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文字数 934文字


電話を終えた後、しばらくボーッとしていた。
さっきまで2度寝する気満々だったのに、いつの間にかこんな事になってしまった。

こうしちゃいられない。まずはベットからの脱出だ。洗面所に行き、顔を洗い、歯を磨く。化粧をするか迷ったけど、一応人と会うということでいつも通りの5分で済ます。髪はショートボブだから、ミストで濡らして少し乾かせばオーケー(わたしは)。

服は考えるほど持っていないので、クローゼット内の目についた白いTシャツに着替え、下はデニム。鏡を見て、ふと思った。わたし、中学生から服装に変化ないかも。

支度が終わり、メールを確認する。指定された場所は、わたしの職場の近所にあるカフェ。幸いにも地下鉄の近くだ。
今から出ますとだけ返信して家を出た。

家から最寄りの地下鉄までは徒歩3分。うまく行けば、10分で行ける。早足で駅を目指し、階段を駆け下りる。
そして──膝から崩れ落ちそうになった。

「マジか・・・」改札前に駅員さんが立ち、運転見合わせの説明をしている。どうやら、車両事故らしい。こんな時に──。

こうなると、しばらくは動かない。となると、選択肢は1つ。わたしは階段を駆け上り、走った。体力には自信があるが、よりよってこの超晴天。こんなに太陽を恨んだことはない。

当たり前だが、店に着く頃には全身汗だくになっていた。入る前にハンカチで顔を拭く。化粧もへったくれもない。せめてパウダーだけでも持ってくれば良かった。

呼吸を整え、無駄に緊張しながらドアを開けた。
最初に気づいたのは、わたしだった。というか、すぐ気づいた。4人掛けの椅子に座っている2人は、なぜか異様に目立つ。──デカいからか?
隣の席に1人で座っている若い女性も、携帯をいじりながらチラチラと見ている。

店員のいらっしゃいませと共に、2人がこちらに気づいた。ペコリと頭を下げる。オネエに手招きされ、席へと向かう。

「あらちょっと!汗だくじゃない!外そんなに暑かった?」

「いえ、地下鉄が止まってて、走って来たので」まだ身体が火照っている。

「フルマラソンでもしてきたみたいだな」瀬野さんは若干引いている。

「走ってくることないのに。とりあえず座って、何か飲み物頼みましょ」オネエが自分の隣の椅子を引いてくれたので、そこに座る。
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