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文字数 867文字


病院を出てすぐ、早坂さんに連絡をした。
今、話せますか?とメールすると1分もしないうちに電話がかかってきた。相変わらず、早い。

「もしもし」

「もしもし雪音ちゃん?何かあった?」

謎の警戒態勢に、思わず笑ってしまう。でも、"案の定"早坂さんの声に安堵した。

「なんで、何かあった?なんですか?」

「え?だって、あなた何かないと電話なんてしてこないじゃない」

「あー・・・ですよね」

「笑ってるって事は、何かあったわけじゃないのね?」

「あったというか、報告したい事がありまして」

「なに?」

とは言ったものの、どこから話せばいいだろう。とにかく声が聞きたくて、そこまで考えていなかった。

「喋る、鳥に会いました」単刀直入すぎだってな。わかってる。

「・・・何処で?」

早坂さんの対応力に感謝だ。

「仕事終わりに、店の外で。わたしに頼みがあったらしく、後を追ってきたみたいです」

「うん、待って。後を追うって、その喋る鳥は何であなたの事を知ってるわけ?」

「昼間、家の近くの河原で会ったんです。見た目は普通のカラスだし、その時は喋らなかったからわからなかったけど・・・わたしが話しかけたから、向こうも気づいたみたいで」

「話しかけたって、カラスに?」

「はい」

「・・・まあいいわ。それで、そのカラスがあなたを追って店まで行ったと」

「はい。あ、あと家に。それで、話しかけられました。わたしにお願いがあるって」

「続けて」

それから今に至るまでの事を説明した。事細かに説明しようと、周りくどくなってしまった感は否めないが、早坂さんはうんうんと聞いていた。
そして話し終えた後、最初に返ってきたのは、溜め息だった。

「まあ、大体話はわかったわ。雪音ちゃん、あたしが前に言った事覚えてる?」

「え?」

「どんな妖怪であろうと、必ず報告してほしいって言ったわよね」

「ああ・・・はい。ごめんなさい。妖怪と言っても、その、悪い感じがしなかったので。それに、内容も内容だったので、煩わせるのもなって思って」

空舞さんを妖怪と呼ぶのに、凄く抵抗を感じた。彼女は最初に会った時から、"悪意"を微塵も感じない。



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