に解決したのだが、国王はそれに気をよくしたようだ。国王は不正の内部告発を推進したいと言い出した。面倒な話だ。
国王が俺たち兄弟を招集したので、俺は国王が指定した会議室に向かった。
開始時間より少し前に会議室に到着したら、アンドリューが先に来ていた。
アンドリューは他の参加者を待っている間、暇だったのだろう。
「ダニー、チャールズが犬を飼い始めたって聞いた?」と珍しく世間話をしてきた。
「いえ。聞いてないですよ」と俺が言ったら、「チャールズは独身で彼女いないから、寂しいんじゃないかな?」とアンドリューは返した。
俺は犬が好きだ。でも、世話するのは大変そうだから、飼おうとは思っていない。
「へー、犬か。いいな。どんな種類なの?」と俺はアンドリューに聞く。
「チワワとミニチュアダックスフンドをかけ合わせた犬らしい。ミックス犬って言うらしい」
「最近よく見かけるね。チワワとミニチュアダックスフンドだから、『チワックス』と言うのかな?」と俺はそのミックス犬の呼び名を勝手に推測する。
『チワックス』が正しいかどうかは、俺は知らない。
「逆じゃないか?ミニチュアダックスフンドとチワワだから『ミニチュワワ』だよ」
「チュワワって言いにくくない?呼びやすさから言って、絶対に『チワックス』だよ。アンドリュー兄さんって、ネーミングセンスないよね」
アンドリューは俺の発言にムカついたようだ。
「じゃあ、お前はネーミングセンスあるのか?」
「チャールズ兄さんよりもあると思うよ」
「それなら問題だ。柴犬とチワワだったら、何て名前だ?」とアンドリューが俺に問う。
「柴犬とチワワか・・・。『シバワ』かな?」と俺は言った。
「違う。チワワと柴犬だから、『チバケン』だよ」とチャールズが言う。
「そんな呼び方したら千葉県民に怒られるよ」
「別にいい。俺は今後『チバケン』って言うから」
「あ、そう」
俺はそろそろ飽きてきたのだが、アンドリューは考えている。
「分かった!これは俺の『チバケン』が正解だと思う」
「どうして?」
「問題です。『チバケン』と『ポメラニアン』のミックス犬は何て言う?」
「『チバケン』と『ポメラニアン』か・・・。『チバニアン』?」
※チバニアンは、地質時代の区分の一つで、77.4万年前から12.9万年前までの期間である。
「正解!『チバニアン』だ!一度、チバにした後は、いろんなバリュエーションに対応できる」
アンドリューのテンションが上がってきた。
「どういうこと?」
「『チバケン』と『マルチーズ』のミックス犬は何て言う?」
「チバマルかな?」
「だろ。『チバ』って、使いやすいだろ。基本形を『チバ』にすれば何でもミックスできる」とアンドリューは勝ち誇ったように言った。
「あ、そう」
俺は全く興味がない。でもアンドリューはご機嫌だ。
「『チバケン』と『キャバリア』は何だ?」
「『千葉キャバ』でしょ」
千葉のキャバ嬢のようなミックス犬だ。
「正解!じゃあ、『チバケン』と『チャウチャウ』は?」
「『千葉ちゃうちゃう』?」
これは難易度が高い。ちばらきの茨城県の地名を間違って言った時のリアクションか?
※『ちばらき』とは、千葉県と茨城県の2県を掛け合わせた造語である。
「正解!さすがダニエルはネーミングセンスがあるな~」アンドリューはご機嫌だ。
このやり取りはいつまで続くんだろう。
それよりも、早く千葉県民に誤った方がいいと思うぞ。
俺とアンドリューがくだらない話をしていたら、国王と2人の兄弟が会議室に入ってきた。
<続く>
(1)キャッチーなネーミング
俺たち内部調査部は第13穀物倉庫の事件を無事に解決したのだが、国王はそれに気をよくしたようだ。国王は不正の内部告発を推進したいと言い出した。面倒な話だ。
国王が俺たち兄弟を招集したので、俺は国王が指定した会議室に向かった。
開始時間より少し前に会議室に到着したら、アンドリューが先に来ていた。
アンドリューは他の参加者を待っている間、暇だったのだろう。
「ダニー、チャールズが犬を飼い始めたって聞いた?」と珍しく世間話をしてきた。
「いえ。聞いてないですよ」と俺が言ったら、「チャールズは独身で彼女いないから、寂しいんじゃないかな?」とアンドリューは返した。
俺は犬が好きだ。でも、世話するのは大変そうだから、飼おうとは思っていない。
「へー、犬か。いいな。どんな種類なの?」と俺はアンドリューに聞く。
「チワワとミニチュアダックスフンドをかけ合わせた犬らしい。ミックス犬って言うらしい」
「最近よく見かけるね。チワワとミニチュアダックスフンドだから、『チワックス』と言うのかな?」と俺はそのミックス犬の呼び名を勝手に推測する。
『チワックス』が正しいかどうかは、俺は知らない。
「逆じゃないか?ミニチュアダックスフンドとチワワだから『ミニチュワワ』だよ」
「チュワワって言いにくくない?呼びやすさから言って、絶対に『チワックス』だよ。アンドリュー兄さんって、ネーミングセンスないよね」
アンドリューは俺の発言にムカついたようだ。
「じゃあ、お前はネーミングセンスあるのか?」
「チャールズ兄さんよりもあると思うよ」
「それなら問題だ。柴犬とチワワだったら、何て名前だ?」とアンドリューが俺に問う。
「柴犬とチワワか・・・。『シバワ』かな?」と俺は言った。
「違う。チワワと柴犬だから、『チバケン』だよ」とチャールズが言う。
「そんな呼び方したら千葉県民に怒られるよ」
「別にいい。俺は今後『チバケン』って言うから」
「あ、そう」
俺はそろそろ飽きてきたのだが、アンドリューは考えている。
「分かった!これは俺の『チバケン』が正解だと思う」
「どうして?」
「問題です。『チバケン』と『ポメラニアン』のミックス犬は何て言う?」
「『チバケン』と『ポメラニアン』か・・・。『チバニアン』?」
※チバニアンは、地質時代の区分の一つで、77.4万年前から12.9万年前までの期間である。
「正解!『チバニアン』だ!一度、チバにした後は、いろんなバリュエーションに対応できる」
アンドリューのテンションが上がってきた。
「どういうこと?」
「『チバケン』と『マルチーズ』のミックス犬は何て言う?」
「チバマルかな?」
「だろ。『チバ』って、使いやすいだろ。基本形を『チバ』にすれば何でもミックスできる」とアンドリューは勝ち誇ったように言った。
「あ、そう」
俺は全く興味がない。でもアンドリューはご機嫌だ。
「『チバケン』と『キャバリア』は何だ?」
「『千葉キャバ』でしょ」
千葉のキャバ嬢のようなミックス犬だ。
「正解!じゃあ、『チバケン』と『チャウチャウ』は?」
「『千葉ちゃうちゃう』?」
これは難易度が高い。ちばらきの茨城県の地名を間違って言った時のリアクションか?
※『ちばらき』とは、千葉県と茨城県の2県を掛け合わせた造語である。
「正解!さすがダニエルはネーミングセンスがあるな~」アンドリューはご機嫌だ。
このやり取りはいつまで続くんだろう。
それよりも、早く千葉県民に誤った方がいいと思うぞ。
俺とアンドリューがくだらない話をしていたら、国王と2人の兄弟が会議室に入ってきた。
<続く>