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文字数 810文字


2日ぶりの営業の影響なのか、単に週末という事でなのか、店は開店時から目が回る程の忙しさだった。4人掛けのテーブル全てが4人組
で埋まると、店内は地獄と化す。
そんな中でも、営業スマイルを一切崩さない春香には、本当に頭が下がる。

そして自覚したのは、体力の低下だ。これまで、どれだけ忙しかろうが、休む暇なく店内を歩き回ろうが、こうやって椅子にへたり込む事はなかった。

「雪音ちゃん、大丈夫?相当疲れてるね」

今日は、店長のたばこに突っ込む気力もなかった。

「わたしの肩、石とか乗ってません?」

「・・・うん、なんか見える気がする」

「アンタ、来た時から顔色悪いわよ。あたし片付けやるから、休んでて」

今日、春香が何かと率先して動いてくれたのはわたしを気遣っての事だったのか──「ありがとう・・・お母さん」

連日の疲労が、ここにきて表れたか。頭がボーッとする。今日は帰ったら、即寝だな。





── 翌日。
顔を洗いに行った洗面所の鏡を、思わず2度見した。お前はゾンビか。顔は青白く、目が血走っている。結局、あまり寝れなかったからな。

若干の頭痛と、食欲不振。風邪だろうか。
念の為、熱を測ると、37.3℃─。微妙なところだ。いつもは少々体調が悪くても、寝ればすぐに治るんだが。

しかも、よりによって今日は土曜日。忙しいのは、ほぼ確定だ。こんな時、従業員が2人しかいない厳しさを痛感する。前に、バイトを雇うかという話が出たけれど、何処かに流れた。
まあ、わたしも春香も滅多に体調なんて崩すさないから、そこまで行きつかなかったというのもあるが。実際、これまでの店の臨時休業は、すべて店長の事情によるものだ。

少しでも顔色を良く見せる為に、今日はチークでも塗るとするか。だいぶ前に買ってから、使うのは今日で2回目だ。最初にこれを塗って出勤した時、「子供の時にかかったりんご病思い出したわ」と春香に言われ、心が折れた。

行きながら栄養ドリンクを買って、今日を乗り切らねば。









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