第104話
文字数 551文字
「あっそう。それならいいけど。それで、どこで会ってたの?」
『ここ。塩山中学校近くの中央公園だよ』
「ここ? ただの公園じゃない。紅霧が一来を付け回しているというだけなんじゃないの?」
「違うよ、アイラちゃん。中央公園は、一来君の家と方角が合わないもん」と、なんとか立ち直ったらしい稜佳が口を挟みました。
「それじゃあ、一来は公園で何をしていたのよ」
私は口の中に残っていた白玉をすばやくかみ砕き、飲み込みます。くぐもった声で話して、聞き返されたい内容ではありません。
『……紅霧の鏡に血を落としていたんだって』
マスターは私の手から白玉ミルクティーの容器を奪うと、ストローに口を付けました。青い瞳には霞がかかり何も見えていないようなのに、口に咥えたストローの中を次々に白玉が吸い上げられていく……。
私はため息をつきました。味わわないのなら返して欲しいものです。
仕方がないので、目も口も開けたまま固まっている稜佳の手から、レモン味の白玉ドリンクの容器をそっと横取りします。
チュッと吸うと、柔らかなレモン風味の白玉が口の中に転がってきました。
『うん、おいしい』
もぐもぐ、と白玉を噛みながら、思いを巡らせます。美味しい、といえば一来の精命ですね。紅霧が一来の血を欲しがるなら分かりますが、鏡に落としていたとは……。
『ここ。塩山中学校近くの中央公園だよ』
「ここ? ただの公園じゃない。紅霧が一来を付け回しているというだけなんじゃないの?」
「違うよ、アイラちゃん。中央公園は、一来君の家と方角が合わないもん」と、なんとか立ち直ったらしい稜佳が口を挟みました。
「それじゃあ、一来は公園で何をしていたのよ」
私は口の中に残っていた白玉をすばやくかみ砕き、飲み込みます。くぐもった声で話して、聞き返されたい内容ではありません。
『……紅霧の鏡に血を落としていたんだって』
マスターは私の手から白玉ミルクティーの容器を奪うと、ストローに口を付けました。青い瞳には霞がかかり何も見えていないようなのに、口に咥えたストローの中を次々に白玉が吸い上げられていく……。
私はため息をつきました。味わわないのなら返して欲しいものです。
仕方がないので、目も口も開けたまま固まっている稜佳の手から、レモン味の白玉ドリンクの容器をそっと横取りします。
チュッと吸うと、柔らかなレモン風味の白玉が口の中に転がってきました。
『うん、おいしい』
もぐもぐ、と白玉を噛みながら、思いを巡らせます。美味しい、といえば一来の精命ですね。紅霧が一来の血を欲しがるなら分かりますが、鏡に落としていたとは……。