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文字数 891文字


ふと早坂さんの顔を見ると、目を細めてわたしを見ている。何か言いたそうだ。

「なんですか?」

「ふん、あたしには会いたいって言ったことないのに。美麗ちゃんにはそんな笑顔で言うのね」

イジけモードだ。

「ダッハッハッ!ふてくされでだぞ!雪音、遊里にも言ってやれ!ベッピンだって!」

「そうですね、早坂さんは綺麗です」 それだけは紛れもない事実だ。

早坂さんはハアと肩を落とした。「そんなの嬉しくないわ。どうせあたしは女顔よ」

「美形って事じゃないですか。わたしは好きですよ、早坂さんの・・・」言いかけてハッと停止した。今、普通に好きって言ったよな、わたし。いや、ここで止まったらダメだろう。顔がって、あくまで顔がって言わなきゃ。早坂さんはジッとわたしを見ている。

「早坂さんの・・・?」 早坂さんが返事を急かすようにわたしに1歩近づく。

「早坂さんの・・・容姿が!」

早坂さんはまた目を細め、さらに肩を落とした。「遊里、ぜんぜん嬉しくな〜い」

「なんでですか、容姿が良いに越した事はないですよ」

ここで終わると思ったが、早坂さんは更にわたしに近づき、顔を寄せた。

「容姿だけ?」

──いや、近いから。

「いや・・・容姿だけというわけじゃ・・・」

「じゃあなに?」

「・・・なにって、何を言わせたいんですか・・・」

「あなたの本音よ。さあ、あなたはだんだん言いたくな〜る〜」

これ以上縮められないほどの距離に早坂さんがいて、それどころではない。

「本音って・・・」言いかけて、思った。それ、わたしの台詞では?圧をかけてくる早坂さんの目をジッと見つめた。「早坂さんは?」

「え?」早坂さんは言葉の通り、キョトンとしている。

「早坂さんは・・・・・・わたしの事、どう思ってますか」

最後が聞き取れるかわからないほどか細くなってしまったが、早坂さんには聞こえたようだ。
虚を突かれた顔をしている。わたし自身、自分の口から出た事に驚いている。

早坂さんは少しの間わたしを見つめると、ニコリと笑い、いつものように頭に手を乗せた。

「可愛くてしょうがないわ」

──たぶん、それも嘘ではないんだろう。

でも、わたしが聞きたいのは──・・・「それだけですか?」
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