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文字数 834文字


"また来るわ。友達として"

あの日、空舞さんは言った。
嬉しかった。これで、最後じゃないんだと。また、会えるんだって。


そう、嬉しかった──・・・「うう〜〜」

先程から、コツコツコツとリズミカルな音が、繰り返し聞こえている。
重い瞼に抗い携帯を見ると、5時58分。勘弁してくれ。

それでも鳴り止まない音。諦めてベッドから起き上がり、カーテンを開ける。そこでやっと、鳴り止んだ。目が開かない為、手探りで窓を開ける。中に入った気配を確認し、窓を閉めて、またベッドへ戻る。


「いつまで寝てるの?もう6時よ」

「・・・まだ、6時です」

「河原ではご老人が散歩をしているわよ」

「わたしは老人じゃない・・・」

「あなた、今日は走りに行くって言ってたじゃない」

「こんな早い時間からじゃないぃぃ・・・」


そう、嬉しかったんだが──また来るが、まさか、翌日だとは思っていなかった。そしてそれが、3日続くとも。ちなみに、昨日は朝の5時にやって来た。もう少し遅く来てくれと頼んだ結果が、今日だ。

「朝に身体を動かすと交感神経が活発になるのよ」

「・・・難しい事知ってますね」空舞さんは、そこらの人間より知能が高いと思う。少なくとも、わたしよりは。

「愚かな人間が多いだけよ」口は、悪いが。

「昨日は2時までドラマ見てたから寝不足なんです」

「昼に観ればいいじゃない」

「お酒を飲みながら観るのがいいんです」

「どうして人間はあんな身体に毒な物を飲むのかしら」

「・・・人間は身体に悪い物が好きなんです」

「愚かね」

会話をしているうちに、眠気が覚めてきた。起き上がり、ベッドにあぐらをかいて座る。

「そうだ空舞さん、わたしの知り合いが空舞さんに会いたいって言ってるんですけど」

空舞さんはテーブルの上のテレビのリモコンをクチバシで起用に動かし角度を変えると、電源ボタンを押した。テレビに朝のニュースが流れる。どうやら、わたしがテレビをつけるのを見て、覚えたらしい。

「あなたが最近知り合ったという人間ね」

「はい」

「わたしも会ってみたいわ」
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