第49話

文字数 461文字

「あ、日本語、話せるんだ……。あの、君はえーと、お名前は?」

一来がほっとしたように、少女に話しかけました。

『アイラ・ウィスハートだよ』

 そう答えながら、ふっくらとした小さな手に持ったスプーンで、ブルーベリーソルベにスプーンを突き立てますが、まだ固くてスプーンが入りません。ちょっぴりスプーンについたソルベを舐めながら、一来を見つめます。青い大きなつり目は、マスターと同じです。

「えっ、アイラ?」一来はぎょっとしたように、隣に座ったアイラと見比べました。

 幽霊か分身の術でも使ったのかと思っているのか、何度も二人を見比べる様子に、マスターがこらえきれなくなったように吹き出しました。スプーンを持つ手が震え、パフェの長いグラスがカチャカチャと楽しい効果音を鳴らします。

『私ですよ、一来』
「えっ? フラーミィなの?」

 テーブルの向かい側から手を伸ばして、私の頭を撫でていた稜佳が、手をとめて顔を覗き込んできました。「変身出来るんだー」と体を乗り出し、顔をさらに近づけてきます。私の、またはマスターの面影を探しているのでしょうか。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み