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文字数 683文字


「結構よ。わたしは1度食事をすれば、数日何も食べなくていいの。だから気にしないでちょうだい」

「了解です」

1回の食事でそんなに腹持ちするのか。羨ましい限りだ。

コーヒーを淹れて、ソファーへ移動する。コップをテーブルに置くと、空舞さんは顔を背けた。

「人間はその飲み物が好きね。何がいいのかわからないわ」

「嫌いですか?」

「匂いも味も最悪ね。彼女も、好んで飲んでいたけど。あなた、朝ご飯は食べないの?」

「あ、はい。わたしは朝は食べません」

「・・・優子(ゆうこ)が言ってたわ。朝食を食べれる日は、その1日を元気に過ごせるって。だから食べれる事が、嬉しいって」

──空舞さんにとって、その彼女が世界の中心なんだろう。そう感じる。

「彼女、優子さんっていうんですね」

「ええ。そういえば・・・少しあなたに似てるわ」

「え、見た目が?」

「少し、間が抜けてるところ」

あれ、悪口?「わたしみたいに、見える人なんですよね・・・」

「ええ。物心がついた頃から、わかっていたらしいわ。両親も、誰も信じてくれなかったみたいだけど」

「・・・わかります」痛いほど。

「彼女の両親はどちらとも他界しているの。あなたは?周りにいるの?同じような人間が」

「あ、はい。といっても、最近知り合ったばかりなんですけど」

「そう。彼女にも、そんな人がいればよかったのに・・・」

2人の顔が、頭に浮かんだ。理解してくれる人。その人がいるだけで、どれだけ心強いか。
「そうですね・・・意識が戻ったら、自己紹介させてください」

空舞さんは堪えきれないようにプッと笑った。
「そうね、優子も喜ぶわ。ところで、その頬はどうしたの?」

「チークです」




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