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文字数 831文字


「何がいるかわからないから今回は2人でいいって言ってただろ」

「お黙りっ!雪音ちゃん、ホントに悪気はないのよ!」

自然と溜め息が、出た。

「今溜め息ついた?もしかして怒ってる?」

「・・・別に怒ってません」

「そお?声が怒ってるように聞こえるんだけど」

「瀬野さん、あとどれくらいで着きそうですか?」

「やっぱり怒ってるじゃない!」

「ここからだと、あと15分くらいか?」

「わかりました。では、待ってますね」

「おーい、雪音ちゃん」

こちらから通話を終了した。また、溜め息が出る。

「どうして怒ってるの?」

「いや、怒ってませんよ。ちょっと、悲しいだけです」

早坂さんの考えてる事はわかる。あの人は、わたしを出来るだけ危険から遠ざけようとしているだけ。わかってるけど、蚊帳の外に置かれたみたいで悲しいんだ。

「なぜ悲しいの?」

「なぜって、わたし抜きで行こうとしてたから・・・」

「でもあなた、蛾は嫌いなんでしょ?行かずに済むなら喜ぶべきじゃない」

「・・・そうなんですけど、仲間外れにされるのは嫌なんです」

自分で言って子供っぽいなと思ったが、事実だ。

「人間は不思議ね」





瀬野さんの言う通り、それから約15分後、早坂さんの車がわたしの前に停車した。
助手席に瀬野さんが座っていたので、後ろのドアを開ける。

「こんばんは」

「あなた、外で待ってちゃ危ないでしょ!」

「いや、家の前なんで大丈夫です」

「ダメよ!夜も遅いんだから」

こう言う時は、スルーに限る。「空舞さん、どうしますか?このまま一緒に行きます?」

わたしの肩にいる空舞さんは、車の中を観察している。「いえ、狭いのは嫌いなの。悠里、場所はわかってるのよね?」

「ええ、何度も通ってる道だからわかるわ」

「じゃあわたしは先に行って待ってるわ」そう言い、空舞さんは夜空に羽ばたいて行った。


わたしが乗るのを確認し、早坂さんも車を走らせる。
いつも前に乗るせいか、後ろの席は凄く新鮮だった。シートも広く、座り心地も良い。ここで1泊しろと言われても難なく過ごせそうだ。


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