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文字数 497文字
「何かあってからじゃ遅いのよ。言葉が話せる妖怪は頭も良いし人間をよくわかってるから、何を企んでるかわからないわ」
「空舞さんはそんな・・・わたしは、確信がありました。大丈夫だって」
「それは、何もなかったから言える事でしょう?つまり、あたしが言いたいのは・・・」
「わかってます。早坂さんはそうやっていつもわたしを心配してくれますよね」
「・・・雪音ちゃん?」
「でも、信じてはいないって事ですよね。現にこうやって、何もなかったじゃないですか」
「雪音ちゃん、あたしは・・・」
「わたしは、聞いてほしかったんです。早坂さんの声を聞いて、安心したかったんです」
「・・・雪音ちゃん」
「すみません。地下鉄が来たので切りますね」
一方的に通話を終わらせた。
地下鉄?見渡す限り青空が広がってますけど。
すぐに押し寄せる罪悪感。
わかってるのに。早坂さんはわたしを心配してくれてるだけ。そんなの、今までずっとわかってる。今日の事で感情的になったわたしの、ただの八つ当たりだ。
電話を切った直後にかかってきた電話がずっと鳴り続けている。
ごめんね早坂さん。今は、冷静に話せる自信がない。
罪悪感から逃れるため、携帯の電源をオフにした。