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文字数 848文字


「だからさ、名前を決めない?」

今度はパッと目を見開く。

「ボクの・・・名前?」

「そう。わたしが決めてもいいかな?」

最初は戸惑っているように見えたが、そのうちコクりと小さく頷いた。それが可愛くて、また自然と笑みが出る。

「そうだなぁ・・・何がいいかなぁ」

言ったはいいが、困った。そういうセンスは皆無なんだよな、わたし。なら、相談相手を呼ぼう。

「あのね、今からわたしの"友達"が来るけど、怖がらなくていいからね」

後ろを振り向き、「空舞さーん!」

空舞さんはものの数秒でこちらへ飛んできた。柵へ降り立つが、あの子の姿がない。

「あれっ!」

「潜ったわ」

「なんで!?おーい、ボクー、大丈夫だから出ておいで〜」

しかし、姿を見せない。

「・・・空舞さん、何かしたんじゃないですか?」

「してないわよ。何をするって言うの」

「なにか、怖がらせるようなこと」

「何もしてないわ」

少しして、ポチャリと水面が盛り上がった。さっきと同じように、目だけを出してこちらを伺っている。

「ボク!怖くないから出ておいで!この・・・鳥さんはね、空舞さんって言うの。わたしのお友達」

最初は警戒していたようだが、徐々に顔全体を見せてくれた。

「・・・鳥が喋ってる」

「そう!この鳥さんはね、喋れる鳥さんなの!」

「あなただって喋ってるじゃない」

空舞さんの言い方が威圧的だったのか、また顔を隠した。

「空舞さんっ、もっと優しく言ってくださいよ。ボク、怖くないから大丈夫だよ!優しい鳥さんだから!」

「あなた、さっきからボクって言ってるけど、この子は男なの?」

「えっ!違うんですか?」

「わたしに聞かれてもね」

「声の感じからそうかなと思ってたんですけど・・・キミ、男の子・・・だよね?」

反応がない。ということは──。

「そうだよ」

「・・・ああ、よかった」

「男じゃなかったらダメなの?」

「えっ、あ!違う違う!女の子だったら失礼だったなって!それだけ!他に意味はないよ!」

「・・・あなた、少し落ち着いたら?」

テンパっている自覚があるだけに、何も言えず──妙な沈黙に包まれた。




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