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文字数 839文字


「人の話聞いてた?」

「アンタは早坂さんが好き。早坂さんはアンタが好き。カップル成立。簡単な話じゃない」

「そんな事、一言も言ってないけど」

今度はうんざりしたようにテーブルに額をつけた。「あー、ホントめんどくさい。好きだからキスする。好きだからキスされても嫌じゃない。至って単純!ニホンゴワカリマスカー?」

「・・・わたし、早坂さんの事、好きなのかな」無意識に口から出ていた。

「どっからどう見てもね。アンタには難易度高いだろうけど、認めたほうが楽になるわよ」

「・・・なるほど」

「なによ、やけに素直ね」

この心のモヤモヤの意味を自分で理解した今、本当に楽になった。
そうか、わたしは早坂さんが好きなんだ。
いや、わかっていたけど、何処かに認めたくない自分がいたんだ。

「でもさ、早坂さんは、わからないんだよね」

「まあ、あたしはあの人の事よく知らないけど、遊び人のようには見えないけどね」

「遊び人・・・」早くも、モヤがかかる。

「あれだけの容姿よ?かなりモテてきたのは間違いないだろうし、その気になれば女なんか取っ替え引っ替えよ」

「取っ替え引っ替え・・・」

「でも、そこはアンタのほうがわかってるんじゃないの。どーゆう人か」

「・・・前にさ、他人には興味がないって言ってたんだよね」

「あー、それわかる気がするわ」

「そお?」

「うん、人当たりは良いけど、悪く言うと上辺だけっていうか、冷たさを持ち合わせてる感じはするわね」

「それ、わたしは感じないんだよね」

「はい、またノロケね」

「なんでだっ!意味がわからん!」

「アンタには違うって事でしょ。あたしから見ても、アンタに対する早坂さんの接し方は他とは違うわよ」

「・・・そうかな」

「うん。なんていうか、アンタが世界の中心って感じ?ちょっと怖さも覚えるくらい」

「前も言ったけどさ、過保護・・・なんだよね。異常に。それって、異性としてなのかなって」

春香はまた頬杖をつき、鼻からフーと息を吐いた。「こればっかりは、本人にしかわからないわねえ。聞いてみればいいじゃない」
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