第159話
文字数 509文字
意識を取り戻した奏多は、影の上にさらにいくつもの涙の雫を落としました。そして青いハンカチを抱きしめ帰っていったのです。だから奏多が自分の心に素直に生きることを願って影にもどったピュリュが、犯人であるはずがありません。それに……。
『黒の鏡はエナンチオマーに奪われてしまいました。紅霧も鏡に奏多を入れることはできません』
ピュリュと奏多の思い出にひたっているマスターの耳に私の声が届くのか疑問だが、ピュリュ犯人説をはっきりと否定しておきました。
エナンチオマーが黒の鏡を奪って暖炉の上の鏡に逃げ込んだ時、紅霧は鞭を使って攻撃したはずみで、暖炉の上の鏡を割ってしまいました。そのため追いかけることができず、一番近い風呂場の鏡に急いで走りましたが、逃げ去ったエナンチオマーは見つけることができませんでした。
黒の鏡はエナンチオマーに持ち去られてしまったのです。紅霧は強張った顔で一度洋間に戻ってきたが、ピュリュが奏多の影に戻ったのをチラリと確認すると何も言わずに姿を消しました。
連続暴行事件がエナンチオマーと関わりがあるかどうか、確かな解答には辿り着かないまま、授業開始のチャイムが鳴り、稜佳は走って自分の教室に戻っていきました。
『黒の鏡はエナンチオマーに奪われてしまいました。紅霧も鏡に奏多を入れることはできません』
ピュリュと奏多の思い出にひたっているマスターの耳に私の声が届くのか疑問だが、ピュリュ犯人説をはっきりと否定しておきました。
エナンチオマーが黒の鏡を奪って暖炉の上の鏡に逃げ込んだ時、紅霧は鞭を使って攻撃したはずみで、暖炉の上の鏡を割ってしまいました。そのため追いかけることができず、一番近い風呂場の鏡に急いで走りましたが、逃げ去ったエナンチオマーは見つけることができませんでした。
黒の鏡はエナンチオマーに持ち去られてしまったのです。紅霧は強張った顔で一度洋間に戻ってきたが、ピュリュが奏多の影に戻ったのをチラリと確認すると何も言わずに姿を消しました。
連続暴行事件がエナンチオマーと関わりがあるかどうか、確かな解答には辿り着かないまま、授業開始のチャイムが鳴り、稜佳は走って自分の教室に戻っていきました。