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文字数 883文字


「・・・そうなんですか」

「でも、被害の報告は最近になっての話よね?どうしてかしら」

「そこに居るのが、雪音ちゃんが見たという化け猫と同じだとすれば、年月を経て凶暴化している可能性もある。もしくは、別の何かか・・・」

「なんにせよ、確かめる必要があるという事だな」

「もう1つ、聞きたいんですが、妖怪はその・・・成長するんですか?歳をとるという意味で」

財前さんは袖に腕を通し、何か考え込んだ。
「そうだね、それに関しても、両方だ。そのままの姿で生き続ける者もいれば、人や別の妖怪を喰らい大きくなる者もいる。妖怪によって、成長するスピードや具合が違うんだ。申し訳ない。僕も長年生きているが、明確な事は言えないんだ」
笑ったあとに伏目がちになるのも、やっぱり、財前さんだ。


「それで、いつ行く?」

「・・・アンタはもう少し会話の流れを読みなさいよ」

「何がだ。今、一旦区切りがついただろう」

「その区切りを読めって言ってるの」

「ここでとやかく言ったって、行って確かめない事には何もわからないだろう」

「その通り、その通りだけど、よ」

「そうですね。行って確かめないと」みんなにというより、自分に言い聞かせた。

早坂さんの手が一瞬、頭に触れる。これは、なんのポンだろう。

「明日にでも行ってみるか?急いだほうがいいだろう」

「あたしは構わないけど、問題は時間よね。子供達が遊ぶ時間に現れるなら、明るいうちに行っほうがいいかしら」

「そこを縄張りにしてるなら、夜でも現れるんじゃないか。昔俺んちで買ってた猫は夜になると活発に動いてたぞ」

「そりゃあ普通の猫の話でしょうが。まあ、確かに、子供達が居ない時のほうが動きやすくはあるわね」

「しかし、移動時間を考えると中条の仕事が終わってからでは、ちと微妙だな。今回は2人で行くか?」

「休みます」

「そうか。遊里、何時にする」

「えっ!いや、違くて!仕事を休むってことです!わたしも行きます」

「無理しなくていいのよ?」

横目で早坂さんを睨んだ。この人は、ただ連れて行きたくないだけだ。

「大丈夫です。人も増えたので」一真くん、明日はバイトに入るんだろうか。早急に確認せねば。
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