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文字数 828文字


「でも、よかった・・・」安心して、ベッドに座り込んだ。

「よかった?」

「心配してたんですよ。朝も来ないから、何かあったんじゃないかと思って」

「心配って、昨日会ってるじゃない」

「や、そうですけど、毎日朝早く来てたから・・・突然姿が見えなくなると心配になります」

空舞さんは起き上がり、テーブルへ移動した。「大袈裟ね。あなた、朝早く来るの嫌がってたじゃない」

「・・・そうなんですけど。心配は心配なんです。今まで何してたんですか?」

「何してたって、あなた達に言われた事をしていたのよ。妖怪を探せと言ったでしょ」

「そうじゃないかなとも思ってました・・・それで、どうだったんですか?」

「遊里が言っていた大蛇はさすがに見つけられなかったけど、他にはいたわ」

「・・・えっ!いったい、それは・・・」

「蛾よ」

「・・・蛾?蛾って、アレですよね・・・飛ぶ、虫の、蛾」

「それ以外何があるの?」

「・・・蛾の妖怪?ってことですか」

「ええ、そこまで大きくはなかったわ。全長で2メートル程かしら」

想像しただけで全身に鳥肌が立った。「空舞さん、それ、バカデカいんですけど・・・」

「何言ってるの、人間より小さいわよ」

「当たり前です!蛾は、こんなもんです!普通は!」親指と人差し指を使って訴える。「まあ、稀にモ◯ラ並のもいるけど・・・」

「あなた、虫嫌いなの?」

「ダメです。無理。とくに蛾は・・・それが2メートルもあるなんて・・・気絶しそう」

「2メートルと言っても、羽を広げればよ。胴体はそうでもないわ」

──ダメだ。話が通じない。

「ところで、それは何処で見たんですか?」

空舞さんは窓の方を見た。「ここから5キロ程離れた所にある、中学校よ」

「・・・中学校?」

「ええ、夜に体を発光させながら校庭の上空を飛んでいるのを見たわ」

「発光・・・?」ダメだ。想像したら眩暈がしてきた。「とりあえず、早坂さん達に連絡しますね」

夜も遅いので、とりあえずメールを送る事にする。予想通り、1分も経たないうちに着信があった。
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