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文字数 492文字


「前から思ってたけど、アンタそれ、自分で買ったの?」

出勤後の更衣室、バッグの中の財布を見た春香が言った。

「ん、おばあちゃんに買ってもらった」

「アンタがブランド物持つなんて珍しいと思ったわ。リッチなおばあちゃんね、それ10万は下らないでしょ」

おばあちゃんに言われた通り、わたしは高校を卒業してから良い財布を買った。本当はもっと安い物でよかったのだが、残ったお金を使う事は、わたしには出来ない。だから、貰ったお金に少し上乗せをして買える物を選んだ。

「財布は人に見られるからね」

「ふぅーん。まっ、そうね。良い物を身につけてると気分も上がるってもんよ」

「うん。良い物には良い物が寄ってくるんだって」

「・・・じゃあ、何であたしには良い男が寄ってこないのかしら」

「酒癖じゃない?」

「年内中に絶対良い男見つけるわよーっ!」

「無視かい」

「目指せ社長夫人ーっ!」

「そこかい」




おばあちゃん、わたしね、今楽しいよ。
仕事も頑張ってるし、良い人たちに恵まれて、毎日が楽しい。
だから、心配しないでね。わたしがいずれそっちに行くまで、空の上から見守っていて。
そして向こうで会ったら、また一緒にメロンパン食べようね。
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