第210話
文字数 530文字
「いいお天気だねえ、アイラちゃん!」と、稜佳がマスターを振り返りました。
金髪のツインテールに刺繍のついたエスニックな白いシャツ。ショートパンツにスニーカーという姿のマスターは、両手を腰にあてて仁王立ちしています。
一方の稜佳は細身の黒いスキニーパンツに黒いTシャツ、胸元にはアイラにもらったブラックローズのネックレスを付けています。服装は黒いですが気分はうらはらなようで、マスターにピンク色の笑顔を向けていました。
「そうだ、桐子さんの具合はどう?」
「うん、のんびり寝たり起きたりして過ごしている。ところで一来はまだなの? 今日はおしおきで来たんだから、働いてもらわないと」
にきにきとチョキを動かしながらマスターが言うと、隣にいる奏多も、真似してにきにきしました。ストライプのサスペンダーにブルーのデニムにパーカーの奏多は、ボーイッシュで少年のようにも見えます。
「春休みだから、浅葱先生も誘えば良かったかな?」
『今日は昔の教え子達の同窓会に呼ばれているそうですよ』と私は影のまま答えました。
――あの名前の書いてある消しゴムは、使い切られたのだろうか? それとも同窓会に持っていったのでしょうか?
そう思って、私の唇には誰にも見られることなく、笑みが浮かびました。
金髪のツインテールに刺繍のついたエスニックな白いシャツ。ショートパンツにスニーカーという姿のマスターは、両手を腰にあてて仁王立ちしています。
一方の稜佳は細身の黒いスキニーパンツに黒いTシャツ、胸元にはアイラにもらったブラックローズのネックレスを付けています。服装は黒いですが気分はうらはらなようで、マスターにピンク色の笑顔を向けていました。
「そうだ、桐子さんの具合はどう?」
「うん、のんびり寝たり起きたりして過ごしている。ところで一来はまだなの? 今日はおしおきで来たんだから、働いてもらわないと」
にきにきとチョキを動かしながらマスターが言うと、隣にいる奏多も、真似してにきにきしました。ストライプのサスペンダーにブルーのデニムにパーカーの奏多は、ボーイッシュで少年のようにも見えます。
「春休みだから、浅葱先生も誘えば良かったかな?」
『今日は昔の教え子達の同窓会に呼ばれているそうですよ』と私は影のまま答えました。
――あの名前の書いてある消しゴムは、使い切られたのだろうか? それとも同窓会に持っていったのでしょうか?
そう思って、私の唇には誰にも見られることなく、笑みが浮かびました。