第133話
文字数 548文字
「それじゃ、行ってくるわね。頼んだわよ、稜佳」
マスターはリアル世界と繋がっている鏡のふちから、糸を下げてぶら下がっていた蜘蛛に気が付くと人差し指を立てて言い聞かせました。
「扉の中は危ないから、マミちゃんは部屋に戻って待っているのよ、わかった?」
マミは瞳をくるりとエメラルドグリーンに光らせると、するすると糸を引き上げ、リアルの世界にもどって行きました。マスターはマミを見送ると、開いた扉に片足を踏みいれましたが、「あ」と足を止めて振りかえりました。何か思い出したようです。
「そうそう。私のスマホ、充電がないから一来のスマホに電話してね」と言うと、今度こそツインテールを翻し、キラルの扉の中に入っていきました。
続いて稜佳を除く全員が扉を抜けます。リアル世界から持ってきた自分の靴を手に、フローリングの廊下を歩きます。階段を降りると玄関がありました。一来のスマートフォンが震えます。
一来がスピーカーに切り替えると、
――皆、気を付けてね! と、稜佳の声が響きました。
「ありがとう。今、奏多の家から外に出たよ。スマホは胸ポケットに入れたけど、聞こえる?」
――少し聞き取りにくいから、大き目の声で話して
「了解」
スマートフォンから、家具を引きずる音がし始めると、一来は「さあ、行こう」と前を向きました。
マスターはリアル世界と繋がっている鏡のふちから、糸を下げてぶら下がっていた蜘蛛に気が付くと人差し指を立てて言い聞かせました。
「扉の中は危ないから、マミちゃんは部屋に戻って待っているのよ、わかった?」
マミは瞳をくるりとエメラルドグリーンに光らせると、するすると糸を引き上げ、リアルの世界にもどって行きました。マスターはマミを見送ると、開いた扉に片足を踏みいれましたが、「あ」と足を止めて振りかえりました。何か思い出したようです。
「そうそう。私のスマホ、充電がないから一来のスマホに電話してね」と言うと、今度こそツインテールを翻し、キラルの扉の中に入っていきました。
続いて稜佳を除く全員が扉を抜けます。リアル世界から持ってきた自分の靴を手に、フローリングの廊下を歩きます。階段を降りると玄関がありました。一来のスマートフォンが震えます。
一来がスピーカーに切り替えると、
――皆、気を付けてね! と、稜佳の声が響きました。
「ありがとう。今、奏多の家から外に出たよ。スマホは胸ポケットに入れたけど、聞こえる?」
――少し聞き取りにくいから、大き目の声で話して
「了解」
スマートフォンから、家具を引きずる音がし始めると、一来は「さあ、行こう」と前を向きました。