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文字数 933文字


「あはは、確かに、そんな妖怪がいたら出会いたかったかも」

「いや、お前本気で探してただろ。徹夜で探して、次の日机で爆睡してそのまま机ごと倒れただろうが」

「えっ、マジですか?」

早坂さんはしれっと、とぼけた顔をしている。

「ブチ切れた教師に廊下に立たされたあげく、最終的に廊下で寝てたぞ」

我慢出来ず、豪快に噴き出してしまった。「立ったまま寝るって、器用過ぎるんですけど」

「んなわけあるかアホ、廊下に寝そべってたんだ」

「アハハハハッ」もう、腹を抱えて笑うしかなかった。早坂さんは、爆笑するわたしを見て面白そうだ。

「あの時はグーで頭殴られたわ。今思うと、体罰よねぇ」

「俺が教師でも殴ってるけどな」

「あー、おかし。わたしでもキレますね」

その時、空舞さんがわたしの肩から飛び立った。そして、グラウンド上空を旋回し始めた。

「空舞さん?何してるんだろ」

「さあ・・・何かしら」

時間にして1分程だろうか。空舞さんは旋回した後、グラウンドを囲むフェンスの上に止まった。わたし達もグラウンドの真ん中へ移動する。すると、空舞さんはフェンスからこちらへ向かって飛んで来た。と思ったら、わたし達の前を通り過ぎ、加速して上昇する。凄い速さだ。そしてそのまま、校舎の屋上へ飛んで行った。

「えっ?なに?」

さすがに暗闇の中、上までは見えない。わたし達はしばらく空舞さんが飛んで行った方向を見上げていた。

そして──「あれ・・・なんですか?」

上にポワッと光る物が見えた。それは、ゆっくりこちらへ向かってくる。

「お出ましね」

そうだ、蛾は体を発光させて飛んでると空舞さんが言っていた。という事は、あれがそうか。
それは徐々に高度を下げて、近づいてくる。そしてグランウド上空まで来ると、その姿がハッキリと見えた。

ゾワゾワゾワッと全身に鳥肌が立ち、身震いした。見た目は、蛾その物。普通じゃないのは、その胴体と羽の大きさ。そして、体から放たれる青白い光。

「そこまでデカくないな」

「えええ!?どこが!?」

「思ったよりはね」

この2人の基準はどうなってるんだ。
そりゃあ、あの大ムカデに比べれば可愛いもんかもしれないが、個人的に気持ち悪さはこちらのほうが上だ。唯一救いなのは、羽に模様がない事。あの繊細な模様が不気味さを倍増させる。









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