第14話
文字数 449文字
『マスター……』
マスタ―を非難する言葉が喉から飛び出そうでしたが、胸に手を当てて首を振り、遺憾の意を表明するに留めました。文句などを言えば、きっとマスターが怒りだして、面倒なことになるのは目に見えています。
ふう、とため息をつきつつ遠くを見ると、識里という少女の影が店を出ていこうとしているのが目に入りました。
『おや、あの少女、店を出ますね』
「放っておきなさいよ」
「放っておけない!」
真逆の言葉を同時に発して、二人は店を飛び出して万引き少女の後を追いかけて行きました。
『マスター、放っておくのでは?』
「放っておくわよ! だけど影が一人で歩き回っているなんて、初めて見たわ。影は本体にくっついているからこそ、影なんでしょ? 単なる好奇心よ。一来、あなたは帰りなさいよ。関係ないじゃない」
「僕は識里さんを放っておけないから」
「なによ、それ……」マスターが抗議しようとしましたが、一来は走るスピードを上げ、先を歩く少女に追いつきました。
「識里さん! 待って!」一来は前を歩く少女の腕を引っ張りました。
マスタ―を非難する言葉が喉から飛び出そうでしたが、胸に手を当てて首を振り、遺憾の意を表明するに留めました。文句などを言えば、きっとマスターが怒りだして、面倒なことになるのは目に見えています。
ふう、とため息をつきつつ遠くを見ると、識里という少女の影が店を出ていこうとしているのが目に入りました。
『おや、あの少女、店を出ますね』
「放っておきなさいよ」
「放っておけない!」
真逆の言葉を同時に発して、二人は店を飛び出して万引き少女の後を追いかけて行きました。
『マスター、放っておくのでは?』
「放っておくわよ! だけど影が一人で歩き回っているなんて、初めて見たわ。影は本体にくっついているからこそ、影なんでしょ? 単なる好奇心よ。一来、あなたは帰りなさいよ。関係ないじゃない」
「僕は識里さんを放っておけないから」
「なによ、それ……」マスターが抗議しようとしましたが、一来は走るスピードを上げ、先を歩く少女に追いつきました。
「識里さん! 待って!」一来は前を歩く少女の腕を引っ張りました。