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文字数 750文字



「良い天気ねー、風が気持ちいいわ」

「晴れて良かったですね」

只今15時40分─。
清々しい青空の下、わたしの地元に向けて移動中である。午前中は曇り空だったが、午後になって太陽が顔を出した。

「おい、なんで窓開けてるんだ。暑いだろう」

「空気の入れ替えよ。自然の風が気持ちいいじゃない」

「生ぬるい風がこっちに来る」

「アンタ、暑いのほんとダメよね」

「基本的に夏は無くていいと思ってるからな」

「えー、わたしは夏好きだけどな」

「あたしもよ。寒いよりいいわよねえ」

「何がだ?汗はかくし、良い事ないだろう」

「メッチャ寒いよりは、メッチャ暑いほうがいいです」

「寒ければ着込めばいいだろう。暑いのはどうにも出来ん。熱中症で死ぬ人間もいるくらいだからな」

「まあ、確かに」

「だから性格も冬なのよ、アンタは」

「どーゆう意味だ」

「暗いってこと」

噴き出しそうになるのを堪えた。

「ほっとけ」

今日の早坂さんは、ゆったりとした黒のTシャツに同じく黒のパンツ、白いスニーカーだ。
瀬野さんは白い半袖シャツに濃色のジーパン。
わたしはいつも通り、黒いTシャツに黒いパンツ、白いスニーカー。そう、まさかの早坂さんとかぶった。着ている物は早坂さんのほうが何倍も高そうだけど。

迎えに来た車に乗った瞬間、お前らバカップルみたいだぞと瀬野さんに言われ気まずかったが、早坂さんはお礼を言っていた。


心地良い車の揺れと流れる外の風景を見ていると、無性に睡魔が襲ってくる。
そう、これはこの状況がそうさせているだけで、決して昨日の寝不足が原因ではない。

「遊里、もう少しスピード出せないのか?」

「無理よ、下道なんだから。順調に来てるか急ぐ必要ないわよ」

「しかし、走るにつれて田舎になっていくな」

2人が何か言ってる・・・でも、わからない。
ああ、きっといつもの漫才だ・・・。




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