第188話
文字数 568文字
「いい子だね、フラーミィ。……さて、紅や。今までお前には無理をさせてきたね」
「無理なんかしてないよ、桐子。私が望んだことじゃないか……」
拗ねたような紅霧の声が、桐子に甘えているように聞こえます。
「私のために、望んでくれことだろう?」
「同じ事さ。桐子の願いを叶えることが、私の望みなんだから」
「紅……」桐子が柔らかく微笑む。「さあ、二人ともよく聞いておくれ。白の鏡と黒の鏡は、表と裏、一対だ。だからね、黒の鏡で何が起きているのか、白の鏡にいる私には、なんとはなしにわかるんだ。」
窓も扉も閉め切ってあるのに、クチナシの香りが強まり空気が揺れました。紅霧が昂っているのか、桐子が命を燃やしているのか……どちらなのでしょう?
「黒の精命が……あと少しで満ちる」
「こんな夜更けに? どうやって……」
『やはり……、ターゲットが変わったのですね?』
紅霧は不思議そうにしていたが、奏多に彌羽学園の文化祭には三人しか来ていなかった、と聞いた時から、もしかしたら、と思っていました。
「そうさ。このターゲットに冬矢の影が手をかけたら、黒い精命は鏡からあふれ出るだろうさ」
「それでそのターゲット、ってのは誰なんだい?」
しびれを切らした紅霧が聞く。ためらうように、口をつぐんだ桐子の代わりに静かに告げます。
『……モンスターママ、つまり冬矢のお母さんですね?』
「無理なんかしてないよ、桐子。私が望んだことじゃないか……」
拗ねたような紅霧の声が、桐子に甘えているように聞こえます。
「私のために、望んでくれことだろう?」
「同じ事さ。桐子の願いを叶えることが、私の望みなんだから」
「紅……」桐子が柔らかく微笑む。「さあ、二人ともよく聞いておくれ。白の鏡と黒の鏡は、表と裏、一対だ。だからね、黒の鏡で何が起きているのか、白の鏡にいる私には、なんとはなしにわかるんだ。」
窓も扉も閉め切ってあるのに、クチナシの香りが強まり空気が揺れました。紅霧が昂っているのか、桐子が命を燃やしているのか……どちらなのでしょう?
「黒の精命が……あと少しで満ちる」
「こんな夜更けに? どうやって……」
『やはり……、ターゲットが変わったのですね?』
紅霧は不思議そうにしていたが、奏多に彌羽学園の文化祭には三人しか来ていなかった、と聞いた時から、もしかしたら、と思っていました。
「そうさ。このターゲットに冬矢の影が手をかけたら、黒い精命は鏡からあふれ出るだろうさ」
「それでそのターゲット、ってのは誰なんだい?」
しびれを切らした紅霧が聞く。ためらうように、口をつぐんだ桐子の代わりに静かに告げます。
『……モンスターママ、つまり冬矢のお母さんですね?』