p.4

文字数 863文字


「じゃあ、好きな人は?います?」

「・・・いないよ」

「あっ!今、間があった!あやしい・・・」

その間の理由を、わたしが教えてほしい。「わたしの事はいいから!一真くんは?彼女いないの?」

「俺はもう半年くらいいないっすね」

半年って、もうなの?「そっか。一真くんならすぐ出来るよ」

「うわー、俺、全然興味持たれてないし」一真くんが、ガクリと項垂れた。

「え、興味?」

「雪音さん、俺の事、異性として見てます?」

これは、完璧に想定外の質問だった。こういう場合、なんて答えれば?わたしは正直に言う以外、知らない。「異性っていうか、一真くんみたいな弟がいたら、良かったなあ・・・って」

納得してないのは、表情を見てわかった。「弟かあ・・・やっぱり。年下ダメすか?」

「・・・いや、ダメとかじゃないけど」

「社会人にならないと釣り合わないすよね。早く時間経たねーかなあ」

なんか、話が変な方向に行ってるんですけど。話題を変えなくては。「わたし、ひとりっ子だから、兄弟いたらいいなーって思ってたんだ」

「そーなんすか?でも、納得かも。雪音さんしっかりしてるから。上がいると、どうしても甘やかされますからね。わがままになりますよ、俺もそうだけど」

「そーなの?」

「はい、7つ上の姉ちゃんがいます」

ということは、早坂さんと同じくらいか?
──だから、いちいち思い出すなって。

「いいなあ。7つも上だったら、可愛がられたらでしょ」

「はい。ブラコンです」

「アハハ。ブラコンか、一真くん可愛いから、わかる気がする」

「・・・そこはあんまりわかってほしくないんだけどな」

「えっ」余計なこと言った?地雷がよくわからん。

「雪音さんは、弟か妹がいたら、絶対良い姉ちゃんになってたと思いますよ」

「そうかねえ〜」

「はい。最初に会った時、この人、自分の事より人の事に一生懸命な人なんだなって思いましたもん」

「最初に会った時って、店で?」

一真くんが首を振った。「前に、叔父の店で会ってるんですよ。話はしてないから、雪音さんは覚えてないと思うけど」

「えっ!そーなの?」まったく、記憶にございません。





ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み