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穏やかに流れる川を見ながら、カレーパンをかじる。今飛び込んだら最高に気持ち良いだろうな。
──そういえば、あの時も飛び込もうとしてたな、わたし。ウエストを掴む腕に、凄まじい力で引き戻された。走り高跳び並に飛んだ気がする。瀬野さんが受け止めてくれなきゃ、どうなっていただろう。2人とも、かなり鍛えてるよな。
自分の腕に力を入れて上腕二頭筋を確認する。ポコッと可愛らしい山が出来た。週に数回ダンベルで鍛えているから、普通の女性よりは筋肉もあると思うんだが。もっと鍛えるか。
出来るだけ、2人に迷惑をかけないようになりたい。わたしなら大丈夫だと、思われるようになりたい。
まあ、早坂さんに関しては、はなから過保護モードを発動しているから望みは薄いが。
そもそも、なんであんなに過保護になるんだろう。心配性というレベルではない。ただ優しいからという話でもない気がする。他人に興味がないと言っていたのに。わたしが女だから?わたし以外の女でも、そうなるのか。
前に瀬野さんが言っていた、前はあんなじゃなかったというのは、喋り以外の事もなんだろうか。──だとしたら、早坂さんが過保護になったのには、みはるという名の女性が関係してるとか?
───・・・邪念を払うために走ったんだろう、お前は。
カレーパンをビールで流し込んだ。
そう、考えてもわからない事をうだうだ悩むな。目先の事を考えろ。
とりあえず今は、ビールとカレーパンを平らげて、家に戻ってシャワーを浴びる。そして、財前さんに会いに行くんだ。